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  • 掲載:2024年02月01日 更新:2024年12月09日

木材をふんだんに使った「木材会館」を作ることになった経緯と、木材利用促進への先駆的取り組みとは
東京木材問屋協同組合 座談会(前編)

座談会風景
木材をこよなく愛し、その魅力を知り尽くす木材のエキスパート達が集う、東京木材問屋協同組合。木材の復権をかけて「もっともっと多くの人々に木材の豊かなポテンシャルを伝えたい」という、熱い思いを語っていただきました。

Guest

庄司 良雄 | Yoshio Shoji

創立100年以上の歴史と伝統を誇る組合の理事長として、木のまち新木場において「木材会館」を運営すると共に、木材の優しさ・強さ・美しさを具現化したランドマークを通じて、都市建築における木材利用を推進している。

東京木材問屋協同組合
東京都江東区新木場1-18-8
木材会館
03-5534-3111

木材利用促進への先駆的取り組み

秋葉 本日は、東京木材問屋協同組合の歴史および、「木材会館」について、その成り立ちや託す思いなどを組合理事長と幹部の方々に、それぞれのお立場からお話しを伺いたいと思います。

庄司理事長 はい、問屋組合は明治39年に創立、今年で117年になります。私は21代目の理事長となり、歴代の理事長を始め、組合員の方々が築かれた基盤と組合のご理解とご協力を得て、今のところ安定的に事業を継続しております。とはいえ、ここで117年間の歴史を全て話すことはできませんが(笑) ちょうど100年という節目に、それまで深川にあった木材会館をこの新木場に移転ということになりました。そして、その際にどうせ建てるなら100周年事業の一環として、業界の広告塔とすべく木材をふんだんに使った会館を作ろうということになりここに現在の「木材会館」が完成したわけです。
この木材会館ができたおかげで、「公共建築物等木材利用促進法」というのができまして、それからだんだん今度は国内の木材を使いましょうという気運が高まり、都市部でも鉄とかコンクリートとかではなく、木をふんだんに使った建物が推進されるようになったという、やはりこの木材会館は時代のトップリーダーというか先駆けの建物であると思っております。

秋葉 そうですか。では次に問屋組合さんの普段の活動の様子などを教えてください。

庄司理事長 はい、組合の中には10の委員会がありまして、いろいろな活動やイベントなども企画し、参加してもらっています。理事会はこの会議室で毎月開催され、各委員会の委員長が、その活動状況を報告することになっています。 そもそも協同組合は中小企業の集まりであり、組合員による組合員のための運営という方針に沿ってやっています。

岡田常務理事 イベントなども大いにやっていますよ。現在は全組合の約300人が7つの班に分かれており、組合から活動補助費も支給されており、各班で会議や勉強会・懇親会を行う等、組合員間での交流を深めています。コロナ禍にはやっていなかったのですが、「木と暮らしのふれあい展」というのも木場公園でやっています。
最近になってようやく、組合としても集まったり動き出せるようになり、市場がどうなっているか、価格はどうかなどという情報交換ができるようになった点が一番大きいですね。

庄司理事長 問屋組合の組合員も、木材製品の他、原木や銘木、製材、加工、合板等、取扱は多岐にわたっており、産地についても、秋田や木曽、吉野等の国産材の他、北米や北洋等の輸入材を扱うところもあり、幅広く分散されています。 組合員の中には、業種や取扱品、お取引先等、競合しているところもありますが、今のところ不思議なくらい皆仲良くやっているんですよ(笑)。

秋葉 情報交換の場であるということは、組合に参加する大きなメリットですね。そのほかに組合として最近取り組んでいることなどはありますか。

岡田常務理事 今年度から始まったのが人材確保ですね。若手の従業員をとにかく入れないと業界が老年化していくという危機感から、今後重点的に取り組んでいく予定なのですが、思ったよりニーズが少なく今のところあまり手ごたえが感じられないのですが……。 これはちょっと長期的に考えないといけないと思うんですね。元々労務委員会というのがあって、かつて労働者を集めるために集団就職を斡旋したり、あと各農業高校を回って就職をお願いしに回ったりなどの活動を問屋組合としてやってきましたが、思ったよりもニーズがないというのが今の私の反省点かもしれませんね。

木力(もくりょく)
人々の日々の生活に必要不可欠な木材の力「木力」。CO2 固定により地球温暖化防止にも貢献。また断熱性や調湿作用、リラックス効果等、人の健康にも力を発揮する。

チャレンジの歴史は100年前から

岡田常務理事 問屋組合の業界では、最近構造材というのはあまり扱わなくなってきており、ビジネスに結び付く内装材の需要を喚起するためには、木材の内装を使うことで、人体に良い影響があるというエビデンスがほしいのです。 もう既に千葉大学との共同研究を始めて2年目になりますが、これは4年計画で結論を出そうという長期的なビジョンでやってる研究です。

庄司理事長 入り口に入ってきた時にあった「木力」(もくりょく)というあれ、あれです(笑)。その木力っていうのも商標登録いたしまして。木にはリラックスさせる力があるということで、それを全面的に打ち出して木材の良さをPRしてもっと需要喚起にということで、力を入れている最中です。

岡田常務理事 触覚についてのデータはもうかなり論文化されて、いずれこれも公表できるようになると思います。

庄司理事長 この間、理事長室を一ヶ月使って触覚、視覚の実験を行いました。白い壁と木の壁を見てどうなのかとか、木の床と違う床で足がどのように感じるかや脳波がどう変わるかなどの実験を進めています。 昔から、問屋組合というのはチャレンジの歴史なんですよ。例えば戦前、1922年、上野公園での平和博にメートル法木材標本の木造住宅を展示し、1924年にはメートル式組合事務所を新築する等、今までの尺貫法じゃなくて、メートルモジュールに挑戦したなどの歴史があります……。だから歴代の理事長はいろいろなことにチャレンジしてると思います。 また、東京オリンピックの際は組合員の方々がどうしてもチャレンジしてみたいということで、そのために森林認証(SGEC)という資格を取りました。

本西常務理事 入札に参加する条件としてSGEC持ってるかが、ゼネコンさんからの発注の判断基準だったんですね。

岡田常務理事 カヌーをやった「海の森競技場」に使われた木材は全部、問屋組合が納品したんですよ。おそらく問屋組合で認証を受け、傘下の組合員が森林認証まで使えるというケースは初めてではないかと思います。

秋葉 建材ナビにも、多くの木材メーカーさんがいらっしゃいます。問屋組合さんとの情報共有などについてアドバイスをいただけますか。

井内理事 はい、建材メーカーさんに限らずゼネコンさん、設計さんにこの建物を実際に見に来ていただいて、木材の使い方を実際に触れて見てもらうのが一番いいのかなと思います。無料で見学を受け入れていますので、ぜひお気軽に来館していただきたいですね。

左から、本西常務理事、岡田常務理事、庄司理事長、井内理事



____後編に続く

木材をふんだんに使った時代の先駆的建物「木材会館」

「木材をふんだんに使うことにこだわりたい。しかし当時は建築基準法ですとか、消防法とかもう非常に厳しくてね……。」 そんな時代でも、木材をふんだんに使いたいという思いが、日建設計の木材への情熱に火をつけ、その知識とデザイン力と、大成建設の技術力の高さにより「木材会館」は完成した。 木材会館は、木材利用促進、木材需要拡大の先駆けとなり、造り方はもちろん、メンテナンスについての問い合わせも多くいただいているという。

建物内のいたるところで、木材が使用されており、入口に入るだけで「木」の香りを感じることができる。

檜ホール。建物7F の圧巻のホール。屋根を支える大梁は、檜の12cm 角で組まれています。

~取材後記~

今回冬号と春号の2部構成で取材をさせていただきました。木材の良さをもっと多くの人に知って欲しいという思いを強く感じ、改めて木の美しさや魅力を考える機会となりました。

取材:秋葉 早紀 建材ナビ広報担当






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東京木材問屋協同組合
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木材会館
03-5534-3111

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