子供が楽しく安全に遊べる大型遊具の選び方。野外・室内の床壁の安全を確保する建材も紹介
公園・レジャー施設・保育施設・学校などの管理者や設計者にとって、子供たちの笑顔と安全を両立させることは、やりがいと同時に大きな課題でもあるでしょう。特に滑り台やジャングルジムをはじめとする大型遊具は、子供たちが思いっきり遊べて人気の遊具ですが、安全面での配慮も必要です。
“楽しさ”と“安全性”という相反するようで切り離せない二つの要素をどう融合させればよいのでしょうか。
今回は、安全で楽しい大型遊具を選ぶためのポイントと、おすすめの建材をご紹介します。
1.野外・室内における大型遊具選びのポイント
大型遊具を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
対象年齢に合った遊具を選ぶ
まず重要なのが、子供の年齢や発達段階に適した遊具を選ぶことです。小さな子供を対象年齢の高い遊具で遊ばせると、転落やケガのリスクが高くなります。また逆に、対象年齢の低すぎる遊具は子供たちの興味が低下し、本来の用途とは違った遊び方をしてケガをする可能性もあります。各製品の対象年齢を確認し、施設を利用する子供たちの年齢範囲とマッチしているか検討しましょう。
品質や安全性を確認する
そして最優先事項となるのが、遊具の安全性です。外部審査委員会が安全性を認定した遊具に与えられる「SP(セーフティプロダクト)マーク」などを確認しながら選びましょう。また、長期的な視点で安全性を維持できるよう、定期的な点検や保守が容易な遊具を選ぶことも大切です。製造元のアフターサポート体制や、部品の交換のしやすさなども考慮に入れましょう。
2.野外・室内で子供に人気の大型遊具
大型遊具は安全性を最優先にしつつも、子供の好奇心や冒険心を刺激する要素を取り入れることが重要です。
安全性を重視するあまり面白味に欠ける遊具では、子供たちの興味を引きつけられず、利用されなくなるか、想定外の危険な方法で使用されるリスクが生じます。
ここからは、安全性と遊びの楽しさを両立させ、子供たちの創造力や運動能力を伸ばせる大型遊具をご紹介しましょう。
複合遊具
複合遊具とは、滑り台・ジャングルジム・ネット登り・ブランコなど、複数の遊具要素を組み合わせたものです。さまざまな遊び方ができるため、子供たちの興味を長時間引きつけ、多様な運動スキルを発達させることができます。
複合遊具の設置が適している場所は、広めのスペースがある公園や大型の保育施設など。室内でも、十分な天井高があれば設置できます。商品選びのポイントは、対象年齢層に適した難易度の要素を含んでおり、安全な動線設計がされていること。定期的なメンテナンスが容易な構造になっているかも確認するとよいでしょう。
ボルダリング
壁を登るボルダリングは、子供の体力やバランス感覚、問題解決能力を同時に養うことができる遊具です。低い高さから始め、徐々に難易度を上げていくことで、幅広い年齢層の子供たちが楽しめます。
室内外問わず設置可能ですが、特に雨天時でも遊べる室内施設におすすめです。適切な厚さのマットを敷くなど、転落時の安全対策についても検討しましょう。
うんてい
腕の力や体幹を鍛えられるうんていは、子供の体力向上におすすめです。リズミカルに移動する楽しさがあり、昔から子供たちに人気があります。
うんていの設置に適しているのは、屋外の公園や学校の校庭、大型の保育施設の園庭など。十分な高さと安全な着地スペースのある場所が理想的です。
低年齢向けは低めで狭い間隔、年長児向けはやや高めで広い間隔のものを選びましょう。バーが握りやすく、滑りにくい素材でできているか、屋外設置の場合は耐候性や耐久性もチェックしたいポイントです。
バランスボード
バランスボードは板やブロックを組み合わせながら、シンプルな平均台よりも複雑なコースが組める遊具です。バランスを取りながら渡ることで、平衡感覚を養います。
室内の遊戯スペースなど、比較的小さなスペースで使えるのがメリット。年齢や能力に応じて難易度を調整しやすいので、保育や発達支援などさまざまな場面で使用できます。
アスレチック
ロープにぶら下がったり不安定な場所を渡ったりと、さまざまな動きを組み合わせたアスレチック。全身運動を促し、子供たちの体力や冒険心を養うことができます。さまざまな障害物を乗り越える過程で、問題解決能力や空間認識能力も向上するでしょう。
広いスペースがある屋外施設に最適ですが、近年では室内用の小規模なアスレチックも人気です。商品選びのポイントは、年齢層に適した難易度と高さのものを選ぶこと。また、安全な落下高さを考慮し、床には適切なクッション材を使用することも大切です。
3.室内の床や壁の安全を確保する建材
子供向けの遊び場をつくる場合は、床や角の安全確保も重要です。
フロアマット
子供を遊ばせるスペースでは、クッション性のある床材を使うと、転倒時の衝撃が軽減されます。滑りにくい床材なら、転倒そのものを予防する効果も期待できるでしょう。
室内のキッズスペースには、柔らかい素材でできたフロアマットなどがおすすめ。周囲を柔らかいベンチで囲むと、大人が座って休憩することもできます。
コーナーガード
室内の遊び場でケガをしやすいのが、柱や壁のコーナー部分。クッション性のあるコーナーガードを設置すると、ぶつかったときの衝撃を和らげることができます。多くの人が利用する遊び場では、汚れがついたり劣化したりするスピードも速いので、防汚性や耐久性の高いものを選びましょう。
4.野外の床や壁の安全を確保する建材
野外でも必要に応じて、安全性の高い床材やクッション材を使うのがおすすめです。
ラバーマット
屋外の遊具周りを弾力のあるラバーマットにすると、万が一、遊具から落下した場合の衝撃が和らぎます。水はけもよいので、雨が降ったときも土や砂のようにいつまでも水たまりが残らず、快適に使えます。
防護マット
ボールを追いかけることなどに夢中になっていると、鉄棒の支柱やゴールポストなどに衝突する事故が起きることがあります。危ない箇所には防護マットを巻くと、万が一衝突したときも重大な事故につながりにくくなります。屋外では雨や直射日光が当たって劣化しやすいため、防水性や耐久性の高い商品を選ぶのがポイントです。
まとめ
大型遊具での遊びは単に楽しむだけでなく、運動能力を高めたり社会性を養ったりとさまざまな役割を果たします。特に公園やレジャー施設には幅広い年代の子供たちが集まりますが、幼児と小学生では運動能力や危機管理能力も大きく異なります。地域の年齢構成もふまえて、遊具の種類や各寸法を検討しましょう。
大型遊具を選ぶときは、予算管理も大切です。本体価格だけでなく周辺整備費も考えておく必要があります。また、安全に使うには定期的な安全点検も不可欠なので、長期的な維持管理費用も見込んだ上で資金計画を立てるのがおすすめです。
大学で建築を学んだ後、住宅専門のライターとして活動中。
主にWebコラムや住宅情報誌で、住宅購入やリフォームのノウハウ、マネー情報等の原稿執筆・編集をしています。