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掲載:2021年09月02日更新:2021年09月02日

注目の新技術データベース「NETIS」について

注目の新技術データベース「NETIS」について
情報量と通信速度は飛躍的に伸び続け、モノがインターネット経由で通信する「IoT(Internet of Things)」社会が進んでいますが、未だにインターネットの有効活用ができていない分野や業種も多く存在しています。
建築業界もその一種で、有益な技術や商品情報の共有化を目的として「NETIS」と呼ばれる新技術データベースが誕生しました。
「NETIS」とはどのような仕組みなのか、「NETIS」がどのように建築分野で活用できるのかについて紹介させて頂きます。

1.注目の新技術データベース「NETIS」とは何か?

注目の新技術データベース「NETIS」について

「NETIS」はNew Technology Information System の頭文字を取ったもので、「ネティス」と呼びます。 元は民間企業等により開発されたデータベースですが、現在は新技術に係る情報を共有及び提供するために国土交通省によって運営されています。 「NETIS」はインターネット上で一般公開されており、法人や個人を問わず誰でも閲覧可能なデータベースです。

単純に新技術や新商品を紹介しているだけでなく、国土交通省が取り組む「公共工事等における技術活用システム」の中核を担うシステムとして整備されています。
公共事業が抱えている多数の問題点を解決することに加えて、優れた技術や商品を持つ企業を補佐し新技術開発を促進する目的で運用されています。
良い新技術はフィードバックを受けて正当に評価されるため、有益な新技術を検索するには最適なシステムです。

NETISに登録されている新技術は、国や県が発注する公共工事の入札時に利用すると加点対象として評価されます。 近年は総合評価方式の入札を採用する公共工事が増えているため、点数獲得のためにも積極的な利用が必要です。
ちなみに2020年度から国土交通省直轄の土木工事は、新技術の活用が原則として義務化になっています。


2.「NETIS」がもつ役割と建設業界が抱える課題

注目の新技術データベース「NETIS」について

「NETIS」が担う役割は、公共工事の評価点だけではありません。 今後深刻化するといわれている建設業界が抱える大きな問題に対して、救世主になるかも知れません。

建設業界に限った問題ではありませんが、日本の人口は2008年をピークに減少傾向にあります。 また、少子高齢化に伴い労働人口が今後急激に減少するといわれています。
特に建設業は優秀な人材確保が難しい状況に陥っています。 「きつい、汚い、危険」と呼ばれる3Kのイメージが強く、社会保険など福利厚生が充実していないことが大きな原因であると考えられます。 建設業でも職種によって人材不足の格差がありますが、今後ますます厳しい状況に追い込まれていくのは火を見るより明らかです。
労働力を確保するためには、外国人労働者を利用するか、作業の効率化を図る以外に手の打ちようがありません。 外国人労働者は法的な制限が厳しく、正規雇用にもさまざまな問題が生じます。

つまり、今後懸念される人材不足の解決策としては「作業の効率化」が必須となります。 作業の効率化を進めるためには「優れた技術」「優れた商品」が大きな鍵を握ります。 有益な情報を共有し、正当な評価を付与することによって、効率的な作業が市場全体に広がり人材不足の打開策につながる可能性があります。


3. 「NETIS」による開発者と施工者のメリット

注目の新技術データベース「NETIS」について

「NETIS」には開発者と施工者の双方に大きなメリットがあります。
どれだけ優れた技術や製品でも、市場に広く訴求できなければ使ってもらえる機会がありません。 営業力を強くすればユーザーへの認知度は上がりますが、同時に営業経費が大幅に膨らんでしまいます。 ここで役に立つのが「NETIS」の存在です。

中立性と公平性を保つことが可能な国土交通省が運営するデータベースであるため、優れた技術や商品を市場に訴求するチャンスが広がります。 従来の営業スタイルであれば出会いが難しかった開発者と施工者が、簡単にマッチングできる場所が誕生したわけです。

双方のメリットは以下のようになります。

開発者側のメリット
・NETISに登録されると施工業者や建設系コンサルタント等に情報が提供されて活用される機会が増える。
・活用効果が優れている技術は「有用な新技術」として選定される。
・有用な新技術は公表され、普及がさらに促進される。
・設計時点でも新技術の採用が期待できる。

施工者側のメリット
・工事成績評定への加点の対象となる。
・作業の効率化が図れる。
・人材不足解消や工期短縮の可能性が膨らむ。
・工事コストの削減につながる。


4. 「NETIS」と「NETISプラス」との違い

注目の新技術データベース「NETIS」について

インターネット上で検索すると、「NETIS」に似た「NETISプラス」というものがヒットします。
「NETIS」と「NETISプラス」は何が違うのでしょうか。

すでに説明したように「NETIS」は民間企業等により開発された新技術関連のデータベースで、現在は国土交通省によって運営されています。
「NETISプラス」はNETISの機能を補完する目的として、一般財団法人先端建設技術センターが運用しているシステムであり、NETISとは直接の関係はありません。
「NETISプラス」は一般財団法人先端建設技術センターの自主事業であり、国土交通省のNETISの情報に対して以下の3つの付加価値(プラス)を持たせた独自の新型データベースです。

機能をプラス
検索方法や検索結果の表示方法をさらに使いやすくして、新技術情報に素早くアクセスできるようになっている。
最大10件のお気に入り技術を登録することによって、検索の省略化ができる。
気になる技術を比較表にして印刷できる機能等も今後追加される予定だそうです。

情報をプラス
動画・写真・カタログなどのマルチメディアに対応して、必要な情報を効率的に収集することが可能。 開発者側はさらに積極的かつ効果的に宣伝ができる。

サポートをプラス
開発者に対しての質問することが可能で、回答などを通じて双方向のコミュニケーションができる。 開発者側もユーザーの生の声を聞けるため、商品開発や改良がさらに効率的になる。
「NETISプラス」は「NETIS」を補完する意味でも利用価値があるデータベースです。 双方とも上手に活用することがお勧めです。


5.現場で使えるオススメNETIS商品の一例

NETISには数多くの新技術情報が掲載されていますが、その中で建築関係に使える実際の技術を2つ紹介します。

テラテック工法

土間コンクリート床の傾き・沈み・たわみ・段差を修正する技術です。
土間コンクリート床下に樹脂を注入して沈んだ床を水平に戻し、床下の空洞を埋める特許工法です。 工場や加工場など、作業が止められない難しい現場でも対応可能です。
狭い範囲で施工可能で、機械や荷物を移動させる必要がありません。
また、床を壊さない工法のため、コンクリートの打ち替えや上塗り工法に比べてコスト面や工期に優位です。 注入する専用のテラック樹脂は、1㎡あたり19t以上の荷重に耐えることが証明された強い材料です。 また、土壌汚染の心配もありません。
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土木・建築構造物コーティング「Water Coat」

「NETIS番号KK-180047-A」で登録されている新型のガラスコーティングです。
雨、汚れ、紫外線など、あらゆるものをガードしてくれる特殊セラミックのガラスコーティングです。
製品特徴としては、汚れがつきにくく洗いやすくなり、数年経過による変化がありません。
また、雨や雪などの悪天候でも施工可能で、天候に左右されにくいメリットがあります。

他にもたくさんの新技術が掲載されていますので、時間のある時にゆっくり検索されてはいかがでしょうか。


6.まとめ

いかがでしたか。 すでに「NETIS」を活用されている企業様も、今回初めて耳にする方もいらっしゃるかも知れません。

NETISは国土交通省が取り組んでいる「公共工事等における技術活用システム」 の中核としての大きな役割を持っています。
国が普及に取り組むシステムは、今後の業界地図や社会的問題に大きな影響を及ぼす可能性があります。 民間工事や小規模工事を専門とする業者でも、新技術を利用することによって人材不足の解消やコストダウンといった大きな恩恵が受けられる可能性があります。

コロナ禍によって新技術や新商品との出会いの場所が難しくなった今、信頼できる新技術のデータベースとしてNETISを有効活用されることをお勧めします。 法人でも個人でも自由に閲覧可能で、評価されることによって技術もさらに磨かれて良い技術ができあがっていくことでしょう。

開発者も施工者も共に繁栄・向上できる素晴らしい仕組みであり、人員削減、コスト削減、深刻化する人材不足をカバーする有効手法の一つとして今後ますます活用されていくことが期待されます。


著者(田場 信広)プロフィール

・一級建築士、宅地建物取引士

・建築設計、工事監理、施工(大工)、戸建て木造住宅の新築からリフォーム全般、分譲マンションの内装改修、マンションの大規模修繕工事の設計・設計管理、警察署の入札仕事や少年院の特殊な工事も経験

・某資格学校にて2級建築士設計製図コースの講師を6年務める






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