ARCHITECT
建築家インタビュー
- 掲載:2024年07月19日 更新:2024年08月06日
//= $nameTitle ?>魅力的な空間や街とプラスの未来をどうつくっていくかを考えた先に社会貢献がある。
moca design office
岡本 大(おかもと まさる)
一級建築士・管理建築士
〒153-0042
東京都目黒区青葉台1丁目14−4
東京都目黒区青葉台1丁目14−4
TEL:03-4400-6246
東京大学大学院修了後、大成建設株式会社設計本部に6年間勤務。さいたま新都心駅前の大型商業施設「コクーン2」や、商業・宿泊複合ビルである「京成押上駅前ビル」「JS博多渡辺ビル」「樟風荘(太宰府天満宮の保養所)」、「大手建材メーカーの九州工場内施設」等、大小様々な規模、様々な用途の設計監理を経験。
その後、株式会社日本設計にて5年間勤務し、さらなる超大型建築物の設計に従事。「日本橋髙島屋三井ビル」のオフィス部分を担当後、大手日系ホテルブランドの合計40万㎡を超える宿泊・業務・商業複合施設5棟の企画設計を担当。ゼネコン設計部、大手組織設計での11年間を通して、商業施設・業務施設・宿泊(MICE)施設・居住施設を主軸としながら、その他、生産施設、保育施設、スポーツ施設、娯楽施設等の設計経験を積む。
街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す設計事務所 moca design officeを設立し、今に至る。
<主な経歴>
2004-9 京都大学卒業
2009-11 東京大学大学院修了
2011-15 大成建設設計本部
2016-21 日本設計
2021- moca design office
その後、株式会社日本設計にて5年間勤務し、さらなる超大型建築物の設計に従事。「日本橋髙島屋三井ビル」のオフィス部分を担当後、大手日系ホテルブランドの合計40万㎡を超える宿泊・業務・商業複合施設5棟の企画設計を担当。ゼネコン設計部、大手組織設計での11年間を通して、商業施設・業務施設・宿泊(MICE)施設・居住施設を主軸としながら、その他、生産施設、保育施設、スポーツ施設、娯楽施設等の設計経験を積む。
街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す設計事務所 moca design officeを設立し、今に至る。
<主な経歴>
2004-9 京都大学卒業
2009-11 東京大学大学院修了
2011-15 大成建設設計本部
2016-21 日本設計
2021- moca design office
感動の実体験を増やすことで、デザインや設計力を磨いていく
デザインや設計力を磨くために努力していることとしては、できるだけ感動の実体験を増やすようにしていることです。普段の業務では、オフィスにこもりがちになってしまいますが、休日や連休を利用して新しくできた建築・施設に足を運ぶよう心がけています。表面的なリファレンスとしては雑誌やインターネットから入手という方法でも、多種多様な情報を取り入れることができますが、提案の芯になるような部分は、やはり実体験で見たり・触ったりして、感動した経験から、魅力的なアイデアが生まれるケースが多いと感じています。
どんなに新しいと思えるようなデザインでも、実は「組み合わせ」か「そぎ落とし」か「少しのジャンプアップ」で出来ていると考えています。「組み合わせ」は文字通り、他で部分的にはあったものを組み合わせて、そのバランスが新しかったり、「そぎ落とし」は組み合わせと逆に、ひとつに特化することで新しく見せたり、ということです。例えば、建築として見たことは無くても、小さなスケールのプロダクトではあったようなものを建築化するだけで、今までに見たことのないスケール感の新しいものが出来上がったりします。伝統的な茅葺屋根を現代の素材で作り直すことができたら、それも新しい表現になったりするでしょう。 それらが良い、または魅力的なデザインになるかどうかとはまた別の話ですが、新しさがないものを目指すよりも、何か新しい点が含まれる提案をしたいと考えたとき、一段階ひねって考えるためには、体験としての蓄積があると、「少しのジャンプアップ」につながりやすいと考えています。
さらに一歩踏み込むと、感動した体験については、なぜ感動したんだろう、なぜ良いと思ったんだろうと分析をするように心がけていることです。雑誌を見ているだけでは得られないものは、体全部を使って感じる何かです。空間やカタチ、色等は、必ず人の認知に影響をもらたしており、設計者はその効果を把握し、狙った上で平面図なりカタチなりを決めていきます。
『「ここで一度立ち止まってもらうようにしたい」と考えたなら、正面の壁で受ける』とか、『「少しだけ奥を隠して、でも少し見えるようにして期待感を与えたい」と思えば、ルーバー等で少し仕切る』とか、『「高級感がでるように」であれば、木・石など素材自体を検討する』わけですが、このようにひとつひとつの狙いが、実は空間・カタチ・色に表れてきて、それらの組み合わせが最後ひとつのデザインになって出来上がるので、「感動した」だけで終わりにするのではなく、なぜ感動したか、なにが効果的だったのかを分析し、小さな要素に分解することで、前述した「組み合わせ」で使える選択肢が増えていくことにつながると考えています。
実際の感動体験、その分析を経て、最後に目指しているところは、計画やデザインの内容を「説得力を伴って説明できるようになること」です。ぱっと見た時の印象がよければ説明が不要なこともあるかもしれません。けれど、基本的には提案を受ける側の気持ちとしては、どうしてこういう提案になったかを聞くと、理解度が高まり、より納得感につながると考えています。
どんなに新しいと思えるようなデザインでも、実は「組み合わせ」か「そぎ落とし」か「少しのジャンプアップ」で出来ていると考えています。「組み合わせ」は文字通り、他で部分的にはあったものを組み合わせて、そのバランスが新しかったり、「そぎ落とし」は組み合わせと逆に、ひとつに特化することで新しく見せたり、ということです。例えば、建築として見たことは無くても、小さなスケールのプロダクトではあったようなものを建築化するだけで、今までに見たことのないスケール感の新しいものが出来上がったりします。伝統的な茅葺屋根を現代の素材で作り直すことができたら、それも新しい表現になったりするでしょう。 それらが良い、または魅力的なデザインになるかどうかとはまた別の話ですが、新しさがないものを目指すよりも、何か新しい点が含まれる提案をしたいと考えたとき、一段階ひねって考えるためには、体験としての蓄積があると、「少しのジャンプアップ」につながりやすいと考えています。
さらに一歩踏み込むと、感動した体験については、なぜ感動したんだろう、なぜ良いと思ったんだろうと分析をするように心がけていることです。雑誌を見ているだけでは得られないものは、体全部を使って感じる何かです。空間やカタチ、色等は、必ず人の認知に影響をもらたしており、設計者はその効果を把握し、狙った上で平面図なりカタチなりを決めていきます。
『「ここで一度立ち止まってもらうようにしたい」と考えたなら、正面の壁で受ける』とか、『「少しだけ奥を隠して、でも少し見えるようにして期待感を与えたい」と思えば、ルーバー等で少し仕切る』とか、『「高級感がでるように」であれば、木・石など素材自体を検討する』わけですが、このようにひとつひとつの狙いが、実は空間・カタチ・色に表れてきて、それらの組み合わせが最後ひとつのデザインになって出来上がるので、「感動した」だけで終わりにするのではなく、なぜ感動したか、なにが効果的だったのかを分析し、小さな要素に分解することで、前述した「組み合わせ」で使える選択肢が増えていくことにつながると考えています。
実際の感動体験、その分析を経て、最後に目指しているところは、計画やデザインの内容を「説得力を伴って説明できるようになること」です。ぱっと見た時の印象がよければ説明が不要なこともあるかもしれません。けれど、基本的には提案を受ける側の気持ちとしては、どうしてこういう提案になったかを聞くと、理解度が高まり、より納得感につながると考えています。
「デザインの方向性をブレさせない」ためにも、目標に近づくための議論を重ねていく
もうひとつ、説明できることによる効果としては「デザインの方向性をブレさせない」ということが挙げられます。お施主様の中には、独自のこだわりを持っている方もいらっしゃいます。その場合、よくある失敗しがちなケースとしてお施主様自身が具体的にデザインしようとしてしまうケースです。
建築士は空間やカタチに落とし込むプロなので、Aという目標に対してはこういうカタチが合っているだろう、という蓄積があります。そこに、上書きするようにお施主様から「ここは、こういう別のカタチにしたい」と具体的なカタチを指示されてしまうことがあります。
ただ、プロの目から見ると、そのカタチだとAという目標からは遠のき、Bになってしまう。Aという目標よりも大事なことであればそれでも良いのですが、本来の目的を忘れてはいけないのが基本とすると、やはり考えなおした方が良い。
ただ、この場合、お施主様は当初の案に違和感を持たれているので、当初の案を強引にねじ込むというのは違います。Aという目標を達成する他のカタチを含め、複数案提案し、比較したうえでどれが一番良いか納得してもらうプロセスを取るのがベストだと考えています。
こうしたコミュニケーションにおいて、建築士が効果をきちんと説明できるかどうかにかかってきます。「こっちの方がいいと思うんです。」に対してお施主様の「いや、そうは思わない」だけで終わってしまうのではなく、大きな目標Aに向かって、どうやったら近づいていくか議論を深めることができ、「デザインの方向性をブレさせない」につながってくると考えています。
このようにmocAでは、体験⇒分析⇒言語化⇒コミュニケーションの円滑化という一連の流れを意識しながら、わかりやすく、共感しやすいデザインについて日々研究を重ねています。
建築士は空間やカタチに落とし込むプロなので、Aという目標に対してはこういうカタチが合っているだろう、という蓄積があります。そこに、上書きするようにお施主様から「ここは、こういう別のカタチにしたい」と具体的なカタチを指示されてしまうことがあります。
ただ、プロの目から見ると、そのカタチだとAという目標からは遠のき、Bになってしまう。Aという目標よりも大事なことであればそれでも良いのですが、本来の目的を忘れてはいけないのが基本とすると、やはり考えなおした方が良い。
ただ、この場合、お施主様は当初の案に違和感を持たれているので、当初の案を強引にねじ込むというのは違います。Aという目標を達成する他のカタチを含め、複数案提案し、比較したうえでどれが一番良いか納得してもらうプロセスを取るのがベストだと考えています。
こうしたコミュニケーションにおいて、建築士が効果をきちんと説明できるかどうかにかかってきます。「こっちの方がいいと思うんです。」に対してお施主様の「いや、そうは思わない」だけで終わってしまうのではなく、大きな目標Aに向かって、どうやったら近づいていくか議論を深めることができ、「デザインの方向性をブレさせない」につながってくると考えています。
このようにmocAでは、体験⇒分析⇒言語化⇒コミュニケーションの円滑化という一連の流れを意識しながら、わかりやすく、共感しやすいデザインについて日々研究を重ねています。
図面の80%以上はBIMで完成させ、2D作図は減らす方向へ
mocAで取り入れている業務効率化の工夫は、Revit LTをメインツールとして活用し、2D作図作業を極力少なくしていることです。現状では、一部の部分詳細図のみにAutoCADを使用して、80~90%以上の図面をBIMで完結させ、2D作図を減らすよう心がけています。
従来の2D図面のメリットのひとつとして、図面と他の図面と切り離して作図できることが挙げられますが、大規模プロジェクトのように多くの人手が必要な場合等、人海戦術するのに適しているのが大きな強みです。私が以前勤めていた大手組織設計事務所でも大規模プロジェクトが多いゆえに、多くの人と同時並行で作業ができるため2DCADが主流でした。
一方で、図面が切り離せるがゆえに、1カ所修正が出ると、関連する複数の図面も修正しないといけない等、1の修正に対する手間が2倍、3倍に増えるというデメリットも併せ持っています。
では、BIMではどうかと言うと、3Dで作図するBIMは図面と他の図面と切り離すことが難しく、1か所修正すれば、連動して他の図面も修正されるという点が大きな強みである一方で、1カ所修正することで、他への箇所への影響や不整合がすぐに明るみに出てくるため、修正作業を分解していくことが難しい一連の作業になってきます。
これは裏を返せば、プロジェクトに精通した一人または少人数で作業することで効率が最大化されるため、BIMは小規模設計事務所にこそ適したツールで、少数精鋭の設計事務所が最大限の効率で業務を行うためのマストアイテムになるというのが私の考えです。
BIM以外にも、3Dソフトはたくさんありますが、BIMのメリットは、基本設計や基本計画として3Dで検討したイメージやアイデアを、その延長線上で図面化して見積・申請図・実施図として発行できることです。BIM以前であれば、イメージ検討用にモデル作成、パース作成、それとは別に、別のソフトで2D図面作成と、とても一人でこなせる仕事量で納まることはあり得ませんでした。それが今は、構想から打合せ資料作成、モデル作成からパース作成、申請図まで一人で対応できるような効率化性能がひとつのツールに備わったと言えると思います。
従来の2D図面のメリットのひとつとして、図面と他の図面と切り離して作図できることが挙げられますが、大規模プロジェクトのように多くの人手が必要な場合等、人海戦術するのに適しているのが大きな強みです。私が以前勤めていた大手組織設計事務所でも大規模プロジェクトが多いゆえに、多くの人と同時並行で作業ができるため2DCADが主流でした。
一方で、図面が切り離せるがゆえに、1カ所修正が出ると、関連する複数の図面も修正しないといけない等、1の修正に対する手間が2倍、3倍に増えるというデメリットも併せ持っています。
<図面からCGまで>
では、BIMではどうかと言うと、3Dで作図するBIMは図面と他の図面と切り離すことが難しく、1か所修正すれば、連動して他の図面も修正されるという点が大きな強みである一方で、1カ所修正することで、他への箇所への影響や不整合がすぐに明るみに出てくるため、修正作業を分解していくことが難しい一連の作業になってきます。
これは裏を返せば、プロジェクトに精通した一人または少人数で作業することで効率が最大化されるため、BIMは小規模設計事務所にこそ適したツールで、少数精鋭の設計事務所が最大限の効率で業務を行うためのマストアイテムになるというのが私の考えです。
BIM以外にも、3Dソフトはたくさんありますが、BIMのメリットは、基本設計や基本計画として3Dで検討したイメージやアイデアを、その延長線上で図面化して見積・申請図・実施図として発行できることです。BIM以前であれば、イメージ検討用にモデル作成、パース作成、それとは別に、別のソフトで2D図面作成と、とても一人でこなせる仕事量で納まることはあり得ませんでした。それが今は、構想から打合せ資料作成、モデル作成からパース作成、申請図まで一人で対応できるような効率化性能がひとつのツールに備わったと言えると思います。
レンダリングソフト「LUMION」による業務効率化
もうひとつ業務効率化に役立っているのが、LUMIONというレンダリングソフトです。LUMIONのおかげでパース作成が早く、簡単に、ストレスフリーになったことも業務効率化に大きな成果をもたらしています。ひと昔前は、レンダリングをするのに夜の間パソコンをフル稼働させて、朝起きたときにその出来栄えをみて、喜んだり、がっかりしたりする状況でした。そこからPhotoshopのレタッチでなんとか見栄えのするものに修正をしていくのに数時間かけており、他の作業にも追われる設計者がパースに時間を取ることはできず、どうしても外注になる。外注になると検討中の段階では、きめ細やかな対応がしにくくなる場合が出てくる。という悪循環が今までのスタンダードでした。
それが、今ではRevit LTで作成した3DモデルをLUMIONに移行し、15分程度で見栄えのするパース作成が可能になりました。検討段階では自社でパースを作成し、勝負パースだけ外注してクオリティを上げるという役割分担も明確になって、最終的なクオリティ向上にもつながっています。
また、時間短縮ができることによって、労働時間が短縮されるのはもちろんですが、結果的には質の向上と、施主満足度にもつながっていると感じています。要求されたものが仮に短納期であっても、BIMの作業効率性を生かして、mocAでは複数パターンの提案を行うようにしているのですが、発注者側に選択してもらうプロセスを取り入れることで、同じ方向を目指した検討がしやすくなり、満足度の向上や、その後のコミュニケーションのスムーズ化に貢献していると感じています。
最近は外観・インテリアデザインにAIツールが使用されたCGパースが出てきたり、VR技術が一般化されてきたりと従来では考えられなかったような設計手法や体験が生み出されつつあり、技術の進化を実感しています。AIや自動化でできることが増えれば増えるほど、エンドユーザー側の要求も厳しくなることが予想されますので、設計事務所としても新しい手法やツールが出てきた際には、トライアルアンドエラーを繰り返しながら、業務に取り入れられる部分がないか常にアンテナを伸ばすよう心がけています。
それが、今ではRevit LTで作成した3DモデルをLUMIONに移行し、15分程度で見栄えのするパース作成が可能になりました。検討段階では自社でパースを作成し、勝負パースだけ外注してクオリティを上げるという役割分担も明確になって、最終的なクオリティ向上にもつながっています。
また、時間短縮ができることによって、労働時間が短縮されるのはもちろんですが、結果的には質の向上と、施主満足度にもつながっていると感じています。要求されたものが仮に短納期であっても、BIMの作業効率性を生かして、mocAでは複数パターンの提案を行うようにしているのですが、発注者側に選択してもらうプロセスを取り入れることで、同じ方向を目指した検討がしやすくなり、満足度の向上や、その後のコミュニケーションのスムーズ化に貢献していると感じています。
<LUMIONによるレンダリングパターン>
最近は外観・インテリアデザインにAIツールが使用されたCGパースが出てきたり、VR技術が一般化されてきたりと従来では考えられなかったような設計手法や体験が生み出されつつあり、技術の進化を実感しています。AIや自動化でできることが増えれば増えるほど、エンドユーザー側の要求も厳しくなることが予想されますので、設計事務所としても新しい手法やツールが出てきた際には、トライアルアンドエラーを繰り返しながら、業務に取り入れられる部分がないか常にアンテナを伸ばすよう心がけています。
理念となる考えをバックボーンに建築を提案していくことが大切
表層的な見た目に特化したトレンドを追いかけることはあまりしないのですが、トレンドワードやトレンドとなっているコンセプトを使って提案に厚みを増すということは積極的に行っています。ここ数年の建築業界のトレンドワードとして挙げられるものを考えてみると、「サステナブルデザイン」「SDGs」「バイオフィリックデザイン」「ウェルビーイング」「自然素材」「バナキュラーデザイン」などがあります。
設計事務所としてのmocAの目標は、「街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す」ことを掲げていますが、上記であげたトレンドワードと共通する部分があり、それぞれを重要テーマとして捉えています。地球環境のためだったり、人類全体のためだったり、人が持続的に生き生きと生きていくための方法であったり、社会的な意義や貢献を意図したワードで、ひとつのプロジェクトだけの話にはとどまらず、理念となる考えをバックボーンに建築を提案していくことはとても大切なことだと考えています。
設計事務所としてのmocAの目標は、「街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す」ことを掲げていますが、上記であげたトレンドワードと共通する部分があり、それぞれを重要テーマとして捉えています。地球環境のためだったり、人類全体のためだったり、人が持続的に生き生きと生きていくための方法であったり、社会的な意義や貢献を意図したワードで、ひとつのプロジェクトだけの話にはとどまらず、理念となる考えをバックボーンに建築を提案していくことはとても大切なことだと考えています。
個々のプロジェクトでは、トレンドを利用した提案を積極的に行う
一方で、個々のプロジェクトに話が移ると、特にB to Bの提案の場合、基本的には投資用や事業用建築ということになるため、発注者側から最も要求されることは「コストを安く、でも見栄えのするように」というものがほとんどです。コンセプトを大々的に掲げて、理念をカタチにしたいというところをスタートにするケースの方が稀なため、徐々に突き上げ型で設計事務所側から「こういう観点を取り入れてはどうか」と提案していくスタンスを続けています。
もともと、建築家や建築士は、もともと社会貢献や社会的な意義を大事にしたいと思う人が多い職業だと思っています。建築基準法は条文に記載の通り「最低の基準」であって、最低限を目指して建築士になろうと思った人はいないはずで、最高の建築をつくりたいと日々努力している建築士がほとんどなのではないでしょうか。
どう魅力的な空間や街をつくっていくか、どうプラスの未来をつくっていくかを考えるのが楽しい、その先に社会貢献をしたいと思う人たちの集まりだと思っています。
そんな中、世の中としてトレンドワードが浸透していると、事業者側も「なんかやってみよう」「流れにのってみよう」「いいことは取り入れよう」「コストがそんなにかからないならやってみてもいいかも」と前向きな姿勢になってくれる環境ができてくると考えており、それにうまく乗じてトレンドを利用した提案を、積極的に且つ戦略的に行いたいと思っています。
以前、全長80mもある路地状敷地にテナントビルを計画するという提案の中で、「前面道路にある緑道を路地奥まで引き込んで、毛細血管のように街に緑をめぐらせるビルをつくりましょう」という提案をしたことがありました。
もちろんテナント区画面積を最大限確保した上での話になりますが、「緑をふんだんに取り入れ、訪れる人にとって魅力的な空間をつくるだけでなく、且つそれがSDGsへの貢献にもつながり、集客だけでなく、社会貢献をするディベロッパーとして、会社のブランド力も向上させることにつながります」という提案をさせていただいたところ、大変好評を頂きました。
これもトレンドとして、社会全体の責務として認識されているからこそ、効果的な提案になったのだと考えています。
他にも、招き猫発祥の地として有名な豪徳寺では、「招き」を現代風に解釈してアーチを多用し、「多くの招きを呼ぶ」テナントビルという提案しました。地域ならではの表現を建築に取り入れることで、集客ビルとして目立たたせるという直接的な目標以外にも、地域の歴史を尊重し、地域の新しいシンボルとしても親しまれるようにという想いを込めています。
同様に、清住白河では、アートの街、カフェの街、木々の多い街という3つの魅力をそのままファサードデザインに反映し、駅前の新しい街の顔となるようなデザインを提案しました。
2つのプロジェクトで共通するのは、入居テナントの方々より「地域らしさ」を表現するデザインを大変気に入っていただき、入居につながったことです。
テナントの方々は、今後も継続してその地域の中で活動される方々ですので、ソフト・ハードの両面で、地域の魅力を盛り上げる方向性に共感頂けたのではないかと思います。
SDGsの目標とする「住み続けられるまちづくり」は、単に建固なビルをつくればいいということではありません。人が愛着をもって、長く住み続けたいと思える街づくりも、SDGsの目指すところであると考え、提案を続けています。
もともと、建築家や建築士は、もともと社会貢献や社会的な意義を大事にしたいと思う人が多い職業だと思っています。建築基準法は条文に記載の通り「最低の基準」であって、最低限を目指して建築士になろうと思った人はいないはずで、最高の建築をつくりたいと日々努力している建築士がほとんどなのではないでしょうか。
どう魅力的な空間や街をつくっていくか、どうプラスの未来をつくっていくかを考えるのが楽しい、その先に社会貢献をしたいと思う人たちの集まりだと思っています。
そんな中、世の中としてトレンドワードが浸透していると、事業者側も「なんかやってみよう」「流れにのってみよう」「いいことは取り入れよう」「コストがそんなにかからないならやってみてもいいかも」と前向きな姿勢になってくれる環境ができてくると考えており、それにうまく乗じてトレンドを利用した提案を、積極的に且つ戦略的に行いたいと思っています。
以前、全長80mもある路地状敷地にテナントビルを計画するという提案の中で、「前面道路にある緑道を路地奥まで引き込んで、毛細血管のように街に緑をめぐらせるビルをつくりましょう」という提案をしたことがありました。
もちろんテナント区画面積を最大限確保した上での話になりますが、「緑をふんだんに取り入れ、訪れる人にとって魅力的な空間をつくるだけでなく、且つそれがSDGsへの貢献にもつながり、集客だけでなく、社会貢献をするディベロッパーとして、会社のブランド力も向上させることにつながります」という提案をさせていただいたところ、大変好評を頂きました。
これもトレンドとして、社会全体の責務として認識されているからこそ、効果的な提案になったのだと考えています。
他にも、招き猫発祥の地として有名な豪徳寺では、「招き」を現代風に解釈してアーチを多用し、「多くの招きを呼ぶ」テナントビルという提案しました。地域ならではの表現を建築に取り入れることで、集客ビルとして目立たたせるという直接的な目標以外にも、地域の歴史を尊重し、地域の新しいシンボルとしても親しまれるようにという想いを込めています。
同様に、清住白河では、アートの街、カフェの街、木々の多い街という3つの魅力をそのままファサードデザインに反映し、駅前の新しい街の顔となるようなデザインを提案しました。
2つのプロジェクトで共通するのは、入居テナントの方々より「地域らしさ」を表現するデザインを大変気に入っていただき、入居につながったことです。
テナントの方々は、今後も継続してその地域の中で活動される方々ですので、ソフト・ハードの両面で、地域の魅力を盛り上げる方向性に共感頂けたのではないかと思います。
SDGsの目標とする「住み続けられるまちづくり」は、単に建固なビルをつくればいいということではありません。人が愛着をもって、長く住み続けたいと思える街づくりも、SDGsの目指すところであると考え、提案を続けています。
「岡本 大」の建築への思いと建築作品
「BIM導入」について語っている建築家
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建築家インタビュー
シーズン毎で取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。2007年秋にスタートして四半期毎に新しい記事の更新をしています。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。