- 掲載:2011年09月06日 更新:2024年07月26日
//= $nameTitle ?>”建築をつくる”ということはその地域に対して一つの責任を負うことだと思います。
岡山県津山市河辺1150-8 メゾン津山301号
1980年 日本工業大学工学部建築学科卒業
1984年 株式会社 第一工房
1994年 岸本泰三建築設計室設立
<所属団体>
岡山建築士会
NPO 法人 木の建築フォラム
津山町並み調査会
社団法人 日本建築家協会
「建築と地域とのつながり」を大切に創り上げてきた、深いこだわりはどこから。
――建築をつくる
"建築をつくる" ということは、その地域に対して一つの責任を負うことだと思います。建築は長い時間にわたる地域との関わりの中でその場所に影響を与え続けます。
したがって、建築を" 地域" から切り離して考えることは出来ません。少なくとも" 地域" から無機的に独立した建築は、人々の日常生活に資することは出来ないと思います。それを自覚することから出発する必要があります。私たちは、この様に考えながら設計を進めています。
――住まいをつくる
「施主を理解し、場所を読む」ことを大切にしています。日常を豊かに過ごしてもらえるように、また、その場所の持つ可能性を最大限に生かし、地域や環境との「つながり」を創りたいと思います。住宅からは、そこに住む人の「人となり」が見えてくるようです。
生活する家族とそれを包みこむ建築が共にいい関係で、日本の四季を感じながら、時を重ねて、美しくなっていく建築を目指します。
中国山脈の豪雪地帯の過疎地に建つ、若い夫婦と子供2人のための住宅。居間から、テラスから、自然と対峙できる家。村民からは「富の行灯」と呼ばれている。
――富の行灯
施主は、山深い小さな集落の清流と雪に惹かれてこの地( 旧富村) に居住を決めた。家々が程良く離れたこの集落では、世帯の境界は視覚上あまり関係がない。居間から、テラスから、自然と対峙の時がある。
竣工して5年が過ぎ、村民からは「富の行灯」と呼ばれている。
1)既存の蔵と石垣、井戸を全て再利用する計画
水田の石垣をエントランスのアプローチ、駐車場に再利用して建物の平面計画は決定された。
既存の蔵は最小限 の改造を施して家族の遊び場となった。
井戸もまた、20年を経て再び生活水になっている。
2)自然を楽しむと共に、それと対峙するための居間の延長としてのテラス
テラスは柱に囲われていることで、外との境界をわずかに感じることができる。
床高はこの地域の平均降雪量に合わせて、GL+500 とした。
冬には外が雪に埋まり、居間・テラス・外部空間は同レベルを共有し、内部空間の存在をくっきりと映し出す。
夏は谷風の通り道となり、屋根(庇)は夏の直射日光を遮る。
テラスは富の自然を楽しむ為のバッファーゾーンである。
3)杉野縁(間伐材)の利用と年輪を刻む家
テラスの外壁と蔵を含めた建物全体の腰板は、木造の天井下地や壁下地に用いる地元産の杉の間伐材である。
一本一本壁の胴縁に打ち付けられた杉の棒(36×36)は昔ながらの腰板より耐候性を増し、漆喰壁との対比で、その存在感と呼吸する建築を印象づけてくれる。
テラスの天井も壁と同じ杉の視覚天井とした。
1974年に設立された「やよい保育園」園舎西側の傾斜面一体が、地滑り区域に指定された、「やよい保育園移転新築工事」が実現の運びとなった
――やよい保育園
基本計画では、平屋の計画案も検討したが、敷地の制約から一部 2階建てになった。動線の中心になる玄関部分に、1階と2階をつなぐ階段を計画し、吹抜けの階段周りに基壇を設けて、段差を利用した図書コーナーを提案した。
玄関は、乳幼児をお母さんから園にお預かりする場所でもあり、エントランスホールのわずかな「ゆとり」のスペースとなった。子供たちにとって、お母さんのお迎えを待つ間にも、楽しむ事のできる図書コーナーになってくれることを願っている。
大部分が平屋の園舎は、平面的な凹凸を少なくし、各室の視覚的なつながり、広がりを大切にした計画である。平面的に広がる計画上の問題は、外光の入らない部分ができやすいことである。特に、北側の保育室が暗くならないように、廊下や便所、また、園舎の中心にあるプレイルームにも、各所に大きなトップライトを設けた。可能な限り自然光で保育できる、明るい保育園をめざした。
また、十分な広さを確保できていないプレイルームは、扉と間仕切を同じ扱い(仕様・デザイン)にして、1年に何回かある大きな集会等には、扉・間仕切りを壁際に収納することで、両側にある廊下も室内に取り込み、広いプレイルームとして活用できる計画とすることができた。
狭い敷地(20坪)に建つ若いご夫婦と子供2人の家。施主の要望「遊園地みたいな遊び心がいっぱいある家」を見つける事から、この計画は始まった。
――遊び心がいっぱいの家
津山市の住宅地、狭い敷地(20坪)に建つ若いご夫婦と子供2人のための独立した住居。敷地に建っていた車庫兼倉庫を撤去の上、ご両親の母屋に繋げて新築した計画である。
母屋とは二面の外壁を接することになり、また、母屋の床は前面道路から約1.5m 高い位置にある。
複雑な敷地条件の整理と、施主の要望「遊園地みたいな遊び心がいっぱいある家」を見つける事から、この計画は始まった。
北側の道路境界にも接して建つこの住宅は、ファサードの2枚の壁が、セキュリティとプライバシーを守る役割を担っている。前庭の植栽も、その中に箱庭のように設けられた。
土間は、外部空間の少ないこの住宅の「軒下」、あるいは「内庭」という考え方で、子供たちの遊び場である。土間の吹抜空間を中心に、スキップフロアで展開し、無窓の吹抜を、トップライトと階段によりデザインする事で、施主の要望も満足された。
吹抜に対して諸室を開放できる計画にする事で、平面的な狭さを意識させない生活空間を提案した。また、トップライトと二重屋根の空気、吹抜けの暖かい空気を再度土間の床に戻す(夏季は排気)、ささやかなパッシブソーラーも試みた。
屋上には、杉板とグレーチングのデッキがあり、バーベキュー・日向ぼっこをしながらインターネットもできるため、家族のコミュニケーションの場として活躍するはずである。