COLUMN
コラム
BIMを導入するか?CADで業務遂行するか?
手書きで図面を描いていた古い時代とは異なり、現在の作図の主力はCAD(キャド)となりました。世界中には100種類を超えるといわれる数多くのCADがあり、日本国内で利用されている種類も実に豊富なラインナップです。建築に特化した専用CADや、機械設計・土木設計にも利用される汎用CADなど、使用用途に応じてCADはさまざまな進化を遂げてきました。
ところがここ数年、作図の世界でCADの座を狙うかのように、「BIM」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
次世代の作図ツールとして大きな注目を集め始めている「BIM」とはどのようなもので、CADと一体何が異なるのでしょうか。従来の2次元CADから、BIMやハイスペック3DCADの導入を検討されている方はしっかりと違いを理解して、比較検討の材料として下さい。
ところがここ数年、作図の世界でCADの座を狙うかのように、「BIM」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
次世代の作図ツールとして大きな注目を集め始めている「BIM」とはどのようなもので、CADと一体何が異なるのでしょうか。従来の2次元CADから、BIMやハイスペック3DCADの導入を検討されている方はしっかりと違いを理解して、比較検討の材料として下さい。
1.注目の集まるBIMとは
世界で最初のCADといわれるSketchpadの誕生は1950年代までさかのぼります。その後、半世紀を経てCADは著しい進化を遂げてきました。インターネットの普及ともにパソコンがより身近な存在となり、同時に作図の世界も手書き図面からCADへ急激な移行を遂げました。
国内の建築業界で利用されているCADといえば、「AutoCAD」や「Jw-cad」が有名です。
CAD界のリーダーともいえる「AutoCAD」は作図性や拡張性に優れ、世界でも多くののユーザーを抱える重鎮的存在です。また、無料の国産CAD「Jw-cad」も2DCADソフトながら無料とは思えない操作性の高さから不動の人気を誇っています。
ドラフターや平行定規を利用していた時代とは異なり、建築業界をはじめとして今やCADを無視して作図は難しい状況になりました。操作性や拡張性の改善、2次元から3次元への表現力の進化、普及に伴う価格低下などを背景に、個人でも手軽に扱えるほどCADは一般市場に普及しました。
さらに昨今、このCADを遥かに凌ぐ性能を有する「BIM」が大きな注目を集めはじめています。BIMは「Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の略称で、コンピューター上に現実と同じ建物の立体モデルを構築するシステムです。
国内の建築業界で利用されているCADといえば、「AutoCAD」や「Jw-cad」が有名です。
CAD界のリーダーともいえる「AutoCAD」は作図性や拡張性に優れ、世界でも多くののユーザーを抱える重鎮的存在です。また、無料の国産CAD「Jw-cad」も2DCADソフトながら無料とは思えない操作性の高さから不動の人気を誇っています。
ドラフターや平行定規を利用していた時代とは異なり、建築業界をはじめとして今やCADを無視して作図は難しい状況になりました。操作性や拡張性の改善、2次元から3次元への表現力の進化、普及に伴う価格低下などを背景に、個人でも手軽に扱えるほどCADは一般市場に普及しました。
さらに昨今、このCADを遥かに凌ぐ性能を有する「BIM」が大きな注目を集めはじめています。BIMは「Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の略称で、コンピューター上に現実と同じ建物の立体モデルを構築するシステムです。
2.BIMと3DCADの違い
市場に広く普及しているCAD「AutoCAD」や「VectorWorks」(「Jw-cad」は2.5次元CAD)は、2次元の作図だけでなく立体を表現することが可能な3DCADとも呼ばれています。さらに高機能な3次元処理能力を有した専用の3DCADモデルも多数ラインナップされ、有名なものでは「Fusion360」や「OnShape」といったソフトがあります。
これらの3DCADと比較して、「BIM」は何が違うのでしょうか。
BIMは「Building Information Modeling」の頭文字を取ったものですが、日本語に直訳すると「情報を持った建築模型を形成する」という意味です。「BIMはデータベースだ」とも表現されますが、他の3Dモデリングソフトと大きく違う点は、一つ一つの模型自身が「情報を持っている」ことです。
例えば1つの建材パーツや設備パーツに、幅や奥行き、高さといった基本的な情報が盛り込まれています。3DCADの世界では単なる立方体であっても、BIMにはさらに品番やメーカー、価格などの詳細な情報を1つのパーツに情報付加することができるのです。
見た目は同じ立方体でも、より多くの情報を持つBIMは、作図後の資材管理やメンテナンス、積算業務などに簡単に活用することができるシステムです。
これらの3DCADと比較して、「BIM」は何が違うのでしょうか。
BIMは「Building Information Modeling」の頭文字を取ったものですが、日本語に直訳すると「情報を持った建築模型を形成する」という意味です。「BIMはデータベースだ」とも表現されますが、他の3Dモデリングソフトと大きく違う点は、一つ一つの模型自身が「情報を持っている」ことです。
例えば1つの建材パーツや設備パーツに、幅や奥行き、高さといった基本的な情報が盛り込まれています。3DCADの世界では単なる立方体であっても、BIMにはさらに品番やメーカー、価格などの詳細な情報を1つのパーツに情報付加することができるのです。
見た目は同じ立方体でも、より多くの情報を持つBIMは、作図後の資材管理やメンテナンス、積算業務などに簡単に活用することができるシステムです。
3. BIMのメリット
一般的な設計業務のフローとは異なり、BIMを利用することにより設計の段階で、関連するすべての情報を立体モデルに含むことができます。
完成した図面は3DCADと同じでも、BIMで作成されたモデルには資材の種類や必要量、構造計算に関する情報などが設計図面から各部へミスなく展開されていきます。
積算時の数量ミスや発注時の品番ミスを防ぐことができ、仮に設計変更が生じたときもBIMモデルを修正すると関連図面や文書のすべてが自動的に修正されます。
通常の作図と異なり、データ連動が優れたBIMによる作図は大きなミスが発生しません。また、図面を修正する場合も複雑な作業は不要です。
例えば窓の寸法変更したい場合、窓を選択して窓の寸法を書き換えるだけで作業は完了です。
これらの修正をCADで実施した場合はどうでしょうか。
窓に関係する寸法を変更するだけで図面はBIMと同様に容易に修正可能です。しかし、関連する立面図、展開図、断面図、建具表や詳細図、さらに見積書や材料表まで一つ一つを確認しながら修正を加えていかなければなりません。うっかり修正を見過ごすと致命傷になる危険性もあります。
「BIMはデータベース」と呼ばれる理由と最大のメリットがここにあります。
完成した図面は3DCADと同じでも、BIMで作成されたモデルには資材の種類や必要量、構造計算に関する情報などが設計図面から各部へミスなく展開されていきます。
積算時の数量ミスや発注時の品番ミスを防ぐことができ、仮に設計変更が生じたときもBIMモデルを修正すると関連図面や文書のすべてが自動的に修正されます。
通常の作図と異なり、データ連動が優れたBIMによる作図は大きなミスが発生しません。また、図面を修正する場合も複雑な作業は不要です。
例えば窓の寸法変更したい場合、窓を選択して窓の寸法を書き換えるだけで作業は完了です。
これらの修正をCADで実施した場合はどうでしょうか。
窓に関係する寸法を変更するだけで図面はBIMと同様に容易に修正可能です。しかし、関連する立面図、展開図、断面図、建具表や詳細図、さらに見積書や材料表まで一つ一つを確認しながら修正を加えていかなければなりません。うっかり修正を見過ごすと致命傷になる危険性もあります。
「BIMはデータベース」と呼ばれる理由と最大のメリットがここにあります。
4. 代表的な3DCAD
性能面で遥かにCADを凌ぐ性能を有するBIMですが、最大のデメリットは「コスト」です。安価であれば導入ハードルも低いのですが、費用対効果を検討材料に加えると現段階では非常に悩ましい問題です。オートデスク社の「AutoCAD」と「Revit」を比較した場合、1年間のライセンス料が約2倍近いランニングコストの差が生じます。
業務の何を重視するかにより、BIMを導入するのか、 CADを利用するのかが大きく変わります。BIMの導入はしばらく見合わせて、 3DCAD重視で業務を遂行するならば、こちらの3つが代表的なソフトです。因みに、「Fusion360」「blender」「メタセコイア」などは有名なソフトですが、建築の分野よりもアニメ・ゲーム・映像業界が中心のソフトになります。
【SketchUp】
最も手軽な3次元モデリング作成ソフトです。建築だけでなくインテリアから映像作品や漫画の背景まで利用されています。3DCADというよりも3DCGソフトです。
【3ds MAX】
AutoCADと併用利用される機会が多い3次元グラフィックソフトです。
【Rhinoceros 3D】
航空機などを設計するCADで、自由曲面の造形に優れています。建築業界における「コンピュテーショナルデザイン」の代名詞的なソフトです。もちろん有名な「AutoCAD」や「VectorWorks」も3次元処理の機能を有していますが、BIMや専用の3DCADと比較すると3次元処理の機能は低いものになります。
業務の何を重視するかにより、BIMを導入するのか、 CADを利用するのかが大きく変わります。BIMの導入はしばらく見合わせて、 3DCAD重視で業務を遂行するならば、こちらの3つが代表的なソフトです。因みに、「Fusion360」「blender」「メタセコイア」などは有名なソフトですが、建築の分野よりもアニメ・ゲーム・映像業界が中心のソフトになります。
【SketchUp】
最も手軽な3次元モデリング作成ソフトです。建築だけでなくインテリアから映像作品や漫画の背景まで利用されています。3DCADというよりも3DCGソフトです。
【3ds MAX】
AutoCADと併用利用される機会が多い3次元グラフィックソフトです。
【Rhinoceros 3D】
航空機などを設計するCADで、自由曲面の造形に優れています。建築業界における「コンピュテーショナルデザイン」の代名詞的なソフトです。もちろん有名な「AutoCAD」や「VectorWorks」も3次元処理の機能を有していますが、BIMや専用の3DCADと比較すると3次元処理の機能は低いものになります。
5.オススメのBIM
ではオススメのBIMソフトを紹介しましょう。
BIMソフトはさまざまな特徴を持った製品がリリースされています。
特に以下の3つは建築の分野で活躍する主力のソフトです。
【Revit】 「AutoCAD」を提供するAutodesk社のBIMソフトです。AutoCADとは全く異なる思想で開発されているため、同社の製品ながら相性が良いというわけではありません。頻繁に使う作業を自動化するなど、立体モデルを扱うソフトならではの特殊な機能を有しています。
【ARCHICAD】
ハンガリーに本拠を構えるGRAPHISOFT SEが開発したBIMソフトです。コンピュータ上で3次元モデルの建築物を構築する考え方をいち早く提唱した企業です。直感的な操作で作図ができるBIMの入門ソフトとして大きな存在感があるソフトです。
【VectorWorks Architect】
国内でも認知度の高い「VectorWorks」のBIM対応版です。VectorWorksユーザーであれば、違和感なく移行しやすいモデルでしょう。ただし、他のCADソフトとの連携が低く、データの受け渡しに若干の問題があります。
その他にも、株式会社NYKシステムズが開発・販売する「Rebro」や「ARCHICAD」「GLOOBE」などが有名なBIMです。
BIMソフトはさまざまな特徴を持った製品がリリースされています。
特に以下の3つは建築の分野で活躍する主力のソフトです。
【Revit】 「AutoCAD」を提供するAutodesk社のBIMソフトです。AutoCADとは全く異なる思想で開発されているため、同社の製品ながら相性が良いというわけではありません。頻繁に使う作業を自動化するなど、立体モデルを扱うソフトならではの特殊な機能を有しています。
【ARCHICAD】
ハンガリーに本拠を構えるGRAPHISOFT SEが開発したBIMソフトです。コンピュータ上で3次元モデルの建築物を構築する考え方をいち早く提唱した企業です。直感的な操作で作図ができるBIMの入門ソフトとして大きな存在感があるソフトです。
【VectorWorks Architect】
国内でも認知度の高い「VectorWorks」のBIM対応版です。VectorWorksユーザーであれば、違和感なく移行しやすいモデルでしょう。ただし、他のCADソフトとの連携が低く、データの受け渡しに若干の問題があります。
その他にも、株式会社NYKシステムズが開発・販売する「Rebro」や「ARCHICAD」「GLOOBE」などが有名なBIMです。
6.まとめ
いかがでしたか。
2DCAD、3DCAD、BIMには一長一短があります。性能重視で導入するならBIM、徹底的に価格にこだわるなら2DCADの選択になるでしょう。しかし、BIMの導入は作業効率を飛躍的に向上させる力を持っています。
連携ミスをなくし、業務の効率化を図るためにも今後は急速に市場に普及する可能性があります。特に昨今は人材不足が問題化しており、優秀な人材を獲得することが難しくなってきています。ランニングコストの増加にはなりますが、基本設計から積算や監理まで業務を一元化できるBIMは作業効率化や人材不足解消の救世主になるかも知れません。
この記事を読んで「BIMは便利そうだ」と感じたら、一度体験版を利用して正式な導入を検討されてはいかがでしょうか。
2DCAD、3DCAD、BIMには一長一短があります。性能重視で導入するならBIM、徹底的に価格にこだわるなら2DCADの選択になるでしょう。しかし、BIMの導入は作業効率を飛躍的に向上させる力を持っています。
連携ミスをなくし、業務の効率化を図るためにも今後は急速に市場に普及する可能性があります。特に昨今は人材不足が問題化しており、優秀な人材を獲得することが難しくなってきています。ランニングコストの増加にはなりますが、基本設計から積算や監理まで業務を一元化できるBIMは作業効率化や人材不足解消の救世主になるかも知れません。
この記事を読んで「BIMは便利そうだ」と感じたら、一度体験版を利用して正式な導入を検討されてはいかがでしょうか。
著者(田場 信広)プロフィール
・一級建築士、宅地建物取引士
・建築設計、工事監理、施工(大工)、戸建て木造住宅の新築からリフォーム全般、分譲マンションの内装改修、マンションの大規模修繕工事の設計・設計管理、警察署の入札仕事や少年院の特殊な工事も経験
・某資格学校にて2級建築士設計製図コースの講師を6年務める
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