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メーカーインタビュー
  • 掲載:2012年02月01日 更新:2024年08月05日

木材施工のパイイオニア「細田木材工業株式会社」に伺った、ITを駆使した営業スタイル
細田木材工業株式会社

細田木材工業
細田木材工業
細田木材工業株式会社
代表取締役社長 細田悌治
専務取締役 奥村永徳
開発部参事 中谷要

〒136-0082 東京都江東区新木場2-5-3
中野営業所
〒164-0001 東京都中野区中野4-14-9
湘南営業所
〒250-0111 神奈川県高座郡寒川町一之宮6-1-2
https://www.woody-art-hosoda.co.jp/
木材加工、木材施工の先駆的な存在である「細田木材工業株式会社」様は、常に時代の変遷を先読み、新たな付加価値の創造に邁進。特に注目すべき、IT を駆使した情報発信に力を注ぐ先進性についても、忌憚のないご意見を経営陣の皆さまに語っていただきたいと思います。

「天の恵み」である木材を社会の役に立てる使徒として、また「木のソムリエ」として一丸となって目指すものは

建材ナビスタッフ:今回の企画は、木材供給において歴史ある土地として「新木場」をクローズアップし、その歴史とともに歩ん でいらした様々な企業様にインタビューしております。建材ナビというネットメディアを通して、皆さまのビジネ スの動向を様々な角度から発信してまいりたいということで、まず、御社の始まりからお話を伺えればと思います。
細田:こちらの案内にありますように弊社は昭和6年北洋材の製材会社として私の父、細田三郎が新木場の前身であります江東区木場で創業したのが始まりです。戦後、製材は南洋材になりましたが、其の後これに加えてフローリングブロックなどの木工、ボディ材などの人工乾燥、銘木ツキ板、天然木化粧板、床の間材、化粧貼り集成材、輸入フローリング、ウッドデッキなど、その時どきに応じた製品を開発し、そして木工事と事業を進化させてきました。平成になってからはウッドデッキ、フローリングなどは材料の輸入から自社での加工塗装、工事までという木材の輸入元の原材料から工事の仕上がりまでと言う一貫体制が出来上がったのです。細田木材を一言でいうとすれば、その時々の変容する時代のにニーズに応じた「木材の付加価値創造企業」と定義しています。
細田木材工業
建材ナビスタッフ:御社にとって現在、中心となっている、あるいは最も力を注いでいる事業といいいますと?
細田:現在中心となっている製品としてはウッドデッキ、フローリングと集成材を中心とする造作材などの加工と工事です。更にこれからは不燃木材、アセチル化木材などの高付加価値製品のウェイトを高くしたいと思っています。又国産材等に地元東京の多摩産材製品の開発、導入活用に取り組んでいます。
建材ナビスタッフ:御社のホームページには、デッキ、フローリング、リフォームなど、施工例が豊富にあり、これは一般ユーザー も意識されて発信していらっしゃるのでしょうか?
細田:そうですね、最初は設計事務所向けのホームページということでしたのですが、最近はエンドユーザー様からの問い合わせも増えまして、自然にそのような方向になっていきました。メールマガジンも毎週1 回必ず配信し、 営業スタイルや情報発信にもIT を積極的に取り入れています。
建材ナビスタッフ:メルマガは社員さんが毎週順番に担当されているそうですが、内容は業務のことが中心ですか。また、受け 取る方は、やはり一般ユーザーさんでしょうか?
細田:内容は業務の紹介です。こういう現場をやったよとか、このような新しい塗装をやった、こういう難しい加工をやった、こういう施工をしましたよ等々ですね。 社員から出てきた情報を中谷参事が編集しページを作り上げています。
中谷:受け取る方、つまりこちらが配信している方は基本的にはメールマガジンを送らせていただいて いる過去に私どもの営業、もちろん社長も含めて、名刺交換をさせていただいた方です。メールアドレスを登録させていただいて、配信させていただいています。現在名刺登録している方は1万弱ですが、実際に配信している数はもっと少なくなります。
細田:メルマガでそうした情報発信をすると、設計事務所の先生、業者さん、そして一般の方から実際に具体的なお問い合わせをいただきます。弊社のやり方はIT で情報発信をして、あるいは一般の営業もして、それでいろいろなお客様のお問い合わせや質問にきちんと答えて、お客様には施工までやるということです。お客さまによって は自分たちでやりたいという方もいらっしゃいますが、弊社の強みは輸入元から製品を仕入れ、それをしっかりと管理しまして、品質的にも安心していただける製品を施工までできることだと 自負しております。
中谷:ITの発信に関して言えば、メールマガジンのほか、ファックスを配信したり、あとはホームページを見ていただいてということなのですが、私どもの今やっていることはネット販売というより、あくまでIT はきっかけであると考えています。問い合わせをいただいたお客様に、今社長がお話をしたように我が社の担当者が出向いて説明をし、しっかり信頼関係を築いてから、注文をいただくというそういう流れで今はやらせていただいております。
建材ナビスタッフ:御社のホームページに、会社が掲げる4つの信条がありますが、その中で「木材は天からの恵み」であると いう言葉に惹かれるのですが、具体的にはどのようなことを実践し、目指していらっしゃるのでしょうか?
細田:天の恵みである木材は環境に優しい素晴らしい資源です。それだけにその資源を大切に生産、販売、工事することが我々の役割です。具体的には、自然の木の良さを加工で塗装で工事で付加価値をつけて自然の木材の良さをさらに引き立てることが我々の使命であるということです。従って、ただ木材を右から左に流す販売をするのではなく大事に付加価値をつけてお客さまに提供することそれが木材を社会の役に立てることなのです。
二番目の「我々は社業の発展と自己の生活の向上を目ざし常に協力一致してことに当たる」。これはここに書いてある通りでございますけれども。社業の発展と自己の生活の向上というのは、やはり付加価値事業展開をきちんとやれた結果として実現できるということでございます。
三番目の「我々は顧客には親切に製品は大切にそして品質第一にをモットーとする」「顧客に親切に」については、2年ほど前からお客様のご要望に合った製品・施工を提供するという意味合いを込めて自分達を「木のソムリエ」と名づけ、お客様のお好みに合うワインを提供するソムリエのように、私たちもお客様に接する取り組みを始めました。そして、木のソムリエとして実際に営業した成功した事例をみんなの前で発表して、毎月ベスト成功例を表彰してるというようなことをしています。ファーストコールカンパニーという言葉が今よく言われますよね。今我々が目指しているのは、何かあったらまず細田へ、木材のことがあったら何かあったら、まず細田へというようにお客様に思い出していただけるような会社になることです。そのためにはもう一度木材の勉強をし直そうと、もう一度、本当の意味での木のプロになろうということで、木材の勉強を毎日やっています。一日一学と称して。一応教科書があるのですけど、それを写して自分なりにちょっとした所感を書いてというような方法でやってます。あと、品質第一という点につきましてはISOの9001を12年前に取得しまして、細田木材の品質を確立しております。
四番目の「我々は健全な精神と健康な生活を保持し、常に安全な作業を心がける」ということはもうここに書いてある通りでございます。具体的には5S。整理・整頓から清掃・清潔・躾という5Sの推進を、工場 はもちろん職場全体でやるようにみんなで進めております。この四つの信条が私たちの会社の基本的な哲学になっています。ここからすべてスタートにしています。
細田木材工業

木材のプロが追求する「高付加価値の製品」とは

建材ナビスタッフ:歴史のある新木場の木材業といえば、古風でどちらかといえば、ITは苦手とされている印象があるのですが、御社では実に積極的に活用されていますね?
細田:それは二代目、私の兄にあたる先代の社長で現在相談役が情報技術にすごく関心をもたれまして、60歳になってからパソコンを始めて、新木場で一番始めにHPを開始しました。パソコンじいさんと言われながら、うちの中で一番通じてるんです(笑)15年前には営業マン全員にパソコンを持たせまして、営業マンと生産担当。そして最近ではiPadをほとんどみんなに持たせて営業に使っております。全てのその推進を中谷参事がやってます。だから、会議はもうペーパーレス。
中谷:もともとITが専門じゃなくて、私も元は営業をやっていました。それから15年ぐらい前に生産部の担当になって、そのあと今のITで営業を広めていこうということで担当になってもう7、8年ぐらいやってます。
細田:だから、営業もわかる、生産もわかる。何でもわかる人がIT の総責任者になっているわけです。
奥村:簡単に説明しますけど、iPad を営業のツールにしようということですけど。まずは、持ち運びできるホームページとして有効です。次に、やっぱりお客さんのところに持っていって施工事例をお見せするツールとして結構魅力があります。弊社では先ほど話があったウッドデッキの工事を行っているので、自社で施工した例を直接お客様に見せて営業しています。例えば、弊社の業務内容をあまりご存知ない人にはこういう有名なところを見せます。上野公園にパークサイドカフェ、スターバックスコーヒーの施設ができたのですけど、この様な木造の建物の建て方を、弊社で施工したましたとか。 この部位には檜の大きな長い梁とか使っていますとか説明します。あとはここにウッドデッキがあるのですが、これも弊社で施工させていただきましたとか。こういう話をしたりします。この様な公の有名な場所はみなさんが行けるところなんで結構説得力があります。
建材ナビスタッフ:御社ではipad を営業のツールに実に上手く取り入れていらっしゃいますね。施工例もスムーズに見せられますし・・・。ほかにはどのようにお使いでしょうか?
奥村:弊社には設計事務所の資格と建設の資格もあるので、家も建てられます、木材が好きな人に 対して内・外装に木材を仕様した例をお見せします。私どもで作ると適材適所に木材を使ったこのような、家になりますよと目の前で見ていただけます。施工例を見せる以外にiPad を、電子カタログとして使うこともあります。例えばフローリングでしたら、このアプリケーションに、フローリングのカタログを入れておきます。一概には言えませんが今は重いカタログや荷物を持って出かけて、これはこれです、これはこれですってやるような時代ではないと思います。あとは、製品情報や住宅に関する情報を入れておけば、例えば住宅エコポイントのことなど聞かれたとしても、すぐに答えられますから。また、展示会情報なども詳しく入れておけば、いつどこで何をやっているかもすぐ教えてあげることもできるわけです。
建材ナビスタッフ:御社が提唱する付加価値のある商品とは、お取り扱いの製品から具体的に挙げていただけますか?
中谷:弊社が今、力を入れている高付加価値製品のひとつに「アコヤ」というオランダ製の木材があります。通常の木材ですと、木材には割れる、狂う、腐る、燃えるという四つの欠点があるのですが、アコヤは燃える以外はすべてをクリアした木材なのです。それは通常は薬品を塗ったり、樹脂を注入したりして木材の安定性を図り腐らないようにしたりするのですが、アコヤ自体はもう化学的に処理をしてしまって組成を変えてしまう。アセチル化木材といいますが、木材の中にお酢の原料である無水酢酸を高温で中に注入します。木材には水酸基OH 基というのが末端基についているのですが、それをアセチル基に置き換えてしまうと水酸基は親水性で水と仲良くしますがアセチル基は疎水性で水と仲良くしないですから、水を吸いにくくなるんですね。木材が狂ったり割れたりするのは、水を吸って伸びたり、水を放出して縮んだりすることが主な原因です。木材が水を吸収しにくくなり、収縮率を75 パーセント抑えてるということです。 アセチル化することによって水を寄せ付けないから虫も食わない、白アリも食わないということです。通常では薬剤処理をして腐らないようにするのですが、薬剤処理をしてないのに薬剤処理をしたのと同等の防腐性能があるという、日本木材保存協会の認定も取っている木材です。 無処理の木材だと数年で腐ってしまいますけれども、アセチル化木材は地中や水中でも25年。それから地上、通常の外部で使っていても50年はもちますというそういう木材です。

細田:「アコヤ」とともに非常に付加価値の高い製品は不燃木材ですね。
中谷:私どもでは不燃木材にも非常に力を入れており、国産の杉とか檜を不燃材として使おうと考え製品化しております。不燃木材も特に国産材を使うことで、新しい付加価値のある製品が生まれてきました。公共建築物等木材利用促進法という法律が2010年に公布されました。今、国産材のブームといいますか、国産材を2020年までに50パーセントの自給率にするという国の施策もあります。私どもでは多摩産の東京の杉を地産地消として使おうということで、多摩産の杉で羽目板を作ったりしています。そしてこれらの付加価値の高い製品をIT技術も駆使しながらお客様にご提案しています。木材をそのまま使うのではなくて、普通に木材を使ったらこういう欠点はあるけれども、不燃木材にすればこういう場所でも使えますよ、アセチル化木材だったら、こういうふうに使っても狂いませんよ、腐りませんよ、虫にも食われませんよなどのようにです。また設計事務所さんにも、木の欠点を良くご理解して頂いたうえでプランニングしていただけるよう、私どもからご提案させて頂いております。木材は例えば腐るという欠点はもちろんあるのですが、それは木材の欠点以上に施工の仕方によるところが多いと思うのですよね。いわゆる設計の段階で、木材が腐るような場所とか雨がかりのあるような場所の高さに木材を使うなどのプランニングが原因の場合もあります。だからそこのところも木材はこう使っていただいたらよいですよというような木材の欠点をよく知った上で、設計事務所さんにプランニングしていただくというのが必要だと考えるからです。
建材ナビスタッフ:まさしく御社が「木のソムリエ」企業であるという事例として印象深いお話ですね。また、御社では地産地消費の精神で東京産の木材も取り扱っていらっしゃると伺いましたが。
細田:東京でも東京の公共建築物に東京の木材を使いましょうという方針が出されましたね。それから使われるようになりました。それとやはり東京の山が荒れてしまって、なんとかしなきゃいけないと。地方も 一緒なんですけども。全国的な悩みがあって、それがやはり都道府県ベースで、やっぱり東京も東京の多摩の杉をきちんと使おうという動きが多いですよね。
奥村:いま多いですよね。例えば神奈川県だったら、神奈川県産の木材を使いましょうとかね。何とか県産材を使う、地元の木を使おうみたいなね。
細田:もっと極端になりますと、学校の改修に今立ってる杉の木を使ってくれという話がこの間ありましたよ。先日はそれとはまた別なんですけど、R大学に有名なプラタナス、スズカケノキがあるんですけども、あの木が校内を改修するというんで、何本か切ったんですね。その材木がうちに持ち込まれまして。それを加工してベンチにしました。だから、そういう自分たちの木を自分たちのところで使おうという動きがすごくありますね。
細田木材工業

木材をよりアピールできる手法を提案

建材ナビスタッフ:御社では木材以外にも、傷つかない、滑らない、メンテナンス簡単という大変付加価値のある特殊な塗装材もお取り 扱いですが、どのような製品なのでしょうか?
中谷:私どもでは、4年ぐらい前からガラス塗料という特殊液体ガラス塗料という、ガラス塗料の取り扱いを始めて、それは通常のウレタンとかアクリルの塗装、樹脂の塗料、有機性の塗料のように造膜する塗料じゃなくて、中に浸透する塗 料なんですね。ところが浸透する塗料だとなんか塗ってないような感じがするんだけれども、その塗料はガラスの塗料で粒子が非常に細かいですから、木材の中に染みこんで、なおかつがっちりと無垢材を固めてくれる。だから汚れた時にガラスですから、例えばクレヨンでものを書いてそれを洗剤で拭きとって取れればいいんだけど、取れない時にウレタン塗装はシンナーとかアルコールで拭いたら当然コートがくもってしまいますよね。ところがガラス塗料の場合は溶剤性も非常に強く、耐溶剤性が強いから。クレヨンで書いたものをシンナーで拭いてもアルコールで拭いてもきれいにとれてしまう。そういう特徴がある。そういう塗料を扱っています。それで、その塗料の現場が、東京駅の北口にあるステーションギャラリー。あそこの床のフローリングは、全部私どものガラス塗料の塗装をしてあります。もう1年以上、1年3カ月ですか、去年の7月オープンですから、1年3カ月たって、つい最近も見に行きましたけど、何の傷もついてないし汚れもついてない。メンテもただ拭くだけで構わない。ワックスも塗る必要もない。それで、塗った感じもウレタン塗料のようにゴテゴテした、上に膜がついたような感じはしない。木の素材感を出したまま、なおかつきれいさを1年3カ月たってもまだ保っていると。そういう塗料も扱っています。
建材ナビスタッフ:それは細田木材様のオリジナル商品ですか?
中谷:違います。それは他社さんの製品なんですけど。うちはそれを塗装する。それをどうやったらうまく塗装できるかというのを、開発していったんですよね。そして一番いい塗り方はこれだよという。それでやられてるんですけどね。
奥村:「建材ナビ」さんには、フローリングとウッドデッキから掲載して頂き、そのあと不燃木材も載せていただきました。まだ、不燃木材の問い合わせは多くはないですが数件有り、サンプルも出させていただいたりしています。基本的には弊社は高機能化木材と取り扱いに代表されるように、付加価値創造企業。先ほど社長が申しましたけれども。木材をそのまま売るんじゃなくて、提案をする、付加価値をつけるということで木材を販売させていただいてます。そして事業活動しています。ホームページを見ていただいても高機能化木材という欄が左のバナーの中にあります。ぜひそれも建材ナビさんで紹介していただければ、ありがたいですね。
細田木材工業



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