セラミックタイルとは?よく使われるシーンとおすすめ商品
セラミックとは、陶磁器などの窯業製品のこと。土や石といった無機物を、高温で焼き固めてつくった内外装材のことをセラミックタイルといいます。
現在日本で流通しているタイルのうち、多くがセラミックタイルです。ガラス製や金属製など他の素材でできたタイルもありますが、一般的に「タイル」というとセラミックタイルのことをイメージされる方が多いようです。
今回はセラミックタイルの種類について解説し、使われるシーンごとにおすすめの商品をご紹介します。
セラミックタイルが使われるシーン
セラミックタイルは汚れがつきにくく、劣化も少ない素材。そのため室内の壁や床はもちろん、屋外の壁や床にも使われます。ワックスがけのようなメンテナンスがほとんど不要ということもあって、住宅だけでなくオフィスビルや店舗などにも適しています。
セラミックタイルというと、昔からキッチンや浴室でよく目にする小口タイルをイメージされる方が多いのではないでしょうか。しかし、最近は技術が大きく進歩し、大判のセラミックタイルもムラなく焼成できるように。少し前までは大きくても600mm角くらいまでのタイルが一般的でしたが、その数倍のサイズのセラミックタイルも一般流通するようになりました。
セラミックタイルが大判化するということは、汚れがつきやすい「タイル目地」が減るということ。清掃の手間が減るため、駅やコンビニエンスストア、ショッピングモールなど、これまで石張りや塩ビタイルが使われていたような建物にも、セラミックタイルが導入されることが増えました。
セラミックタイルの分類
従来タイルの材質は「磁器質・せっ器質・陶器質」といった表記をされてきましたが、最近はJIS規格の改正により「成形方法(A・B)」「強制吸水率(Ⅰ〜Ⅲ類)」を組み合わせた表記に変わりました。
Ⅰ類 |
Ⅱ類 |
Ⅲ類 | |
強制吸水率 | 3.0%以下 | 10.0%以下 | 50.0%以下 |
A |
B |
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成形方法 |
押し出し成形 →含水率20〜25%の原料を ところてんのように押し出して、カットする方法 |
プレス成形 →パウダー状の原料を金型に入れ、 高圧プレスで成形する方法 |
厳密には違う分類ですが、新JIS規格の「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類」は、それぞれ旧JIS規格の「磁器質・せっ器質・陶器質」とほとんど同じと考えてよいでしょう。カタログでは「BⅠ[磁器質]|施釉」のように、併記されていることが多いようです。
Ⅰ類・磁器質タイル
Ⅰ類・磁器質タイルはほとんど水を吸わないため、雨がかかる屋外や水回りでも使いやすい素材です。非常にきめ細かく、叩くと金属のような音がします。汚れにくく丈夫なので、強度が求められる歩道や商業施設の床などにも使われます。
Ⅱ類・せっ器質タイル
磁器質タイルよりもやや水を吸いやすいのが、Ⅱ類・せっ器タイル。素焼きのような少しマットな風合いをもつ商品が多く、屋外壁や床などに使われます。
Ⅲ類・陶器質タイル
最も水をよく吸うのが、Ⅲ類・陶器質タイル。叩くと濁ったような音がします。強度が落ちるため外装には不向きで、内装壁などによく採用されます。他のセラミックタイルよりも低い温度で焼成するため、鮮やかな色や個性的なデザインも叶えやすいのが魅力です。
内装壁におすすめのセラミックタイル
セラミックタイルは、壁紙などに比べて硬質で、簡単には傷がつきません。水や油が染み込みにくく、熱にも強いため、キッチンや洗面所などの壁材にも適しています。素材感があって美しいタイルは、インテリアをワンランクアップさせてくれるでしょう。
爽やかで深みのあるタイル|ルーラル
爽やかな色彩でありながら、焼き物ならではの深みがある磁器質タイルです。リビングのテレビ背面などにアクセントタイルとして取り入れるほか、屋内床・屋外壁にも使うことができます。47.5×22.5mmと小さめのタイルで、大人可愛いインテリアを演出できます。
幾何学模様が美しい|ヒシガタ
「ヒシガタ」はその名の通り、立体的な菱形のセラミックタイルです。菱型の組み合わせ方によって、さまざまなパターン張りをできるのが特徴。凹凸があるので、ライトアップすると美しい陰影を楽しめます。
個性的なデザインタイル|テラゾーヘックス
ランダムに散りばめられた種石が表情豊かな、テラゾー仕上げの六角形タイル。ユニークな形と柄は、どこかレトロさもありながら現代的なインテリアにもマッチします。
浴室の床、キッチンの壁、リビングのアクセントタイル…さまざまな場所に使える、個性的なセラミックタイルです。
超大判セラミックタイル|カバラム
最近は大判タイルが床だけでなく、壁面にも使われているのを目にすることが増えました。磁器質タイル「カバラム」は、長年の研究で最大1200mm×3600mmの超大判サイズを実現。
極薄の3.5mm/5.6mmで軽量なため、施工性も高い大判セラミックタイルです。
内装床におすすめのセラミックタイル
汚れにくく耐久性も高いので、床材にも向いているセラミックタイル。床に使うタイルは、壁に使うタイルに比べて「人が歩いたときの衝撃に耐えられる強さ」が求められます。
清掃しやすい大型セラミックタイル|ネオリス
「ネオリス」の最大サイズは3600mm×1200m。大判で目地が少なく、耐薬品性にも優れているためさまざまな洗剤を使った清掃もしやすいタイルです。内装壁にも適していますが、傷がつきにくいため床材やテーブルトップ、キッチン天板などにも使えます。
光沢が美しい|プレミアムマーブル スリム
特殊技術により、傷や汚れへの強さを高めたセラミックタイルです。表面を鏡面状に磨いた「磨きタイプ」は、シンプルなお部屋も高級ホテルのように上質な空間にしてくれます。
硬度が高いため、大理石のように光沢感が大きく失われることがなく、長期間にわたって光沢が持続します。
和モダンな|ジャパネスクタイル
タイルというと欧米風の住宅をイメージされる方も多いですが、和の空間にもタイルはおすすめです。こちらのシリーズには、和の伝統色が美しい「飛鳥陶板」や、焼きっぱなしの土のような風情ある「桃山陶板」など、さまざまな和風のタイルがラインナップされています。
外装壁におすすめのセラミックタイル
高温で焼かれたセラミックタイルは、耐久性があって外壁材としても使えます。タイル自体に汚れがつきにくいため、最小限のメンテナンスで長く美しさを保てるのも魅力です。デザインや耐久性とともに軽さも意識して選ぶことで、建物の躯体や下地にかかる負担が軽減できます。
都会的な住宅外観をつくる大型タイル|アーバングランド
トレンドのシンプルな形状の住宅には、モダンな大判タイルがよく合います。「アーバングランド」はその名の通り都会的な印象をもつ、天然石の風合いが再現された大判タイルです。戸建て住宅の外壁に合わせて厚さは7mmに設定され、軽量につくられています。
鎧張りの意匠が楽しめる|シェルウォールモデル3
板材を下から順番に重ねていく伝統的な「鎧張り」の意匠が楽しめる、個性的なタイルです。店舗の内装壁に使ってアクセントにするほか、外壁に張って個性的な外観をつくることもできます。カラーは「銀イブシ」と「アンティークゴールド」の2色。どちらも焼き物だからこその味わい深さがあり、光の当たり方による表情の変化も楽しめます。
外装床におすすめのセラミックタイル
商業施設の床はもちろんのこと、住宅の玄関ポーチや駐車場などの床にもセラミックタイルを使えます。外装床の場合は、滑りにくさを計測した「滑り抵抗値」が重要です。「雨が降ったときも滑りにくく安全なこと」と「汚れが落としにくいこと」の双方を高めるよう開発されています。
ノンスリップ性の高いタイル|シャドウ
雨で濡れてしまうことがあるので、屋内床以上に滑りにくさが求められる屋外床タイル。こちらの「シャドウ」には、表面がスムースな屋内床向きの「マット」と、耐滑り性が高く屋外床向きの「グリップ」の2種類の表面仕上げがあり、さまざまな場所にお使いいただけます。
駐車場にも使える強靭なタイル|リジット
「リジット」の厚さは20mm、曲げ破壊荷重は外装床タイルJIS基準値の10倍以上。滑りにくさや硬度が求められる駐車場やパブリックスペースにも最適なセラミックタイルです。サイズは600mm角と400mm×800mmの2種類。柄は石目調14種類のなかから選べます。
まとめ
住宅やホテル、デパート、ショッピングセンター、コンビニなど、さまざまな場所で使われるセラミックタイル。各商品には「屋外床×/屋内床○」など強度や滑りなどを考慮した使用場所の表示がされているので、用途に合わせて使い分けましょう。たとえば屋外床タイルを裸足で歩く住居内に使うと危険だったり、屋内床タイルを外で使うと強度不足や滑りやすさなどの問題がでてきたりすることもあります。
天然石の風合いが楽しめるモダンなセラミックタイル、カラフルでインテリアのアクセントになるようなセラミックタイルなど、カラーや質感もさまざま。
建材ナビの「内装・外装タイル」ページでは、セラミックタイルだけでなくガラスタイルや石材タイルなど数多くの商品が紹介されています。内装・外装タイルをお探しの方は、ぜひご参照ください。
住宅専門ライター