- 掲載:2009年03月05日 更新:2024年07月26日
//= $nameTitle ?>設計とは「住まいの大切なDNA」良質な遺伝子が育む居心地の良い住まい。
神奈川県横浜市神奈川区台町16-1ソレイユ台町ビル806
大学では心理学を専攻していた設計業界では変わりものです。
その後早稲田大学芸術学校建築設計科を卒業。デザイン会社で一般建築、シティホテルの内装・店舗設計を経験。
平成10年に独立、現在に至る。
事務所は共同設計事務所になっていて、様々な人材がいます。
~取材にあたり~
使い捨てが当たり前とされたバブルの日々は遥か昔に過ぎ去り、今や世界的規模で人々がエコロジーに取組み始めています。そして大不況の中、そのエコロジー推進にこそ日本の企業にとっても大きな突破口がありそうです。ヨーロッパやアメリカでは昨今、省エネ推進のための大規模な交通インフラとして、何兆円を越える鉄道整備網への新たな着手が決まりました。そこで、新幹線に代表される日本の高い鉄道技術や正確さで世界一といわれる運行オペレーション能力などに大きな注目が集まっているとのこと。
同様に今後は、建築業界においてもエコロジーや省エネを追求した日本の優れた技術や高品質の製品が世界の様々な建設シーンで活躍する可能性も大いに期待できそうです。
今回のSPACE DESIGNでは、太陽光や自然の風を利用して、省エネルギーでも快適にすごせるような住宅デザインや窓や壁の断熱性能を高める建材の選択など、家作りにおけるエコロジーの実践とエコライフの提案をモットーに活躍されている建築家、小松原敬氏にお話を伺いました。
小松原先生は建築家として主に得意とされる設計分野または、デザイン分野というのはございますか?
うちの事務所はそれぞれ独立して事務所を開いている仲間6人がそれぞれ違うスキルをもっていますので、いろんな仕事をやっています。
私は住宅・共同住宅をメインに小規模なビルや商業施設も扱いますが、構造設計事務所やキッチンスペシャリスト、変わったところではWebデザイン、ランドスケープを扱うものもいます。
特に興味が持てた、非常に面白かった、やりがいがあったなどと思われた案件はありますか?
施主さんに明確な目標やポリシーがあって、それに向かっていろんな相談をしてくる人、が面白い案件になります。
これまでの案件では斜面の土地(そのままでは狭く建てても危険)に、地下を造って、その上に木造を建てた2世帯住宅が面白かったです。建てる前には、こんなところにそんな広い家が建つの?と思うような土地でしたが、思いのほか広く、斜面なので眺めや日当たりも最高に良い家になりました。
ちなみに地下にも斜面側に掃き出しの窓がとれます。RCの上に木造をのせていると地震にも強く、結構大きな揺れの時も感じなかったと施主さんがおしゃっていたのが印象的でした。
一般ユーザーさんに対して、良い家を建てる為に先生から建築士として何かアドバイスがあれば教えてください。
どのような建物であっても、設計がない建物はありません。設計とは人間で言えば、遺伝子(DNA)です。DNAによって、それがどのような姿や機能になるかが決まるのです。
ですので、設計費が計上されていない見積もりや極端に安い見積もりには注意を払ってください。どのくらいの手間や作業をDNAにかけているかが、良い家になるかのポイントです。
商業施設なども手掛けられていらっしゃいますが、店舗オーナーさんに対して、良いお店創りをする為に何かアドバイスがあれば教えてください。
良いお店というのは、結局はどれくらい良いサービスや商品をお客様に提供できるか、ということです。極端に言えば、掘っ立て小屋のようでも繁盛しているお店はあります。
私たちができることは、どうやって良いサービスや商品を提供するか、を考えていく中で店舗の設計内容がどれだけそれに貢献できるかを考えることです。
先生が今、最も注目している建築技術または工法などございましたらその内容、あるいは挙げられた理由などを伺いたいのですが。
地盤減震システムというのを、最近ある地盤調査会社が開発して注目しています。原理は簡単で、ベタ基礎の下に摩擦係数の低いシートをひいて、ある一定以上の地震が起きた時にそれが滑って振動を軽減するというものです。
だるま落としの原理ですね。これは以前から設計業界では知られていた効果を商品化したものです。コストが安く、建築基準法にかかわりなく設置できるので非常に採用しやすいと思います。
~取材後記~
これまで、さまざまなタイプの建築設計家の方々にお話を伺ってまいりましたが、皆様がそれぞれ独自のポリシーで仕事に取組まれています。
ひとつだけ全ての設計の先生が共有されている考えとは、家を建てる側、つまり施主の方が漠然と家を建てるのではなく、どんな家にしたいか、そこでどんなライフスタイルを過ごしたいかなど、これから建てる家に対して、より具体的な要望やポリシーを持って欲しいという点でした。そこで初めて設計する側と住まう側の明確な協働作業が生まれ、結果として快適な家が手に入れられるというメリットとなるのです。店舗にしても同じことがいえると思います。
何となく一般ユーザーにとって、敷居の高い感のある建築家ですが、小松原先生がおっしゃる「設計は住まいの大切なDNA」という表現から、やはりもっと積極的に設計の段階から、納得行くまで相談し、施主の要望をしっかり伝えていくことが大切なのだと実感いたしました。
取材・文 建材ナビディレクター 中島