- 掲載:2009年09月05日 更新:2024年07月26日
//= $nameTitle ?>しっかり作って大事に使って子孫につなげる建築
昭和33年 (株)三座建築設計事務所(大阪)勤務
昭和37年 (株)三座建築設計事務所(東京)勤務
昭和47年 (株)三座建築設計事務所(東京)退職
昭和47年 山本富士雄設計事務所設立
昭和54年 株式会社に組織変更し現在に至る
平成03年 高齢者にやさしいコミュニティー設計競技佳作入賞
平成14年 武蔵野市産業功労賞 受賞
平成18年 日本商工会議所永年議員(25年)表彰
<著書>
負けてたまるか建築確認
新法令目安箱
<発表論文多数>
論文テーマ(地震、家相、風水、シックハウス、耐震偽装、エコ、リフォーム、アスベスト、200年住宅、気功等)
~取材にあたり~
少子化、高齢化など私たちを取巻く社会環境が時代背景を反映しつつ変遷するとともに、人々の「住まい」への志向性も多種多様な条件が混在する中、はたして最大公約的な「家づくり・満足の方程式」なるものは実現可能なのでしょうか。
今回のSPACE DESIGNでは、しっかり造って子孫に繋げる建物として、21世紀型の建築スタイルの潮流と目される「200年住宅」の構築に情熱を燃やす経験豊かな建築家、山本富士雄氏にお話を伺いました。
設計・デザイン上でお客様からの要望が最も多いものは?
1) 自然素材を使用し、シックハウスをなくし、健康で快適な建築(住宅)
2) イニシャルコスト、ランニングコストメンテナンス費用も低減な建築(住宅)
3) 安全で丈夫で、地震に強く防災・防犯・家相風水も考慮した建築(住宅)
4) お客様のご意見ご要望を最大限生かした建築(住宅)
今まで請けた仕事の中で、興味が持てた・非常に面白かった・ やりがいがあったなどと思われた案件はありますか?
幾つかあるのですが、あえて絞れば、夏涼しく冬暖かいエアサイクルの家です。建築主のご希望で取り組み、パッシブデザインの家を数種類検討し、エアサイクル産業のシステムを採用しました。
1年余りで夏冷房をほんの3日間、冬は1階床下にコンクリート蓄熱の熱源(かくれん房)があり従来の暖房器具は不要であった。循環換気扇も不要であった。大きな「吹き抜け」を設けたが、1階2階どこも温度・湿度が同じであるのは驚異的ですらあった。空気も美味しく、住みよい家であることは間違ない。
設計士・デザイナーとして建築に携わられて、仕事にやりがいや喜びを感じられるのは、どんな部分でしょうか?
ご依頼を頂き、先ず安心して頂いたと感じた時が、喜びと遣り甲斐を感じる最初、次にご信頼を頂いたと感じる時、贅沢を言えば尊敬して頂けたと感じる時が最高の感激、そして「有難う、心から貴台に頼んで良かった」とおっしゃって頂いた時が「涙の出る瞬間」で建築家として人生意気に感じる時です。
設計士・デザイナーとして建築に携わられて、矛盾を感じたり、不満を感じたりした事はありますか?それはどんな場合だったのでしょうか?
先ず、建築確認申請準備を初めてすぐ「法の矛盾」と「行政指導の行き過ぎ」を感じます。「姉歯事件」以来、日本の良さが失われ、建築法規自体も対応も「性善説」から「性悪説」に準拠するものに変わってしまいました。デザインを初め建築に対する自由が失われ、建築が貧困化するのを感じます。次に、厳しい経済環境や建築環境の現代に、「人もやるから、少々の建蔽率違反などして下さい」と自ら「品位品格」を疑う建て主が居る事も事実です。建築家は依頼者に対すると同時に、社会に対する責任も負っています。建築に携わる人間のみならず厳しい倫理観を待たない人が増えたように感じるのはつらいことです。
これからの住宅・建物(又は店舗・商業施設)はこんな風になるだろう というお考えがありましたら教えてください
長期優良住宅(いわゆる200年住宅)が21世紀以降の大きな建築界の潮流になると確信します。しっかり作って大事に使って、子孫につなげる建築(住宅)が求められます。(出来れば可変性を持たせ)木造のみならず鉄筋コンクリト(鉄骨鉄筋コンクリートあるいはプレキャストコンクリート)でしっかり躯体をつくり、設備系統をまとめ可変性を持たせ、戸建住宅にも賃貸部分も持たせ、経済的にも長期使用可能なものが求められます。もう一つは、別宅所有でしょう。都会に一軒、田舎に一軒の家を持ち、毎週往復する事が、地方を活性化し生活を豊にするでしょう。私のホームページをご覧下さい。
~取材後記~
エコロジーへの配慮、健康によい素材、地震への対策、セキュリティのしっかりした住宅、丈夫で長持ちする家、しかも高いデザイン性もあり、その上できる限り低価格で抑えたい・・・・と、近年、家を建てる側の要望も果てしなく?広がっているような気がします。その中で、顧客が充分に満足できる建物を設計しなければならないのですから、建築をする側も相当なご苦労をされていることと思います。
山本先生は、ご自身が理想的な家づくりのアドバイザーとして、デザインや機能面はもちろんのこと、法律的な問題、建築積算から風水まで多岐に渡り、しっかりとしたコンセプト、哲学に基づいての住まいづくりを実践されています。特に、積算による「適正価格の住まい」を追及されているところは、消費者にとって大きな魅力であり、家を建てる際に、建築家のアドバイスの必要性をさらに認識するきっかけとなるに違いありません。
取材・文 建材ナビディレクター 中島