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掲載:2025年04月10日更新:2025年04月10日

アースカラーのトレンドは続くか? 2025年の住宅建材で流行する色を解説

近年、ファッション業界では、自然の色合いを取り入れた「アースカラー」が注目されています。特に2024年には、トレンドカラーとして広まり、建築・インテリア業界でも住宅建材として採用されることが増えました。2025年もその流れは続き、外壁や内装、外構デザインでアースカラーを取り入れた住宅がさらに増加すると見込まれます。

本記事では、アースカラーの基本から、2025年のトレンドカラー、建築にアースカラーを取り入れるメリットまで解説します。

アースカラーとは?2025年のトレンドを知ろう

アースカラーのトレンドは続く?2025年の住宅建材で流行する色を解説
「アースカラー」とはどのような色を指すのでしょうか。建材として住宅やインテリアに取り入れるために、まずはアースカラーとトレンドについて説明します。

アースカラー

アースカラーとは、自然界に存在する色を基にしたカラーパレットのことです。砂や土を思わせるベージュやブラウン、森林の深みを表現するカーキやオリーブグリーンなどが代表的です。特定の一色を指すのではなく、大地・植物・空・水など、自然に由来する色のグループを意味します。

アースカラーの特徴は、落ち着きや温もりを感じさせ、空間に取り入れることでリラックスできる環境を生み出すことです。そのため、住宅やインテリアに取り入れることで、デザインの統一感を持たせながら、心地よい空間を作ることができます。


2025年のトレンドカラー

トレンドカラーは、特定の企業や団体が、今年の社会やライフスタイルの変化を分析し選定しています。世界的な色見本を提供するPANTONE(パントン)は、毎年「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表し、ファッションやインテリア業界に与える影響は大きいです。また、日本ではJAFCA(日本流行色協会)が、国内のライフスタイルに適したカラーを選定しています。

2025年のトレンドカラーとして、PANTONEは「モカ・ムース(PANTONE 17-1230)」を発表し、日本流行色協会(JAFCA)は「ホライゾングリーン」を選定しました。これらは、ナチュラルでサステナブルなデザインの流れと一致しており、アースカラーの人気が引き続き高まると予想されます。






住宅建材にアースカラーを取り入れるメリット

アースカラーは、住宅建材に取り入れることで、心理的な快適性を高め、空間デザインに統一感をもたらす特徴があります。木材や漆喰、石材といった自然素材とはもちろん、タイル・金属・コンクリートなどの人工素材とも調和しやすく、幅広い住宅デザインに適用可能です。

ここでは、アースカラーを住宅建材に取り入れることによるメリットについて、具体的な視点から解説します。


心理的効果・空間デザインの魅力

アースカラーは、視覚的に落ち着きを与え、心理的なリラックス効果をもたらします。ベージュやブラウンは温かみを持たせ、カーキやオリーブグリーンは自然とのつながりを感じさせ、グレージュやウォームグレーはシンプルで上品、洗練された印象を与えます。

アースカラーは、季節を問わず馴染みやすく、住宅において長く使われる色として適しています。流行に左右されにくく、自然と調和するため、飽きのこないデザインを求める住まいに最適です。



アースカラーと素材の調和

アースカラーは、木材・石材・漆喰などの自然素材と組み合わせることで、その魅力をさらに引き立てます。一方で、タイル・金属・コンクリートといった人工素材とも調和しやすく、モダンなデザインにも適用可能です。

また、光の当たり方や周囲の素材によって印象が変わるため、異なるテクスチャの素材と組み合わせても自然な一体感を生み出します。


アースカラーとアクセントカラーの関係

アースカラーは、ベースカラーとしてだけでなく、アクセントとしても活用できます。色や素材の選択肢も多様ですが、例えば、外壁にダークグレーを使い、木材やテラコッタのルーバーを取り入れると、モダンでありながら温もりのあるデザインになります。

このように、アースカラーは「調和」と「アクセント」の両方の役割を果たし、空間全体のバランスを整える重要な要素と言えるでしょう。



アースカラーを使った建築事例

アースカラーは、外壁・内装・外構・屋根といった住宅全体のデザインに取り入れることが可能です。ここでは、それぞれの具体的な採用例を紹介します。

自然と調和する外壁デザイン

アースカラーの外壁は、周囲の自然環境と調和し、落ち着いた雰囲気を演出します。外壁材には漆喰やモルタル、天然石などがあり、これらの素材自体がアースカラーの特性を持っています。

加えて、アースカラーの外壁は経年変化によって味わいが増す点も魅力のひとつです。漆喰や天然石は時間の経過とともに独特の風合いを醸し出し、モルタルやテラコッタも風化することで味わい深い表情を見せます。外壁のアースカラーはデザイン要素にとどまらず、暮らしとともに、色や素材の変化が楽しめるでしょう。


暮らしに寄り添うアースカラーの内装

内装にアースカラーを取り入れることで、空間全体に統一感が生まれ、落ち着いた印象を演出できます。 特に、室内は日常的に長く過ごす場所であり、リビング・寝室・書斎・子ども部屋など、それぞれの空間で求められる雰囲気に合わせた色の選択で、住む人の心理に直接作用し、より快適な住環境が作れるでしょう。

また、アースカラーはアクセントとしても効果的で、 例えば、リビングの一面だけオリーブグリーンのクロスを採用すると、落ち着きを加えながら、家具との調和、空間全体を心地よく整える役割を果たします。
さらに、漆喰や塗り壁などを採用すると、色味だけでなく、質感の違いによる空間の変化を楽しむことができます。

このように、内装におけるアースカラーの選択肢は多様でそれぞれの特性を活かしながら、ニーズに寄り添い、より心地よい住空間が実現可能です。


景観に溶け込む屋根のアースカラー

屋根は、住宅の外観に大きな影響を与える部分で、アースカラーを取り入れると、周囲の環境と調和しやすくなります。また、屋根の色は、個々の住宅だけでなく、マンションや集合住宅、さらには街全体の景観形成にも関わる要素と言えるでしょう。

屋根の素材には瓦は天然素材で作られているアースカラーの建材が多く、自然な形でアースカラーが取り入れやすいのも特徴です。

屋根にアースカラーを取り入れると、景観に自然に溶け込みながらも、統一感のある街並みや個性的なデザインを活かした住宅を実現することができます。


地面とのつながりを意識した外構デザイン

外構は、住宅の屋根や外壁と一体となりながら、地面とのつながりを持つ部分です。石材や木製フェンスなどを活用し、アースカラーを取り入れることで、建物全体のバランスを整え、周囲の景観とも調和させることができます。


また、アースカラーは住宅だけでなく、公園や公共施設にも広がっています。ベンチや歩道など、周囲の景観と調和するデザインが求められる場面では、アースカラーの要素が多く取り入れられています。さらに、サステナブルな素材と組み合わせることで、都市部でも自然を感じられる空間づくりに貢献しています。



まとめ:アースカラーがもたらす住まいの価値

アースカラーは、流行に左右されにくく、建材としての実用性が高い色です。自然と調和する落ち着いた空間を生み出し、心地よい住環境を実現します。2024年からのトレンドとしても注目されていますが、単なる流行ではなく、機能性とデザイン性を兼ね備えた選択肢として長年採用されてきました。建築やインテリアに取り入れることで、空間に統一感と深みを与え、飽きのこないデザインを作ることができます。

素材の選択やアクセントの工夫次第で、アースカラーはさまざまなスタイルに適応し、住まいに温かみや洗練された印象をもたらします。日々の暮らしに寄り添う色として、アースカラーを活用してみてはいかがでしょうか。





著者(長谷川裕美)プロフィール

建築・インテリアの専門学校卒業後、設計事務所や住宅メーカーに勤務。
現在は建築関連のライターとして活動中。
常に変化する建築業界の話題を丁寧にお届けします。






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