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建築家インタビュー
  • 掲載:2012年12月06日 更新:2024年07月26日

身近な自然素材を最大限に活かした“地域環境共生型”の住まい方を提案

アトリエmomo
アトリエmomo
櫻井 百子(MOMOKO SAKURAI)
一級建築士
〒064-0959
札幌市中央区宮ヶ丘2丁目1-1 ラファイエット宮ヶ丘303号 Platz.内
TEL:011-640-8411
 

こころや環境にできるだけ負荷の少ない設計を心がけています。思い出や、場の記憶を大切にしながら、できるだけ身近な素材でつくるすまいを提案します。
できた時が完成ではなく、くらしを楽しむきっかけになればと思います。長く愛され、たいせつに守り育まれるようなすまいにつながれば幸いです。

経歴
1973年 北海道旭川市生まれ
  北海道東海大学芸術工学部卒業後、都市計画事務所、アトリエ設計事務所を経て2008年にアトリエmomo設立。
  平成22年度 北海道赤レンガ建築奨励賞 受賞
  2011年度 JIA環境建築賞 優秀賞(住宅部門) 受賞



環境的な取り組みを先進的に行うまちでお仕事をしています

道北の下川町というところでお仕事させていただいています。町の総面積の約90%が森林であることから、森林・林業を基幹産業として発展させてきたまちで、環境的な取り組みを先進的にずっと行ってきたところです。
これまでの取り組みのなかで最もやりがいを感じたのは、これまで進めてきた循環型森林経営の一端を担う環境共生型のモデルハウス建設です。2009年に環境省が公募した「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」の対象自治体として全国20箇所のうちの1ヶ所として選定され建設を行うこととなりました。



一軒の住まいが地域を活性化するエンジンになる

日頃設計していく中で、「できるだけ身近な自然材料を使う。」ということを大切にしています。身近なものを使うことで、遠くから輸送してくる製品よりもずっとCO2の排出を少なくすることができます。
また、近隣地域の物を使うことは、そのままそれを作っている人たちを支援することに繋がります。資源もお金も身近なところで循環が産まれて、大袈裟かもしれませんが、あなたの1軒の住まいが地域を活性化するエンジンになるわけです。住まいを創ることは小さなビッグプロジェクトですから、目には見えませんがとても大切なことだと思っています。

それと、環境に優しいということはそのまま身体にも優しいと考えます。たった、50年くらい昔の住まいはそのほとんどが身近な自然素材でできていました。家を壊す時はすべて土に帰る材料でできていたと言っても良いと思います。そのような住まいづくりができていた頃は化学物質による健康被害なんかなかったのです。今は技術も発達して、自然素材を使いながら暖かく快適な住まいが作れるようになってきました。

たとえば道産材で主に流通しているカラマツは、以前はあばれて建材にはとても使えないと言われていましたが、現在は構造体にも使うことができます。
また、木の繊維を使った非常に性能の優れた断熱材(製造時の使用エネルギーも環境に配慮されている)や、道北地方でとれる良質の珪藻土、道東地方で採れるホタテの殻を原料にした漆喰(廃棄される殻を再利用)、炭を焼くときに出る木酢液で煮沸処理をした木材など、素晴らしい製品があり、これからも積極的に取り入れていきたいと思っています。


これからの暮らし方-『集まって住む』エココミュニティの提案

以前からずっと、「集まって住む」ということをテーマに勉強会やセミナーを企画したり、建物だけではなく、「暮らし方」も大切と考えて様々な活動をライフワークとして続けてきました。住まい自体がどんなに環境に優しくても、住まう私たちの意識で変わってしまうからです。
「集まって住む」というテーマは核家族が個別に住まうのに比べて、共有することで環境負荷を減らしたり、無駄なスペースを減らしたり、その分建設費の負担も少なくて、つかず離れずの人間関係で心豊かに暮らせるのではないかと思っています。そんなことを通じて少子化や高齢化などの社会問題も解決する糸口になれば良いですね。近年、急激にシェアハウスのような住まい方が見直されているのもそこに繋がっていると思います。自由な間取りで、豊かな空間を共有しながら、賃貸で住まえたら……そうすることで、みんなが自分らしい空間に住まうことができる選択肢やチャンスが増えます。そんな暮らし方や、設計を通じてそんな住まい方のお手伝いがしたいと切に思っています。


家族、自分のことを考えて家づくりを楽しむことが一番大事

私が関わらせて頂いたことで、満足していただけたり、快適だと言って頂けることにやりがいと喜びを感じます。。なにより、お引き渡しの時は感慨深くて、家族の本当にしあわせな瞬間に立ち会えることが私もしあわせで、嬉しい瞬間です。
もしかして、娘を嫁に出す父はこんな気持ちなのではないかといつも思います。家族のみなさんに大切にされて、暮らしを楽しむきっかけになりますように~。活かされてきますように~と、心から願います。

どんな暮らしがしたいかイメージを持つことが大切

家を建てるにあたって、どんな製品を使いたいか。も大切なことなのですが、まずどんな暮らしがしたいのか、具体的なイメージを持つことが大切なのではないでしょうか?はじめは漠然としていて難しいかもしれませんが、例えば朝起きてからの1日をその家でどんな風に過ごすのかストーリーを考えてみたり、今までお住いになってきたお家の好きな所、使いづらかったところなどを書き出してみるのも良いきっかけになると思います。

私たちの仕事は、そのイメージをうかがって、どんなにもやもやしたものでも形にしていくことから始まります。より具体的なイメージをお持ちの方は、それが形になっていくところも楽しみながら、満足のいく住まいづくりができるのではと思っています。



施工事例






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シーズン毎で取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。2007年秋にスタートして四半期毎に新しい記事の更新をしています。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。