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  • 掲載:2011年12月01日 更新:2011年12月01日
島原湊町の住宅

エコロジーや省エネの観点も踏まえた新しい自然環境としての空間を形成

赤星 文比古
赤星建築都市設計研究所
赤星文比古(FUMIHIKO AKAHOSHI)
所長
熊本県熊本市
<経歴>
1987年 武蔵野美術大学建築学科大学院修了
1991-2年 イタリア政府給費留学生として渡伊
1993年 赤星文比古建築都市設計研究所設立
2000年 ヴェネツィア建築大学卒
2004-9年 熊本市下通アーケード改修/上通YMCA 改修

・新築住宅・店舗・リフォーム等を精力的に手がける
・東海大学九州、熊本デザイン専門学校非常勤講師、ワシントン外語学院イタリア語講師
・熊本市第2次マスタープラン策定委員
・熊本日伊協会理事 熊本YMCA 東部センター運営委員


住宅プロジェクトのPOINT

住宅では、ライフスタイルや環境の変化に柔軟に対応できるプランをクライアントと一緒に楽しみながら考えて行けるよう心掛けています。
自然素材をなるべく多用し、エコロジーや省エネの観点も踏まえた健やかで快適な住まいを創ります。また、入居した後も住まいながら成熟していく空間になるよう関わって行きます。

住宅は建築のベースと捉え、家族にとって何が必要かを最優先としたアイデアあふれる新しい空間をローコストでご提案します。計画では下記の3つのポイントを重視しています。

1:家族のライフスタイルや環境の変化に順応できる空間構造と素材選び

2:光と風をデザインし、可能な限り自然素材を用いた健やかで快適な住まいづくり

3:家族の成長に合わせて機能循環でき、エコで省エネの長生きする家づくり




店舗・商業施設プロジェクトのPOINT

店舗、商業施設でも同様に、その土地の環境の変化に順応でき、人と共に長生きし、人を結び付ける魅力ある街づくりに貢献し続けたいと考えています。 各プロジェクトでは施主と利用者の立場や関係を踏まえ、どのような環境を提案するかを研究し、その施設での活力を生み出す工夫を提案します。プロジェクトを通じて人と人とを結びつけ、その輪の広がりが魅力ある街づくりへと発展するように願っています。




ユーザー様からの要望も多様化しつつあると思いますが、最近最も多い要望とは何でしょうか。

最近は、エコロジーや省エネに興味のあるお客さんが増えています。以前からこの観点からパッシブソーラーハウス等も手掛けてきましたが、これからは予算が許すかぎり、太陽光や地熱等を取り入れるアクティブソーラーハウスの設計デザインを多くしたいですね。




これから家を建てる、または店舗や商業施設を計画している方々のために、良い家、賢い施設の建て方などへのアドバイスをいただけますか。

住宅も店舗も良い建物にするためには、クライアントが粘り強くいろんな要望を設計者と共に楽しんで考えて行くことだと思います。設計者もその要望に対して、アイデアを出しながら提案していくことで夢を現実に近づけていき、よりよい建物になるに違いありません。
また、施工では、一括工事発注方式( 注1) とCM・分離発注方式( 注2) を併用したり、自分達で出来る工事はDIYでなるべくセルフビルドして頂けるよう提案しています。自分達で工事にも関わると愛着が生まれ、メンテナンスでも自分達でやれることも多くなると思います。




只今のお話にありました、一括工事発注方式(注1)とCM・分離発注方式(注2)の併用とは具体的にどのような施工方法なのでしょうか。

一括工事発注方式+CM・分離発注方式、これは2つの方式を併用することにより、それぞれの長所を伸ばし短所を補う方式です。

注1:一括工事発注方式とは、工事の全てを一つの元請け施工会社(ハウスメーカー・工務店)に一任する方式です。戸建住宅ではもっとも一般的で、責任・保証の所在がわかりやすいというメリットがあります。その反面、コスト構成が不明瞭で、施主の意思が反映されにくいなどのデメリットがあります。

注2:CM・分離発注方式 CM(コンストラクション・マネジメント)方式とは、発注者の補助者・代行者であるCMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計の検討・工程やコスト管理などの各種マネジメント業務を行うもので、コスト構成などの透明化を図ります。分離発注方式とは、施主が複数の専門業者と直に工事契約をする方法。施主選任の建築家が、技術力・コスト面などから信頼できる契約業者を選定します。 CM・分離発注方式とは、上記の2つを組み合わせた発注方式です。


詳しくは、当研究所のホームページをご覧下さい。

今後の、設計・デザイン上で今後こんな材料・素材・製品を使ってみたいと思われるものがありましたらご紹介ください。

内装仕上げに珪藻土や自然塗料で塗った無垢材を使ったり、可能な限り自然素材を用いて、健やかで快適な空間創りを目指しています。また、今年の夏、熊本県産木材アドバイザーの資格を取得し、県産木材についてアドバイスしながら地産地消の住まいづくりにも積極的に取り組んでいます。
県産木材を最大限に生かし、木の魅力・特性、可能性を引出し、自然素材を組み合わせ、木の香りあふれる健康エコ住宅を設計しています。




              

今、赤星先生が一番注目している、技術又は工法などございましたら、教えてください。

以前からある工法ですが、太陽光を利用したOMソーラーハウスを最近2物件手掛けました。その1つはOMソーラー+太陽光発電のハイブリッド省エネ住宅です。従来のOMソーラーに、夏は地熱を利用して採涼する「DOMAくーる」も採用してより涼しく、冬はより暖かく効率的になっています。また、太陽光発電から使用する電気も供給でき、自然エネルギーを利用したエコロジカルな住宅・商業施設をご提案したいですね。

ARCHITECT
設計士インタビュー
シーズン毎で取材させて頂いている設計士へのインタビュー記事です。2007年秋にスタートして四半期毎に新しい記事の更新をしています。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など設計士の体験談をお楽しみください。
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