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建築家インタビュー
  • 掲載:2024年07月01日 更新:2024年09月11日

よりシンプルで「自然と共存する」家づくりを

エン・アーキテクチャー+デザイン一級建築士事務所
久成文人
En.Architecture+Design(略称En.A+D)
エン・アーキテクチャー+デザイン 一級建築士事務所
久成 文人(HISANARI FUMIHITO)
一級建築士/宅地建物取引士

〒700-0080
岡山県岡山市北区津島福居1-13-29-1
TEL/FAX:086-254-5456
<En.Architecture+Design コンセプト>
デザインしたいのは、濃い時間です。同じ時間なのに空間の違いで穏やかに流れもし、日常の一コマを別人の表情に変えてくれたりもします。 空間を描くことはそうした時間のデザインであり、これこそ私がめざす方向なのです。 建築はさまざまな分野が行き交う交差点のようなもの。 人間を真ん中において空間と時間を組み立てる。 そうした仕事が一つ二つと、取り組めていければと願っています。

<主な経歴>
1963年 12月 岡山県生まれ
1986年 3月 日本工業大学工学部建築学科 卒業
1999年 9月 EN.Architecture+Design 設立


要望は必要な部屋の数のみ

ー施主様の要望で最も多い内容はどんなものですか。

私共が提案する建物を事前に調べてこられるお施主さまがほとんどですので、要望らしきものは無いです。聞いてる私がボーとして聞き損じているのかもしれませんが(笑)
皆さん、私共が大切にしている暮らしや建築に対する考え方に賛同して頂いて進めていきますので、要望は、暮らす為に必要な部屋 の数ぐらいですね。

プロトハウス『gift』|PROJECT-X29<GOOD DESIGN AWRAD 2019受賞>
キュートなフォルムとロフトのある家(29Tタイプ)。 ほどよいつながりを感じる一体空間タイプ


プロトハウス『gift』とは?
En.Architecture+Design(エン・アーキテクチャー+デザイン)が住宅設計において基本としている作法を取り入れたオリジナル設計レシピにより、ひとりひとりの暮らしを大切に包み込むようフレキシブルに計画された基本プランを、ご希望に応じてカスタマイズ(設計・仕様変更)できるプロトハウスプランです。

知らないうちに設計力は磨かれている

ーデザインや設計力を磨くために努力されてることや、業務効率化で工夫されてることなどがありましたら教えてください。

カタチあるものすべてに共通するのですが、「なんでこんな形になってるのか」「なんでこんな色なのか」とか…をまじめに一度立ち止まってじっくり考えて、自分なりの答えを出す事が苦にならない人は多分、知らないうちに磨かれていると思います。
業務効率化で工夫というほどではありませんが、同じ失敗を繰り返さない事ですかね。

プロトハウス『gift』|PROJECT-X29<GOOD DESIGN AWRAD 2019受賞>
街にはじめての風景を…高知市に建つgift2のモデルハウスです。敷地にはオープンデッキが広がり家具、小物、オーディオ、グリーン、エクステリアなど細部にわたりディレクションさせていただきました。gift2を通じて‘いい未来に暮らす‘ことのイメージが体感頂ければ嬉しいです。



デザインはビジュアルだけでなく良い計画をする事

ー設計をするうえで意識していることを教えてください。

私は何の為にその建築物は必要なのかをまず、考えます。その際、たまに現在のデザインや技術は正しい方向へ向かっているのか疑問に思うことがあります。 例えば自然の力にあらがって、耐震技術を進めているのが正しいとは思いません。もっとちがうアプローチで自然力と共存できる工法や考え方があるのではと私は思います。
また、デザインはビジュアルだけでなく良い計画をする事と捉えています。
デザインを考える。その結果、カタチが生まれ、より自分好みにする為に表層を飾り、モノをその空間にしつらえていると考えています。私達、建築家がするべき仕事の大切な部分は、ちゃんとデザインされているものを提供できているかが大切と思っています。

hitominoyakata|Project 72
高知市の市街地に建つ住宅。変形敷地の環境に寄り添いながらシンプルなフォルムと吹抜のある家はこれからの暮らし方のスタイルを提案しています。



図面の精度を上げる事が伝える手段

ー現場での職人とのコミュニケーションで困ったことなどありましたか?

若いころは現場でバチバチやりあった時代もありましたね。(笑) どうしたら自分の考えている事が出来るのか悩んだ事を思い出します。一人でよく空回りしていました。
年々と学習して気づいたのが「図面の精度」を上げる事です。現在は、細部に渡りディテールの詳細を書き込んでいます。相手にわかりやすくゴールを明確にして伝える手段の一つとして汗(図面)を書くようにしています。それからは困ったことはほとんどなくなりましたね。
早く気づければもっと楽しく時間を過ごせたのにとは思いますので若いスタッフには、楽をするなと偉そうに言っております。(笑)



「無理な」「難しい」注文とは思わない

ー勉強熱心な施主に対してはどのように対応されていますか?一般ユーザーから、難しい注文又は無理な注文などもあると思いますが、その場合にはどのように 対応されましたか?

勉強熱心な施主は大好物ですね!なぜなら、熱い思いがあるから熱心になるのですから。何に対して熱い思いを持っているのか理解できれば、その思いを建設的な方向にアドバイスさせて 頂くだけです。すると、その熱量(エネルギー)を力に私も頑張れますので、施主と楽しい時間を共有できます。

難しい注文に関しては、コストのお話も交えながらその目的を達成する「最良の案」を導きだします。無理な注文は、最初にその無理の目的をお伺いして提案しております。
どちらも予算あってのお話なので施主からの無理難題より、どう計画(デザイン)すれば最良な提案が出来るかを考えますから、あまり「無理」とか「難しい」とは思って仕事していない感じですね。

Fun・fun・fun…|project-23
高知の市街地に建つ住宅。白い門型の庇は平屋部分のグレーの壁面とのコントラストを成しており、シンプルなファサードを創り出すと共に、高知特有の強い日差しと敷地周辺の建物からの視線を防ぐフィルターとしての役割を果たしています。



よりシンプルに建築を見直す必要がある

ーこれからの住宅・建物はこんな風になるべきであるというお考えがありましたら教えてください。

人が、家で暮らす時、必要な事をあげると、「安心・安全・快適」がベースにあると考えます。
これからの住宅建築の考え方のキーワードに今までしてきた自然と対峙する事を出来るだけなくして「自然と共存する事」を基本に考えると、もっと豊かでいい未来が待っていると私は思います。

例えば地震対策ですが、「いつ・どこで・どのくらい」の地震が起きるのか今だ明確にはされていないと思います。構造計算を軽んじるのではありませんが、そもそも平屋建てで建てれば少なくても2階建て以上の建物より安心安全は担保できるという感じです。
今までの既成概念からもっと「シンプル」に人が住まう家という建築を見直す事が必要と感じています。



施工事例








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シーズン毎で取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。2007年秋にスタートして四半期毎に新しい記事の更新をしています。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。