- 掲載:2024年01月22日 更新:2024年09月04日
//= $nameTitle ?>京都の地で京都にしかない伝統工芸を守り、建物に合わせた和紙をプロデュースする
メインロビーに配された、折り紙の蹴鞠は、熟練の紙漉き職人が一枚一枚漉き上げる手漉き和紙「オリジナル koyori 和紙」。
- 株式会社和紙来歩
- 代表取締役和紙プロデューサー
加藤 富美代 -
〒601-8104
京都府京都市南区上鳥羽角田町52
TEL : 075-681-9123 - https://www.washilife.com/
「和紙」という言葉が与える誤解
弊社は100年の歴史を持つ和紙問屋の知識を受け継ぐ和紙の総合プロデュース会社で、日本全国の和紙を取り扱っており、お客様の用途に合わせてご提案しています。建物に合わせた内装材として、北海道から沖縄まで、全国の産地から繊細な和紙をご提案できることが強みだと思います。
和というイメージから、和紙は日本製と思われがちです。
ところが、海外から入って来た紙であっても和の表情があるものは「和紙」に分類されてしまいます。これは「和紙」という言葉に定義がないからです。
その定義がないことが原因で、17、8年前に、弊社の親会社である「株式会社加徳」は、産地を偽装されるという被害に遭ってしまいました。オリジナルの和紙を製作している加徳は歴史のある紙問屋で、「桂」というブランド名で、襖紙や障子紙などを幅広く展開していました。美濃和紙という岐阜産の和紙を、加徳は年間に相当量販売してブランド品になっていたのですが、その美濃和紙が、実は高知産だったことが判明したのです。それまでの美濃和紙で築きあげて来たブランドが、産地が違うという理由で全て廃番となってしまいました。
それ以来、私はお客様には必ず「和紙には定義がない」ということを最初に伝え、原産地や原料の配合などもできる限りよく調べて、正しい情報を正直に伝えることを心掛けています。
藍染の和紙を照明器具に加工する取り組み
弊社は、和紙で何が製作できるか、和紙でどんなことができるかを常に考えています。内装に使う紙、からかみ、襖、障子など和紙のものは言うまでもなく、襖の材料なども扱います。和紙来歩が提供している襖は、縁を漆の職人が塗っておりまして、その職人と一緒にアートパネルを製作したり、和紙を使ったアートパネル作り体験イベントなども開催しております。
また、布や糸などの染めに使われている「藍染」を弊社の紙で試してみようと、藍染職人の工房に和紙を持ち込み、ここ半年くらいどのような染まり方をするのか、実験も兼ねて藍染体験を繰り返しています。藍染めの紙は世の中に沢山ありますが、その職人は藍を育てるところから始めており、そこの藍と弊社の紙とで何ができるかという試行錯誤を繰り返しながら製品化の道を探っています。
今は、藍染の和紙を照明器具に使うための加工に取り組んでいます。そういった、新しい取り組みは積極的に増やしております。
築100年の京町家が和紙のショールームに
「株式会社加徳」の創業者が建てた、築100年の京町家を、一軒丸ごとショールームにして和紙の内装材を紹介しています。日本全国や海外の設計士、建築家の方々が頻繁に訪れて来ます。1階と2階のほか、離れもある広いショールームの中は全て和紙で設えており、照明器具も見ていただけます。
ショールームは京都の御所南という京都の中でも良い立地にあるため、集客力も高く、トークショーなどのイベントの開催や、京都ならではの伝統工芸である日本刀、扇子、織物、レジンなどの作家による商品のインスタレーションなども企画しています。
ショールーム高倉邸彩紙 -SAISHI-
襖紙や和紙、和紙照明等を展示。伝統的な襖紙はもちろん、壁紙としても使える和紙やモダンなアートパネルなど、伝統の技が生み出す商品を間近で確認することができる。
手描きの伝統技法で実現した湯島天満宮の「可動式床間」
湯島天満宮の宮司様からのご依頼で「可動式の床の間」を製作し納めさせていただきました。
手描きの伝統技法を用いた本金で可動式の壁紙となっております。
これからも、ここ京都の地で京都にしかない伝統工芸を守り、その作り手を応援し続けて行きたいと思っています。そのために「和紙来歩」はこれからも未来を見つめたチャレンジを続けて参ります。
可動式床間
湯島天満宮社務所の可動式床間。銀色に見える梅の柄は薄っすらピンクに色付いており、光沢ある銀も角度によって見え方が違う。