瓦屋根の種類と特徴を比較!最適な屋根材を選ぶ方法
屋根工事を検討しているものの、どんな瓦を選べば良いか分からず困っていませんか?
瓦にはたくさんの種類があり、メリットやデメリット、性能、デザインなどはさまざまです。
屋根は建物の耐久性にも関わる重要な役割を持っています。
屋根に不具合があると建物全体の問題につながるため、屋根材選びは慎重に行う必要があります。
この記事では、屋根瓦の種類ごとにメリット・デメリット、性能や特徴、さらに屋根工事の費用相場まで分かりやすく説明・紹介します。
自宅に合った屋根瓦を選ぶ際の参考にしてみてください。
1.屋根に使う瓦の種類ごとのメリット・デメリット
屋根瓦にはたくさん種類がありますが、その中でも一般住宅でよく使用されている「粘土瓦」と「セメント瓦」のメリット・デメリットを紹介します。
粘土瓦
粘土瓦は耐久性が非常に優れており、基本的に塗装が必要ないことが大きなメリットです。その耐久性は、奈良県元興寺で1400年経った今でも使われているほどです。 他にも、遮熱断性が高く、耐火性・防水性・防音性があることが特徴です。
デメリットとしては、屋根材の中では価格が高いことです。 また、瓦自体が重いため建物の耐震強度に影響することがあります。
粘土瓦には「釉薬瓦」と「無釉瓦」の2つの種類があり、それぞれの特徴は下記のとおりです。
釉薬瓦は水がしみ込みにくく、耐久性に優れていることが特徴です。 釉薬によって瓦にさまざまな色とツヤを出せるため、和風・洋風問わず建物の雰囲気に合った屋根材を選びたいという人に向いています。
無釉瓦の中でも「いぶし瓦」は渋い銀色が特徴の瓦です。 いぶすことで瓦表面に作られた炭素膜によって作られるその風合いから、和風住宅の屋根に向いています。
セメント瓦
セメント瓦とは、セメントと砂と水を混ぜたものを型に入れて形成し塗装した瓦です。
形状や色が粘土瓦とよく似ていますが、まったく別の種類の瓦になります。
セメント瓦は形や色のバリエーションが豊富なため、建物の雰囲気や外壁の色に合わせやすいことが大きなメリットです。
その他にも気温の変化に強く、耐火性に優れているという特徴を持っています。
デメリットとしては、塗装仕上げのため定期的に塗装メンテナンスが必要になります。
瓦自体に防水性がないため、塗料が剥げてしまうと瓦が割れたり雨漏りの原因になったりするため注意が必要です。
プレスセメント瓦とは、セメントと砂を主原料とした瓦です。
製造過程によって加圧成形されることからプレスセメント瓦と呼ばれています。
プレスセメント瓦は形や色のバリエーションが豊富でデザイン性に優れており、高級感があることが特徴です。
建物の雰囲気に合わせて形や色を選ぶことができるため、どんな雰囲気の建物にも適しています。
初期費用が安いため、コストを抑えたい人に向いています。
コンクリート瓦とは、セメントと水と骨材を混ぜ押出し成形した後、着色セメントスラリー塗装とクリアー塗装をして養生したものです。
着色セメントスラリーとは、コンクリートと同質の無機質着色剤で塗装した防水層のことです。
コンクリート瓦は押出し成形で製造されるため、寸法精度が非常に高いことが特徴です。
プレスセメント瓦と同様、形や色のバリエーションが豊富でデザイン性に優れています。
さらに防水性・断熱性・耐震性も優れているため、屋根に高い性能を求めている人に向いています。
2.屋根に使う瓦の種類ごとの費用相場
屋根工事を検討している場合は、業者に依頼する前に費用相場を把握しておくべきです。
知識がないままでは悪徳業者に騙される危険性があります。
屋根工事には部分的に修理する簡単な工事と、屋根全体をリフォームする規模が大きい工事があります。
以下では屋根全体をリフォームする場合の費用相場を、瓦の種類ごとに紹介します。
(30坪の家の場合)
粘土瓦の費用相場
粘土瓦の屋根をリフォームする場合の施工法としては、「葺き替え」と「重ね葺き(カバー工法)」があります。
葺き替えの費用相場は60~200万円です。
葺き替えとは屋根材を丸ごと新品に変える工事で、屋根材・人件費・足場・屋根材撤去・屋根材処分などの費用がかかります。粘土瓦以外の屋根材にも交換可能で、葺き替えた屋根材によって費用は変動します。
重ね葺き(カバー工法)の費用相場は80~120万円です。
重ね葺き(カバー工法)とは既存の屋根材の上に新しい屋根材を取り付ける工事で、屋根材撤去・屋根材処分費用がかからないため、葺き替えより安く施工できます。 ただし、屋根の劣化症状によっては施工できない場合もあります。
セメント瓦の費用相場
セメント瓦の屋根をリフォームする場合の施工法としては、「葺き替え」と「重ね葺き(カバー工法)」、「塗装」があります。
工事には、塗料や人件費、足場、洗浄などの費用がかかります。
また、使用した塗料によって費用は変動します。
葺き替えと重ね葺き(カバー工法)の費用相場については以下をご確認ください。
3.屋根に使う瓦の種類ごとの耐用年数
瓦の耐用年数は種類によって異なります。長く良い状態を保つために、メンテナンス時期も合わせて把握しておきましょう。
粘土瓦の耐用年数
粘土瓦の耐用年数は釉薬瓦で50~100年、無釉瓦でも30~50年と言われています。
屋根材の中でもっとも耐用年数が長いです。
セメント瓦の耐用年数
セメント瓦の耐用年数は30~40年です。しかし、経年劣化により塗料が剥げてしまうため、10~15年ごとに塗装メンテナンスが必要です。
4.あなたの家に適した種類の屋根瓦を選ぶ3つのポイント
あなたに適した屋根材を選ぶポイントが3つあります。
1. 使いたい屋根材の目的を決める
2. 信頼できるメーカーの商品を選ぶ
3. 優良業者に工事を依頼する
以下では、どの屋根材を使って施工していけばいいのかを決めていきましょう。
使いたい屋根材の目的を決める
• コストをかけたくないから費用重視
• イメージを変えたいからデザイン重視
• 良い状態を長く保ちたいから耐用年数重視
屋根材の目的を決めるときは上記の3つで悩むことが多いでしょう。 あと何年この家に住むかを考えるとあなたの目的も明確になりやすいでしょう。
例えば、屋根工事をしてから30年住むのであれば、耐用年数に優れた屋根材を選ぶ方が良いということです。 あなたのライフスタイルを考えて、コストやデザイン、耐用年数などから重視する目的を決めてみましょう。
信頼できるメーカーの商品を選ぶ
• 石州(島根県):「シバオ」や「丸惣」など和瓦に強い
• 淡路島(兵庫県):「登瓦製造所」や「井上瓦産業」などいぶし瓦に強い
注意点としては、無名のメーカーの商品を選ばないようにすることです。
質の悪い商品はすぐに壊れる恐れがあるため、信頼できるメーカーの商品を選ぶようにしましょう。
優良業者に工事を依頼する
万が一、悪徳業者に依頼してしまうと高額な費用を請求されたり欠陥工事をされたりしてしまう危険性があります。 業者に依頼するときは、次のことに注意してください。
• 業者による現地調査の時間が短すぎる業者が現地調査で屋根の上にあがらない
• 出てきた見積書に詳細が明記されていない
• 見積りは複数の業者に依頼する
現地調査の時間が15分以内の業者は、隅々まで見ていないため適正判断がされていない可能性が高いです。 現地調査で屋根の上にあがらない業者は信用できません。屋根は、遠くから見ただけでは状態を確認できないためです。
見積書に詳細が明記されていない業者はトラブルになる可能性があります。施工法や材料、道具、人件費、諸経費などが明記されているか入念にチェックしましょう。 見積りは複数の業者に依頼しましょう。相見積もりをすることで費用や工事内容を比較できます。
屋根工事は決して安いものではありません。
上記の内容に注意して優良業者に工事を依頼しましょう。
5.まとめ:あなたの住宅に適した種類の屋根瓦は工事の目的から選ぼう
どのように屋根工事をするかは決まりましたか? 特徴やメリット、費用相場などから適した瓦を選んで、あなたの住宅をすてきに、そして快適に生まれ変わらせてください!
塗装技能士2級
2年半の外壁塗装の職人経験
外壁、内壁塗装に関する知識と実務経験