- 掲載:2016年06月06日 更新:2024年08月07日
//= $nameTitle ?>設計者が造っているのは紙の上に描く箱ではなく、家族が暮らす住まい。
NPO法人 住宅建築家協会理事
神奈川県小田原市荻窪314正和ビルみなみ302
建築とは数あるデザイン作業の中で唯一、法律の規制を受ける創作行為です。必要なのは優れた感性とセンス、そしてモラルだけです。
それらの規制を守り、環境が与える長所・短所を正しく理解し、その環境の中で建てられる最良の建物を当たり前に建てられることこそが大切だと考えます。
経歴 | |
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1960年 | 香川県生まれ |
1980年 | 学校法人中央工学校建築設計科 卒業 |
1980~93年 | 設計事務所勤務 |
1993年 | 空間デザイン室天工舎として独立 |
2003年 | 新宿OZONEにてセミナー「建築家が語る"目からウロコのシックハウス対策"」を開催 |
2006年 | メディアファクトリー出版から『犯行現場の作り方』を出版 |
2007年 | 日本推理作家協会主催の文芸賞「日本推理作家協会賞評論部門」の最終選考作品にノミネート |
2008年 | ミステリ作家の有栖川有栖氏との対談本『密室入門!』を出版 |
2009年 | 第九回本格ミステリ大賞評論・研究部門最終選考にノミネート |
2010年 | 早川書房月刊誌『ミステリマガジン』に、エッセイ「建築視線」連載。 設計活動の他に、建築基準法の解説本の監修や原作執筆。 その他ミステリに関するエッセイやコラム、書評等を多数執筆。 |
2016年現在 | 韓国のミステリ雑誌『MYSTERIA』にも掲載中。勿論、建築家としての活動も精力的に展開中。 |
強いこだわりやご希望をお持ちの方の家は特に印象に残っています
どの仕事も思い出深いのですが、中でも何かに強いこだわりやご希望をお持ちの方の家は特に印象に残っていますね。以前、化学物質に強く反応してしまう方の家を設計させていただいた経験がありますが、その時は素材選びに半年近くの時間が掛かりました。
今でこそ「シックハウス」という言葉が知られるようになりましたが、基準法で「シックハウス」に関する規制が成されたのは2003年。それ以前は、今ほど化学物質に関するアレルギーや問題点を認識されていた訳でもなかったので、自然素材だけで家を造ろうとすると、どうしても材料を探すことが難しく、また値段が高くなってしまい、コスト・コントロールの面でも苦労したことを覚えています。その甲斐もあり、依頼された御夫婦は、家に居る時は体調を崩すことも無くなり、今も快適に安心して暮らしています。
家族が暮らす住まい造りには、何よりも血の通ったコミュニケーションが大切
家を建てようと思い立つと、資金計画から始まり、土地の確保やパートナー探しと言った具合に、様々な事柄を自分で調べなければなりません。たいていの方は初めての経験でしょうから、どこから手を付けたら、どんなふうに家が建つのか分からず、不安な思いを抱きながら動いていると思います。ひょっとすると、手っ取り早く近くの住宅展示場に飛び込んでしまうのかもしれませんね。
確かにそれも一つの解決方法かもしれませんが、一つだけ知っておいてほしいことは、家を造る方法にはたくさんの選択肢があるということです。家造りのプロデューサー的な人を探し出し、その方と二人三脚で家造りをすることが理想です。ニュートラルな立場に立ち、相談者に適したアドバイスをしてくれる設計者が必ず居ますので、そんな設計者を見付けることが出来れば、家造りの半分は成功したと言っても良いでしょう。
その為には琴線に触れた方を見付けたら、とにかく相談してみることです。電話でもメールでも手紙でも良いです。まずは話をし、聞いてみることです。設計者が造っているのは、紙の上に描く箱ではなく、家族が暮らす住まいです。血の通ったコミュニケーションが、何よりも家造りには大切だと考えています。
意見がぶつかることは「良い家の完成」という目標があるから。
個々の仕事の中で矛盾や不満を感じたことはないと思います。と言うか、覚えていないと言った方が正しいかもしれません。
設計中や工事中に、納まりやデザイン・考え方の違いから意見がぶつかることはありますが、それは誰もが真剣に「その家」と向き合っているからで、トコトン話し合えば結論は必ず良い形で出てきます。
そのためには他者の意見を尊重し自分の考えを見直す柔軟性が必要ですが、その先には「良い家の完成」という目標があるので、きっと出来ると思います。