ARCHITECT
建築家インタビュー
- 掲載:2024年07月19日 更新:2024年07月25日
富士山が見え、馬と視線を合わせて暮らせる家「With Horse」 moca design office 岡本 大
一番の命題として与えられたのは馬と一緒に暮らせる家ということでした。
家に馬を飼い、馬の顔を見ながら暮らし、そこで乗馬する環境をつくること。
富士山が見える敷地を選び、自然を感じながら暮らすこと。
コロナによる在宅リモート業務が普及したからこそ、実現できるようになった暮らし。
都心のマンション暮らしから一変して、郊外で暮らし、リモートで仕事をし、 合間に馬の世話をしながら馬に乗り、時々必要に応じて東京に出掛けて仕事をする。
一方で、郊外に暮らすから、夫婦2人で寂しく過ごすのではなく、友人や親戚を招いて楽しめる家にしたい。テラスでBBQをしたり、乗馬を見てもらったり、ゲストを呼んで人が集まる家にしたい。
住宅とホテルのあいだにあるような、そのどちらでもあるような住まいです。
家に馬を飼い、馬の顔を見ながら暮らし、そこで乗馬する環境をつくること。
富士山が見える敷地を選び、自然を感じながら暮らすこと。
コロナによる在宅リモート業務が普及したからこそ、実現できるようになった暮らし。
都心のマンション暮らしから一変して、郊外で暮らし、リモートで仕事をし、 合間に馬の世話をしながら馬に乗り、時々必要に応じて東京に出掛けて仕事をする。
一方で、郊外に暮らすから、夫婦2人で寂しく過ごすのではなく、友人や親戚を招いて楽しめる家にしたい。テラスでBBQをしたり、乗馬を見てもらったり、ゲストを呼んで人が集まる家にしたい。
住宅とホテルのあいだにあるような、そのどちらでもあるような住まいです。
設計士プロフィール
moca design office
岡本 大 | Masaru Okamoto
一級建築士・管理建築士
〒153-0042
東京都目黒区青葉台1丁目14−4
東京都目黒区青葉台1丁目14−4
TEL:03-4400-6246
東京大学大学院修了後、大成建設株式会社設計本部に6年間勤務。さいたま新都心駅前の大型商業施設「コクーン2」や、商業・宿泊複合ビルである「京成押上駅前ビル」「JS博多渡辺ビル」「樟風荘(太宰府天満宮の保養所)」、「大手建材メーカーの九州工場内施設」等、大小様々な規模、様々な用途の設計監理を経験。
その後、株式会社日本設計にて5年間勤務し、さらなる超大型建築物の設計に従事。「日本橋髙島屋三井ビル」のオフィス部分を担当後、大手日系ホテルブランドの合計40万㎡を超える宿泊・業務・商業複合施設5棟の企画設計を担当。ゼネコン設計部、大手組織設計での11年間を通して、商業施設・業務施設・宿泊(MICE)施設・居住施設を主軸としながら、その他、生産施設、保育施設、スポーツ施設、娯楽施設等の設計経験を積む。
街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す設計事務所 moca design officeを設立し、今に至る。
<主な経歴>
2004-9 京都大学卒業
2009-11 東京大学大学院修了
2011-15 大成建設設計本部
2016-21 日本設計
2021- moca design office
その後、株式会社日本設計にて5年間勤務し、さらなる超大型建築物の設計に従事。「日本橋髙島屋三井ビル」のオフィス部分を担当後、大手日系ホテルブランドの合計40万㎡を超える宿泊・業務・商業複合施設5棟の企画設計を担当。ゼネコン設計部、大手組織設計での11年間を通して、商業施設・業務施設・宿泊(MICE)施設・居住施設を主軸としながら、その他、生産施設、保育施設、スポーツ施設、娯楽施設等の設計経験を積む。
街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す設計事務所 moca design officeを設立し、今に至る。
<主な経歴>
2004-9 京都大学卒業
2009-11 東京大学大学院修了
2011-15 大成建設設計本部
2016-21 日本設計
2021- moca design office
富士山が見える場所で、馬と暮らし人が集まる家にする
家に馬を飼い、馬の顔を見ながら暮らし、そこで乗馬する環境をつくること。
富士山が見える敷地を選び、自然を感じながら暮らすこと、の2点が最重要のテーマとして与えられました。
次に重要なテーマとしては、ホテルライクな空間として、来訪客をもてなせる家にしたいということでした。
山梨に移住する前は東京都内に住んでいたため、日々人との交流が盛んだった2人。地方に移住するから交流が少なくなるのでは寂しいということで、できるだけ人を呼べる家にしたいということでした。
次に重要なテーマとしては、ホテルライクな空間として、来訪客をもてなせる家にしたいということでした。
山梨に移住する前は東京都内に住んでいたため、日々人との交流が盛んだった2人。地方に移住するから交流が少なくなるのでは寂しいということで、できるだけ人を呼べる家にしたいということでした。
ホテルライクな空間を実現することで、特殊な要望を解決していく
施主側の要望が「馬と暮らす」「馬と視線を合わせられるように」「富士山が見える」「自然を感じられる」というように、通常の住宅設計ではなかなか無い特殊な要望だったため、設計者としてはこれらの要望をストレートに平面計画に落とし込むことを心がけました。
具体的には、プランをコの字型にすることによって、リビングからも寝室からも馬房から顔を出す馬が見れる構成にしています。
一方で、設計者の腕の見せ所として、もう一つの要望であった「来訪客をもてなすホテルライクな空間」の点において、様々な工夫をしています。ホテル計画においては、「アライバルエクスペリエンス」と呼ばれる「到着時の感動体験」をつくることがとても重要ですが、今回の住宅でも、到着からの心の移り変わりを意識して、シーンを連続させるように工夫しています。
玄関の外では中の様子を感じさせない禁欲的な外観として「どんな家だろう」と思ってもらうところからスタートです。
重厚な玄関扉をあけて、一歩中に入ると、天井高約3.8mの大きなスケールの玄関空間と、その正面に飾られた絵画が、ウェルカムウォールとして期待感を高めていきます。
続いて中に入っていくと、壁の向こうに待ち構えるのは約30畳のLDK空間で、「わぁ」と一声出してもらえるよう、大きなスケール感、素材の統一、ルーバーによる奥行き感の演出に意識して計画をしています。
最後は、リビング前面に広がるテラス越しに、富士山や馬の顔を見て、「これが贅沢ということか」と感じてもらえるようなシークエンスを意識して計画しました。
その他、床下エアコンにしてエアコンを隠蔽し、レンジフードも壁付けスリット型を採用することで、住宅設備を極力隠すことで非日常感を味わえるホテルライクな空間を実現しています。
実は、ホテルライクにここまで注力したのは、もうひとつの狙いがあったためです。馬房と一体型という特殊な住宅のため、将来的に万が一手放すようなことがあった場合、特殊すぎて買い手が現れにくいのではないかという懸念がありました。現状用途の延長として馬や羊といったミニ牧場をやりたい方が現れてくれれば良いのですが、もうひとつの選択肢として、観光地という立地も生かし、ホテルライクではなく、実際にホテル転用(民泊転用)ができるようにという狙いがあったためです。そのため、馬房は露天風呂に改修ができるよう、将来用の排水管を仕込んでいたりします。
住宅は、一度つくって、一度住んで終わりではなく、その後も使われ続けるものという認識のもと、長期的な視点で考えたときにも最善と言えるような提案を続けていきたいと考えています。
具体的には、プランをコの字型にすることによって、リビングからも寝室からも馬房から顔を出す馬が見れる構成にしています。
一方で、設計者の腕の見せ所として、もう一つの要望であった「来訪客をもてなすホテルライクな空間」の点において、様々な工夫をしています。ホテル計画においては、「アライバルエクスペリエンス」と呼ばれる「到着時の感動体験」をつくることがとても重要ですが、今回の住宅でも、到着からの心の移り変わりを意識して、シーンを連続させるように工夫しています。
玄関の外では中の様子を感じさせない禁欲的な外観として「どんな家だろう」と思ってもらうところからスタートです。
重厚な玄関扉をあけて、一歩中に入ると、天井高約3.8mの大きなスケールの玄関空間と、その正面に飾られた絵画が、ウェルカムウォールとして期待感を高めていきます。
続いて中に入っていくと、壁の向こうに待ち構えるのは約30畳のLDK空間で、「わぁ」と一声出してもらえるよう、大きなスケール感、素材の統一、ルーバーによる奥行き感の演出に意識して計画をしています。
最後は、リビング前面に広がるテラス越しに、富士山や馬の顔を見て、「これが贅沢ということか」と感じてもらえるようなシークエンスを意識して計画しました。
その他、床下エアコンにしてエアコンを隠蔽し、レンジフードも壁付けスリット型を採用することで、住宅設備を極力隠すことで非日常感を味わえるホテルライクな空間を実現しています。
実は、ホテルライクにここまで注力したのは、もうひとつの狙いがあったためです。馬房と一体型という特殊な住宅のため、将来的に万が一手放すようなことがあった場合、特殊すぎて買い手が現れにくいのではないかという懸念がありました。現状用途の延長として馬や羊といったミニ牧場をやりたい方が現れてくれれば良いのですが、もうひとつの選択肢として、観光地という立地も生かし、ホテルライクではなく、実際にホテル転用(民泊転用)ができるようにという狙いがあったためです。そのため、馬房は露天風呂に改修ができるよう、将来用の排水管を仕込んでいたりします。
住宅は、一度つくって、一度住んで終わりではなく、その後も使われ続けるものという認識のもと、長期的な視点で考えたときにも最善と言えるような提案を続けていきたいと考えています。
本物らしさを追及し「突板」を採用
内装については、自然と調和するよう木を利用した内装にしたいと要望がありました。ダイノックフィルムのような木調の化粧塩ビシートも選択肢としてありましたが、本物らしさを大事にしたいということで、突板を提案しました。また、各部位共通の素材を使用するため、壁・天井・ルーバー・家具すべて統一できるHOXANのサンフットという商品を採用するに至りました。
コストバランスを考え、どこの部位にどういう素材を当て込もうという大枠の仕様の合意が取れた後は、壁紙、タイル、突板シートなどそれぞれのショールームに同行し、施主の希望をもとにうまく調和する素材を選定して頂きました。
戸建て住宅は、建て主の好きな素材を選んで使ってもらうことが、その後の愛着や納得感を感じてもらうために、とても重要だと考えています。戸建て住宅においての設計者の役割は、専門家としての選択肢を伝え、サポートし、手を添えるだけでいいのかもしれません。
コストバランスを考え、どこの部位にどういう素材を当て込もうという大枠の仕様の合意が取れた後は、壁紙、タイル、突板シートなどそれぞれのショールームに同行し、施主の希望をもとにうまく調和する素材を選定して頂きました。
戸建て住宅は、建て主の好きな素材を選んで使ってもらうことが、その後の愛着や納得感を感じてもらうために、とても重要だと考えています。戸建て住宅においての設計者の役割は、専門家としての選択肢を伝え、サポートし、手を添えるだけでいいのかもしれません。
当初の目的を実現し、人が集まる家に
完成後、1年以上の月日が経ちましたが、お施主様からは「おかげさまで、快適に、人も集まる家ができて大満足です」と言っていただくことができました。週末はよく友人を招待して食事をされるそうで、当初の目的が叶う家づくりのお手伝いができて嬉しい気持ちで一杯です。
一方で、設計者としては、すべてがうまくいったという慢心をせずに、どんなに小さな点であっても、もう少しこうすれば良かったという点についても今後もヒアリングを重ねて、住み手と一緒に成長していきたいと考えています。
一方で、設計者としては、すべてがうまくいったという慢心をせずに、どんなに小さな点であっても、もう少しこうすれば良かったという点についても今後もヒアリングを重ねて、住み手と一緒に成長していきたいと考えています。
「With Horse」ギャラリー
作品で使用した建材
【壁・天井・扉・ルーバー】
使用建材 | :突板シート |
---|---|
建材名 | :HOXAN サンフット |
建材メーカー | :北三株式会社 |
ホテルのような非日常感を演出するため、玄関からリビングダイニング、寝室、洗面までが一体の空間になるようにしていますが、その統一感を生み出しているのがセンという樹種の突板シートです。
HOXANのサンフットという商品で、厚さ0.35mmという薄いシート状になっているため、施工場所を問わず、様々な箇所に使用が可能なため重宝しました。
壁はケイカル板にパネル状にして張り付けし、天井はシート状のまま石膏ボードに張り付け、ルーバーや、キッチン扉、靴収納・洗面扉など家具にも統一して利用しています。
HOXANのサンフットという商品で、厚さ0.35mmという薄いシート状になっているため、施工場所を問わず、様々な箇所に使用が可能なため重宝しました。
壁はケイカル板にパネル状にして張り付けし、天井はシート状のまま石膏ボードに張り付け、ルーバーや、キッチン扉、靴収納・洗面扉など家具にも統一して利用しています。
【馬房の壁】
使用建材 | :木製パネル |
---|---|
建材名 | :OSBインテリアパネル |
建材メーカー: | :スイスクロノ(ドイツ工場) |
馬房の壁も木を使った建材を検討していましたが、リビングで使った突板よりも、もう少し粗い印象で、且つベニヤやシナ合板よりも柔らかく、表情のある素材を探していました。
構造用OSBだと黄色味が強いのですが、スイスクロノの内装用OSBは、表面をサンダー掛けしているため、少し白っぽさがあり、柔らかい表情だったので、施主の要望であったシャンデリアを馬房に飾りたいという空間にもマッチする建材だと思い、採用に至りました。
構造用OSBだと黄色味が強いのですが、スイスクロノの内装用OSBは、表面をサンダー掛けしているため、少し白っぽさがあり、柔らかい表情だったので、施主の要望であったシャンデリアを馬房に飾りたいという空間にもマッチする建材だと思い、採用に至りました。
「moca design office」の建築への思いと建築作品
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設計士プロフィール
moca design office
岡本 大 | Masaru Okamoto
一級建築士・管理建築士
〒153-0042
東京都目黒区青葉台1丁目14−4
東京都目黒区青葉台1丁目14−4
TEL:03-4400-6246
東京大学大学院修了後、大成建設株式会社設計本部に6年間勤務。さいたま新都心駅前の大型商業施設「コクーン2」や、商業・宿泊複合ビルである「京成押上駅前ビル」「JS博多渡辺ビル」「樟風荘(太宰府天満宮の保養所)」、「大手建材メーカーの九州工場内施設」等、大小様々な規模、様々な用途の設計監理を経験。
その後、株式会社日本設計にて5年間勤務し、さらなる超大型建築物の設計に従事。「日本橋髙島屋三井ビル」のオフィス部分を担当後、大手日系ホテルブランドの合計40万㎡を超える宿泊・業務・商業複合施設5棟の企画設計を担当。ゼネコン設計部、大手組織設計での11年間を通して、商業施設・業務施設・宿泊(MICE)施設・居住施設を主軸としながら、その他、生産施設、保育施設、スポーツ施設、娯楽施設等の設計経験を積む。
街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す設計事務所 moca design officeを設立し、今に至る。
<主な経歴>
2004-9 京都大学卒業
2009-11 東京大学大学院修了
2011-15 大成建設設計本部
2016-21 日本設計
2021- moca design office
その後、株式会社日本設計にて5年間勤務し、さらなる超大型建築物の設計に従事。「日本橋髙島屋三井ビル」のオフィス部分を担当後、大手日系ホテルブランドの合計40万㎡を超える宿泊・業務・商業複合施設5棟の企画設計を担当。ゼネコン設計部、大手組織設計での11年間を通して、商業施設・業務施設・宿泊(MICE)施設・居住施設を主軸としながら、その他、生産施設、保育施設、スポーツ施設、娯楽施設等の設計経験を積む。
街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す設計事務所 moca design officeを設立し、今に至る。
<主な経歴>
2004-9 京都大学卒業
2009-11 東京大学大学院修了
2011-15 大成建設設計本部
2016-21 日本設計
2021- moca design office
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建築家インタビュー
シーズン毎で取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。2007年秋にスタートして四半期毎に新しい記事の更新をしています。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。