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掲載:2023年06月20日 更新:2023年06月20日

豊かな自然、美しい景色に馴染む北欧の家と日本の木製サッシの家

住宅を建築する際に外観にこだわりを持つ方が増えているように感じます。特に窓は家の印象を良くするアイテムのひとつ。その中でも木製サッシは、高級感や親しみやすさを表現できる窓として最近注目されています。

今回は、木製サッシと北欧の家についてお話ししたいと思います。

木製サッシとは


木製の窓枠とガラス戸(障子)が一体に製作される工場生産の窓。一般的に樹種は耐久性が高い杉や松、ヒバなどが使用される。ガラスは、複層ガラスやトリプルガラスなど断熱性能が高いものが多い。一般的な窓の他、防火仕様の窓もあり。
形の種類は、開き戸系の突出し窓・片開き窓、回転窓。引戸系は、引違い窓・片引き窓、へーべシーべ窓。その他では、上げ下げ窓やFIX窓。組み合わせ系では出窓がある。



1.アアルトの自邸(フィンランド・ヘルシンキ)

アアルトの自邸(フィンランド・ヘルシンキ)
ヘルシンキからトラムで30分の閑静な住宅街にあるアルヴァ・アアルトの自邸。日本のフィンランドのガイドブックにも載るほどガイドツアーは、人気のようです。私が訪れたのはかなり前のため英語のガイドツアーでしたが、現在は日本語を話すガイドさんもいるとか。アアルトが仕事場やモデルハウス的な使い方をしていたこともあり、建築の勉強になる建物です。

大きく開かれた窓からは、中庭が…。建物はもちろん建具や家具などすべてが整った住宅。すぐ近くにあるアアルトのアトリエも必見です。

アルヴァ・アアルトについて


1898年フィンランド生まれ。北欧の巨匠として有名なフィンランドを代表する建築家。ヘルシンキ工科大学(現アアルト大学)を卒業後フィンランドやヨーロッパ、アメリカで数々の建築を手がけている。
フィンランドの旧紙幣のマルカ紙幣に肖像画が使われたほどの著名人。

アアルトの自邸について


1936年設計のアルヴァ・アアルトの自宅。建築家でデザイナーでもあったアイノ・アアルトと共に設計した住宅で、40年間アルヴァ・アアルトが暮らしていた家。
現在は、アアルト財団が所有し、ガイドツアーで公開している。

アイノ・アアルトについて


1894年フィンランド生まれの建築家であり、インテリアデザイナー。アアルトの最初の妻。54歳で亡くなる。プロダクトデザインでは、イッタラのアイノ・アアルトのグラスが有名でアルテックの設立にも関わる。

建築家としてはヴィラ・フローラなどアルヴァ・アアルトと共に数々の建築を手掛ける。 今秋日本で公開予定の映画「AALTO―アアルト」でもアルヴァとアイノの二人が生み出してきた傑作についてのエピソードも見られるようなのでご興味のある方は、お見逃しなく。

ヴィラフローラについて


アルヴァとアイノが1926年にフィンランドのアラヤルヴィ湖のほとりに建てた家族のためのサマーハウス。アイノが亡くなるまで夏の休暇で使っていた建物。

アアルトのアトリエ


住宅ではありませんがアアルトのスタジオがアアルト自邸の近くにあります。こちらも見学可能。私が見学した時は、設計事務所として使われていましたが現在はアアルト財団のオフィスになっているようです。

アアルトのアトリエ


2.マイレア邸(フィンランド・ノーマルク)

マイレア邸(フィンランド・ノーマルク)
サウナの回でもご紹介したフィンランドのノーマルクにあるマイレア邸。こちらも窓はすべて木製サッシ。外観に映える木製の窓は自然ともマッチしていて大変美しかったです。

マイレア邸について


ハリー・グリクセンとマイレ・グリクセンの住宅。アアルトが設計した。建築の教科書にも出てくるほどの名作住宅でプランや立地、ディティール全てにおいて美しい住宅と称賛されています。
森をイメージしたと言われるその内部は、日本建築からインスピレーションを受けたと思われる部分も。


3.シルツ邸(フィンランド・エケネス)

シルツ邸(フィンランド・エケネス)
ヘルシンキからバスを乗り継いだ海辺の町エケネスにあるシルツ邸。アアルトの長年の友人でもあった作家のヨーラン・シルツの邸宅でした。

リビングとバルコニーが船のブリッジに似ていることから別名ヴィラシュペット(船の家)とも呼ばれている。二階にあるリビングルームには大きな窓があり遠くに海が見えるらしいのですが私が見学した日は冬だったため見えませんでした。夏にまた行ってみたい住宅です。
現在は、クリスティン・アンド ヨーラン・シルツ財団で所有している。

ヨーラン・シルツについて


1917年生まれの作家で芸術史家。アアルトの本も手がけている。著書に「白い机・円熟期:アルヴァ・アアルトの栄光と憂うつ」などがある。ヨーラン・シルツとその妻は、ギリシャの別荘で長年過ごしていたが晩年は、アアルトが設計したこの家で過ごした。

シルツ邸は、アアルトが設計した住宅の最後の作品。

ご紹介したアアルトの建築は事前に予約が必要です。ガイドツアーはそれぞれ開館時期や時間が違いますのでホームページなどで確認してください。


4.集合住宅(スウェーデン・ウプサラ)

集合住宅(スウェーデン・ウプサラ)
スウェーデンのストックフォルムから郊外電車で約1時間のところにある学園都市ウプサラ。スウェーデンらしいかわいい集合住宅には格子入りの木製サッシが使われていました。

私がアアルトの建築巡礼中、道に迷ったときに見かけた建物です。


5.日本の木製サッシの家

1980年代ころ木製サッシの多くは欧米からの輸入品が中心でしたが近年では、日本のメーカーでも作っています。日本の木製サッシは、日本の風土に合うように設計されているため木製サッシをご検討の方にはおススメです。また、防火戸や特殊な形や開き方の窓もあるので設計の幅が広がります。

断熱性や意匠性の高い木製サッシですが素材が木材のため定期的に塗装やメンテナンスが必要。ご理解の上採用されると長くお使いできると思います。

先進的窓リノベについて


国土交通省の住宅省エネ2023キャンペーンの中のひとつ。既存住宅における熱損失が大きい窓の断熱性能を高めることによりエネルギー価格高騰への対応(冷暖房費の負担の軽減)や2030年度の家庭部門からのCO2は排出量7割削減(2013年度比)への貢献、2050年ストック平均でZEH基準の水準の省エネルギー性能確保への貢献を目的とする事業。(公式ホームページより)

リフォームのガラス交換、内窓設置、外窓交換の補助金。一戸につき最大200万円(商品により断熱性能等一定の基準有)、とても人気の補助金のため予算が到達する可能性がございます。(新築住宅にはこどもエコすまい補助事業も有りこちらは、最大100万円)ご検討されている方は、お早めに。

ZEHとは


Net Zero Energy Houseの略で「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味。家庭で消費するエネルギーと創出するエネルギーで実質的にゼロ以下にする住宅のこと。
地域で基準値は違いますが基本的に夏は、涼しく冬は暖かい省エネルギーに配慮した住宅。今後はカーボンニュートラルという考えもあり基準が厳しくなる可能性が予想されます。


6.まとめ

風合いがあり、人と一緒にエイジングする木製サッシ。省エネやデザイン先進国の北欧の住宅でも採用されているほど断熱性能や意匠性に優れています。
また、結露も起きにくいため快適な住まいづくりが出来るかもしれません。

新築住宅やリノベなどの際、木製サッシを検討されてはいかがですか?これからの時代にマッチした窓だと思います。



著者(村上 佐記枝 )プロフィール

▼略歴
福祉系専門学校卒業後保育士1年勤務
役所で補償業務の臨時職員1年
ハウスメーカー、工務店で建築事務や建築設計、確認申請業務、宅地建物取引主任者、インテリアコーディネーターなどを30年経験

▼保有資格
二級建築士、宅地建物取引主任士、インテリアコーディネーター、カラーコディネーター2級、福祉住環境コーディネーター2級、整理収納アドバイザー2級、保育士







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