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建築家インタビュー
  • 掲載:2010年10月06日 更新:2024年08月07日

小規模な建物を密度高く設計する

遠藤 泰人
株式会社空間スタジオ
遠藤 泰人(YASUHITO ENDO)
〒151-0053
東京都渋谷区代々木4-23-13エトワール代々木302
TEL:03-3379-1571
FAX:03-3379-1572
<経歴>
1950年 東京生まれ 東京育ち
東京教育大学付属駒場高校、早稲田大学理工学部建築学科を経て、1974~75年デンマーク王立芸術アカデミー建築学校に学ぶ。(デンマーク政府給費留学生)
その後ヨーロッパ・北アフリカを1年半ほど遊学。 1978年 早稲田大学大学院修士課程(都市計画専攻・吉阪研究室)修了。
同年LAND計画研究所(現LANDSHIP)に勤務。
1980年 TIME計画研究所設立
1983年 (財)国際科学技術博覧会(筑波博)協会に移り、主にヨーロッパ各国のパビリオンの設計に携わる。
1988年 株式会社空間スタジオに改組。現在に至る。
1993年 山口市主催・中原中也記念館公開設計競技・佳作賞
INAXデザインコンテスト最優秀賞
多摩ニュータウン稲城連絡橋コンペ・3席入選
1999年~ 日本女子大学住居学科非常勤講師。

日本女子大学住居学科非常勤講師
福祉住環境コーディネーター
高齢社会の住まいを考える会会員
SE構法登録建築家


~取材にあたり~

今年もやっと爽やかな秋空の季節になりましたが、この時期から始まる朝晩の冷え込みは、近年増加している「ヒートショック」の一因といわれています。ヒートショックとは、急激な温度変化が体に及ぼす影響のことであり、平成19年度、東京ガス都市生活研究所の推計によると、ヒートショックで亡くなった人の数は全国で毎年14,000人と交通事故死者数の約2.4倍にのぼり、年々増加傾向にあるそうです。
ヒートショックを防ぐ根本的解決法は、家の中を各部屋間の温度差の少ない状況にする。つまり今後も、住まいの高気密化・高断熱化が益々必要となりそうです。

今回のスペースデザインでは、常に建て主側のさまざまな要望を最大限生かしながら、建て主との共同作業で住まいを創り上げるというモットーのもと、光、風、眺望など、敷地の条件を生かした高強度の住宅づくりに挑む建築家、遠藤泰人氏にお話を伺いました。



建物の設計をする上で先生が得意とする設計、またはデザイン分野というものはございますか?

住宅の他診療所など小規模な建物を、密度高く設計することを信条としています。 住宅ではバリアフリー、高齢者対応、障害者対応住宅に力を入れています。身近に障害のある子供がいることや、父や母の介護の経験から、将来を見据えたバリアフリーの計画を常に心がけています。
以前母が入院先から自宅に戻る時に車いすの生活になると言われ、呆然としたことがあります。リフォームなど出来ない純和風の住宅だったからです。
それ以来、住まい手の身体能力が落ちてきた時のことを想定し、さりげない工夫で将来困らないような設計にするよう心がけています。




興味が持てた・非常に面白かった・やりがいがあったなどと思われた案件はありますか?

大学在学中に手探りで初めての住宅を設計しました。非常に充実していた楽しい時代でした。その経験が私の原点となっていることを、このごろ特に感じています。

規模の大きな仕事や、海外プロジェクトもいろいろ手がけましたが、やはり一番やりがいのある仕事は、建て主との共同作業で創り上げる、住宅だと思っています。同じような感覚で、共同住宅や、診療所(歯科・耳鼻咽喉科・内科・小児科など)、小規模の商業ビル・ 事務所ビル・観光施設等の設計も行ってきました。
また、マザー牧場での仕事も大変充実したものでした。15年くらい前にゲート・事務所・売店を設計しました。ニュージーランドの施工会社が絡んでいましたので、ニュージーランドに打ち合わせに行ったりもしました。
その後、マザー牧場の新しいアトラクションファームツアーの駅舎も設計しました。参考にする建物がなかったので、かなり思い切った建物にしましたが、好評です。




設計士・デザイナ-として建築に携わられて、矛盾や不満を感じたご経験はありますか?

時として、現行の建築基準法の非合理性を感じたり、行政や他の民間機関の自分たちの責任逃れのためとしか思えない手続きの煩雑さなどに不満を感じることがあります。




今、先生が最も注目されている技術あるいは工法などありましたら、お教えください。

最近では、木造でも大きな空間を安心して造れるSE構法に注目しています。住宅は勿論、中規模の建物にも適しています。
今回、マザー牧場が50周年を迎えるにあたり、創業当時からのゲート・事務所・売店を、私の設計で建て替えました。SE構法を採用したおかげで、木造ながら、広々とした空間が実現しています。



今後、このような仕事をしてみたいと思われる分野はありますか?

光、風、眺望など、敷地の条件を活かした住宅設計を基本に、自然と融合した保育園、幼稚園、障害者施設、低層集合住宅などを、より多く手掛けて行きたいと思います。
又、全然別の分野ですが、葬祭場の設計というものに興味をもっています。

現代では忘れかけられてしまった、精神性の高い葬祭空間を造ってみたく思います。






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シーズン毎で取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。2007年秋にスタートして四半期毎に新しい記事の更新をしています。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。