ARCHITECT
建築家インタビュー
- 掲載:2024年09月27日 更新:2024年12月12日
子どもの建築との関わりは、子どもの豊かな育ちに関係する。子どもたちの未来を建築していくための一級建築士として MIRAICRAFT 野上むつみ
MIRAICRAFT
野上むつみ(のがみむつみ)
建築家/⼀級建築⼠
〒761-8063
香川県高松市花ノ宮町2-5-21
香川県高松市花ノ宮町2-5-21
香川県高松市
子ども建築士教室
・創造あそび・模型コース・オンライン
・旅する子ども建築士
・子ども向け建築ワークショップを全国で開催
ベネッセみらいキャンパス講師
ミライクラフト一級建築士事務所
・平成5年/香川職業訓練短期大学校住居環境科卒業
・平成7年12月/二級建築士取得
・平成12年3月/3社の設計事務所勤務を経て独立、「@Home設計事務所」設立
・平成14年1月/一級建築士取得
・平成19年10月/NPO法人マイシアター高松理事就任
・平成23年10月/NPO法人マイシアター高松理事長就任
・平成23年8月~令和3年8月/高松市放課後子ども総合プラン運営委員会委員
・平成24年8月~平成25年2月/高松市ユニバーサルデザイン基本指針策定懇談会委員
・平成26年11月~現在/高松市社会教育委員
・平成30年10月/個性が光る子ども家づくり教室開講現在「子ども建築士教室」に改名
・令和3年8月/ベネッセアートサイトと子ども建築士教室のコラボ開始直島
・令和4年3月/「ミライクラフト一級建築士事務所」に改名
・令和5年3月/ベネッセコーポレーションみらいキャンパス講師
・ベネッセコーポレーション未来の学びデザイン300人委員会
・令和6年1月~2月/3回開催、高松市教育委員会管轄「虹の部屋」において【虹の部屋こどもの居場所プロジェクト】と題し、グランピングドームを教室に子どもたちと設置する事業
子ども建築士教室
・創造あそび・模型コース・オンライン
・旅する子ども建築士
・子ども向け建築ワークショップを全国で開催
ベネッセみらいキャンパス講師
ミライクラフト一級建築士事務所
・平成5年/香川職業訓練短期大学校住居環境科卒業
・平成7年12月/二級建築士取得
・平成12年3月/3社の設計事務所勤務を経て独立、「@Home設計事務所」設立
・平成14年1月/一級建築士取得
・平成19年10月/NPO法人マイシアター高松理事就任
・平成23年10月/NPO法人マイシアター高松理事長就任
・平成23年8月~令和3年8月/高松市放課後子ども総合プラン運営委員会委員
・平成24年8月~平成25年2月/高松市ユニバーサルデザイン基本指針策定懇談会委員
・平成26年11月~現在/高松市社会教育委員
・平成30年10月/個性が光る子ども家づくり教室開講現在「子ども建築士教室」に改名
・令和3年8月/ベネッセアートサイトと子ども建築士教室のコラボ開始直島
・令和4年3月/「ミライクラフト一級建築士事務所」に改名
・令和5年3月/ベネッセコーポレーションみらいキャンパス講師
・ベネッセコーポレーション未来の学びデザイン300人委員会
・令和6年1月~2月/3回開催、高松市教育委員会管轄「虹の部屋」において【虹の部屋こどもの居場所プロジェクト】と題し、グランピングドームを教室に子どもたちと設置する事業
子どもたちと遊びながら建築を学ぶ体験を提供
「建築士のお仕事、本業ってされていますか?」
こないだ、ラジオに出演したときにパーソナリティさんから聞かれました。
子ども建築士教室を香川県高松市で開催しており、建築をツールとして子どもたちの個性や感性を育み、建築で遊びながら学ぶ体験を子どもたちにと主に活動しております。
現在は、itaブロックやグランピングドームなど子どもたちに建築と関われるコンテンツを持って全国でイベントやワークショップなど開催しています。
先ほどのラジオの質問には、今だからこそ笑ってお返事できるのですが、現在は子どもたちと建築の方にシフトしていて、建築の仕事ってほとんどしてないに等しいかもしれません。
それでも、一級建築士を持っていて、私は何をしているのだろうと思った時期も過去にはやっぱりあります。
住宅を設計することは、自分の中で天職というか、やっていて楽しくもあり難しくもあり、やりがいがあります。ここに住む人のために、全身全霊で自分の知識やアイデアを駆使して間取りを提案していきます。一回描いて「ここだ!」という、これ以上ない間取りができても、それをクライアントさんが「いいね」と言わなければアウトです。
クライアントさんのやりたいことを全部叶えていく。どこも妥協しない空間は何だろう。そうやって創り出していく空間とその機能。何も意図しない建築なんてどこにもなく、ただ箱を並べただけの家なんてどこにもない。
そこで暮らす、生きるという行為を、その人の価値観の中で実現し表現し、実際に生きていく。その責任と意図と機能を、しっかりと提案し、妥協することなく、納得していくプランにしていくこと。私の目指す建築はそこにあります。
そこに住まう人の生き方と在り方を表現していくのが家。そうやって提案していくクライアントさんの生き方をきちんと生きていけるように。
建築士が表現していくのは、暮らしと生き方と在り方。そう思いながら、細々とでも、クライアントさんが納得する家づくりをしてきました。
こないだ、ラジオに出演したときにパーソナリティさんから聞かれました。
子ども建築士教室を香川県高松市で開催しており、建築をツールとして子どもたちの個性や感性を育み、建築で遊びながら学ぶ体験を子どもたちにと主に活動しております。
現在は、itaブロックやグランピングドームなど子どもたちに建築と関われるコンテンツを持って全国でイベントやワークショップなど開催しています。
先ほどのラジオの質問には、今だからこそ笑ってお返事できるのですが、現在は子どもたちと建築の方にシフトしていて、建築の仕事ってほとんどしてないに等しいかもしれません。
それでも、一級建築士を持っていて、私は何をしているのだろうと思った時期も過去にはやっぱりあります。
住宅を設計することは、自分の中で天職というか、やっていて楽しくもあり難しくもあり、やりがいがあります。ここに住む人のために、全身全霊で自分の知識やアイデアを駆使して間取りを提案していきます。一回描いて「ここだ!」という、これ以上ない間取りができても、それをクライアントさんが「いいね」と言わなければアウトです。
クライアントさんのやりたいことを全部叶えていく。どこも妥協しない空間は何だろう。そうやって創り出していく空間とその機能。何も意図しない建築なんてどこにもなく、ただ箱を並べただけの家なんてどこにもない。
そこで暮らす、生きるという行為を、その人の価値観の中で実現し表現し、実際に生きていく。その責任と意図と機能を、しっかりと提案し、妥協することなく、納得していくプランにしていくこと。私の目指す建築はそこにあります。
そこに住まう人の生き方と在り方を表現していくのが家。そうやって提案していくクライアントさんの生き方をきちんと生きていけるように。
建築士が表現していくのは、暮らしと生き方と在り方。そう思いながら、細々とでも、クライアントさんが納得する家づくりをしてきました。
今の子どもたちとは、建築士として関わることが必要
結婚し子どもも3人。育児との両立もしながら、子育てにはこだわりがあり、子どもたちにはいろんな経験をさせたいと思う方で、設計事務所をしながら、あるNPOの子育て支援拠点を利用することがきっかけで、NPOの理事長を10年経験しました。その中で、たくさんの子どもたちと関わることで、子どもたちの面白さや楽しさ、素敵さを知りました。「あ〜、このまま子どもたちに関わる仕事を本格的にしていけるのではないか?いやできることならずっと関われたら」と思わせるくらいに、わが子だけでなくたくさんの子どもの育ちに興味を持ちました。
ただ、組織の中にいる難しさ、自分がその理事長としてそこにいること自体、自由にできることは少ない。しかも、自分は建築士として資格を持っているにも関わらず、それを生かすこともなく、こうやっていることにも違和感を覚えていました。
そんな中で、長男の幼馴染の子と一緒に平面図を描くことがありました。年長さんなのに平面図に興味があるという。一緒に、ほぼ私が描いたけれど、子どもの思いが詰まった、滑り台や遊ぶお部屋があるおうち。
なんとも、楽しい時間だった。
私が、建築とともに子どもたちと一緒に過ごせる時間があるとしたら、「私ができることだ。やりたいことだ。」と、そう思える瞬間でした。
その後、理事長も落ち着いたところで、子ども建築士教室を開講しました。子どもたちとともに、建築をツールとして様々な力をつけていける。
最初のうちはイラストだけを描いていましたが、建築にもっと特化して、子どもたちにも学び深い時間になればと、材料や工法などの体験ができる教室へと広がりました。
開講して5年が経った頃から、子どもたちと過ごしていく中で、子どもの興味関心は、建築との関わりがとても深く、子どもの豊かな育ちに関係すると実感し始めました。
また、子どもたちと親や教師として関わることではなく、建築士として関わることが非常に今の子どもたちには、必要なことではないかと思っています。
ただ、組織の中にいる難しさ、自分がその理事長としてそこにいること自体、自由にできることは少ない。しかも、自分は建築士として資格を持っているにも関わらず、それを生かすこともなく、こうやっていることにも違和感を覚えていました。
そんな中で、長男の幼馴染の子と一緒に平面図を描くことがありました。年長さんなのに平面図に興味があるという。一緒に、ほぼ私が描いたけれど、子どもの思いが詰まった、滑り台や遊ぶお部屋があるおうち。
なんとも、楽しい時間だった。
私が、建築とともに子どもたちと一緒に過ごせる時間があるとしたら、「私ができることだ。やりたいことだ。」と、そう思える瞬間でした。
その後、理事長も落ち着いたところで、子ども建築士教室を開講しました。子どもたちとともに、建築をツールとして様々な力をつけていける。
最初のうちはイラストだけを描いていましたが、建築にもっと特化して、子どもたちにも学び深い時間になればと、材料や工法などの体験ができる教室へと広がりました。
開講して5年が経った頃から、子どもたちと過ごしていく中で、子どもの興味関心は、建築との関わりがとても深く、子どもの豊かな育ちに関係すると実感し始めました。
また、子どもたちと親や教師として関わることではなく、建築士として関わることが非常に今の子どもたちには、必要なことではないかと思っています。
子どもたちの未来を建築していくための一級建築士として
建築とは、生きることに直結しています。
あなたの好きなことは?
ここでしたいことは?
この先は?
問題解決は?
子どもたちの未来にとっても同じことが言えます。建築を学び触れることで、自分の好きや嫌い、得意、不得意を知ること。自分の個性を発見し、感性を豊かに育んでいくこと。そして、それは建築のみならず、子どもたちの未来につながっていくことになると確信しています。
建築士として家を建てなければ建築士ではないという定義ではなく、子どもたちの未来を建築していく。私はその一級建築士としてあれるのなら、そちらが光栄であり私という人がいる意味があると思っています。
だからこそ、建築士のお仕事をしていますか?と言われたときに、本来の建築士の仕事をしていないことを悔いることもなく笑いながらお返事できるようになりました。一級建築士という資格を持っているからこそ、出会えた子どももいます。建築士になりたいというお子さんにもたくさん出会ってきました。どういう経験が必要なのか?子どもたちのうちから、なりたい!やりたい!のモチベーションを保ちつつ、学びにつながっていくのはどこなのか?
教科だけの勉強はもちろんのこと、それだけでは絶対に足りないことがあります。考え方、感性、見方、捉え方、全てで豊かであること。では、子どものうちにしておくことは、豊かな経験であり美しいもの、嬉しいこと、素敵な出会い、そのすべてが大切だということを伝えていきながら、人の生きるに関わる仕事である建築に従事していく子どもたちを増やしていくことも自分が担うひとつの役割だと感じています。
そういう観点も見ながら、私は女性であり、一人の女の子に伝えたことがあります。一級建築士の資格を取得するためには、人生をかけて覚悟をもって挑むことになる、と。資格がなくたって家の設計もできる。ただ、自分が小さなころからの夢をかなえるために、国家資格として最上級の一級建築士を取ることは、意地だったのかもしれません。
30歳を目の前にして、結婚も出産も考えている。すべてがリミットだと感じていました。今なら、結婚することも出産することももしかしたら、勉強しながら子育てをし、仕事もできたかもしれない。けれど、自分にはそういう選択肢すらなかったように思います。自分の選択は、この一年で絶対に資格を取るという覚悟だけ。子どもも資格取得も伸ばせない、そう思ったからです。
専門の学校に通い、人生の中で一番勉強したと言えます。そうやって、学科と製図に挑むことになりました。毎回、必死だったので学校でもトップクラス。でも、一級建築士の合格率からいくと本当に生半可では通りません。製図においてはその日の運もあると思えます。
私も製図は不合格かもしれない、もう二度とこんな勉強は嫌だ。そう思ったりもしました。蓋を開けてみたら、合格で本当に本当に安堵しました。
みんな覚悟を持って資格取得はするでしょうし、人生設計もするでしょう。でも、女性という性を持ち、女性で生きていくならば、男性よりも考える時があるだろうなということを、小学生の女の子に伝えることもありました。
女性一級建築士として、私がいる意味を考えながら、あと残りの人生、子どもたちの人生を設計していく見守りと関わりが持てるよう過ごしていけたらと思います。
あなたの好きなことは?
ここでしたいことは?
この先は?
問題解決は?
子どもたちの未来にとっても同じことが言えます。建築を学び触れることで、自分の好きや嫌い、得意、不得意を知ること。自分の個性を発見し、感性を豊かに育んでいくこと。そして、それは建築のみならず、子どもたちの未来につながっていくことになると確信しています。
建築士として家を建てなければ建築士ではないという定義ではなく、子どもたちの未来を建築していく。私はその一級建築士としてあれるのなら、そちらが光栄であり私という人がいる意味があると思っています。
だからこそ、建築士のお仕事をしていますか?と言われたときに、本来の建築士の仕事をしていないことを悔いることもなく笑いながらお返事できるようになりました。一級建築士という資格を持っているからこそ、出会えた子どももいます。建築士になりたいというお子さんにもたくさん出会ってきました。どういう経験が必要なのか?子どもたちのうちから、なりたい!やりたい!のモチベーションを保ちつつ、学びにつながっていくのはどこなのか?
教科だけの勉強はもちろんのこと、それだけでは絶対に足りないことがあります。考え方、感性、見方、捉え方、全てで豊かであること。では、子どものうちにしておくことは、豊かな経験であり美しいもの、嬉しいこと、素敵な出会い、そのすべてが大切だということを伝えていきながら、人の生きるに関わる仕事である建築に従事していく子どもたちを増やしていくことも自分が担うひとつの役割だと感じています。
そういう観点も見ながら、私は女性であり、一人の女の子に伝えたことがあります。一級建築士の資格を取得するためには、人生をかけて覚悟をもって挑むことになる、と。資格がなくたって家の設計もできる。ただ、自分が小さなころからの夢をかなえるために、国家資格として最上級の一級建築士を取ることは、意地だったのかもしれません。
30歳を目の前にして、結婚も出産も考えている。すべてがリミットだと感じていました。今なら、結婚することも出産することももしかしたら、勉強しながら子育てをし、仕事もできたかもしれない。けれど、自分にはそういう選択肢すらなかったように思います。自分の選択は、この一年で絶対に資格を取るという覚悟だけ。子どもも資格取得も伸ばせない、そう思ったからです。
専門の学校に通い、人生の中で一番勉強したと言えます。そうやって、学科と製図に挑むことになりました。毎回、必死だったので学校でもトップクラス。でも、一級建築士の合格率からいくと本当に生半可では通りません。製図においてはその日の運もあると思えます。
私も製図は不合格かもしれない、もう二度とこんな勉強は嫌だ。そう思ったりもしました。蓋を開けてみたら、合格で本当に本当に安堵しました。
みんな覚悟を持って資格取得はするでしょうし、人生設計もするでしょう。でも、女性という性を持ち、女性で生きていくならば、男性よりも考える時があるだろうなということを、小学生の女の子に伝えることもありました。
女性一級建築士として、私がいる意味を考えながら、あと残りの人生、子どもたちの人生を設計していく見守りと関わりが持てるよう過ごしていけたらと思います。
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シーズン毎で取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。2007年秋にスタートして四半期毎に新しい記事の更新をしています。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。