建て直しナシで耐震性アップ!耐震補強金物の種類
住宅の地震への強さは、この30~40年間で大きく進化しています。
1981年には耐震基準が大きく見直されて、新耐震基準へ。2000年には基礎・接合部の金具取り付け・壁量バランスなどの規定が加えられ、より耐震性が強化されました。それ以前に建てられた古い建物は、大きな地震がきたときの倒壊・損傷リスクへの備えが不十分な可能性があります。
では、古い基準で建てられた家は解体して建て直すべきかというと、一概にそうとはいえません。1981年以降の新耐震基準と2000年以降の規定に沿って、耐震補強リフォームをおこなうことで一定の強さを確保できる場合もあります。
今回は、耐震リフォームのなかで、金物での補強について詳しく解説します。
耐震リフォームの金物補強とは?
日本の木造住宅の多くは「木造軸組工法(在来工法)」で建てられています。柱や梁など木材の骨組みで建物を支える工法です。しなやかさをもった木材は本来、地震にも大変強い素材ですが、木材同士のつなぎ目部分がどうしても弱点となってしまいます。
地震や台風など大きな力がかかると、木材のつなぎ目部分がゆるんだり抜けたりし、建物が倒壊する恐れがあるのです。そこで、「柱と梁」「柱と基礎」「筋交い」などの部分を、金属の部品でしっかり固定するのが「金物補強」です。各社からさまざまな種類の金物が販売されており、使う場所や建物の受ける力の大きさなどによって使い分けます。
耐震補強金物の種類①ホールダウン金物
ホールダウン金物とは、地震が起こったときに柱が土台や梁から抜けてしまわないように補強する金物です。「柱と基礎(家や建物を下で支える部分)」を強く固定するのによく使われます。2000年の建設告示で義務化されたため、最近建てられた建物にはついていますが、古い建物にはついていないことが多いです。
耐震診断や構造計算などで引き抜き力を産出し、適切な大きさのホールダウン金物を選んで取り付けます。1981年以前の建物では特に、基礎が無筋だったりコンクリートが劣化していたりするケースも多く見られるため、基礎を補強する工事が同時に必要となることもあります。
耐震補強金物の種類②筋交い金物
筋交いとは、柱の間などに斜めに取り付ける部材です。地震や台風など、建物が横から力を受けたときに抵抗する役割を持っています。大きな力を受けると筋交いがはずれてしまうことがあるため、接合部を金物で補強する必要があります。
筋交い補強に使われている金具は、主に平らな形・箱型・L字型の3種類です。接合したい部分の形状などによって決められます。2000年以降に新築された建物には筋交い金物はすでに使用されていますが、それ以前の建物は釘止めされていることも多いためぜひ確認したいポイントです。
耐震補強金物の種類③仕口の補強金具
仕口とは、「柱と梁」「梁と桁」など、方向の異なる部材を接合した部分です。
柱と梁を固定するためには、羽子板のような形をしていて梁を引き寄せて固定する「羽子板ボルト」や、L型、T型、山型などの金具がよく用いられます。
まとめ
耐震補強金物は、阪神淡路大震災など大きな地震を契機として、開発が進みました。2000年以降の建物には原則設置されていますが、古い建物では耐震性をチェックした方が良いでしょう。補強金物は、木材と金物の種類や場所を見極めて、適正な施工がおこなわれているかによって、性能が大きく変わります。業者の耐震診断を受けて、適切な設計に基づき工事を実施しましょう。
住宅専門ライター