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建築家インタビュー
  • 掲載:2024年11月08日 更新:2024年12月12日

生活と密接に関係ある事について様々な経験値を持ち、理想も大切にしながら生活を考える
やまぐち建築設計室 山口哲央

やまぐち建築設計室
山口 哲央
やまぐち建築設計室
山口 哲央(やまぐちてつお)
建築士

〒634-0073
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
TEL:0744-47-2750
1974年 奈良県吉野町生まれ
奈良県内の設計事務所に13年勤務
2005年 生まれ育った奈良吉野で「やまぐち建築設計室」を開設
2018年 アトリエを奈良・橿原に移転


施主が気づいていない思いや悩みを紐解く

施主にはご要望という形でのお話しを伺わないようにしています。ホームページやブログ、インスタグラムをご覧になられてお問合せをいただく事が多く、どちらかといえば「こんな家が好きかも」といった雰囲気です。

そのうえで特別に作った暮らしを紐解くアンケートシートがあるので「ご家族」でその質問事項を話し合って書いていただくようにしています。そうする事で施主が気づいていなかった家族の思いや悩み、自分自身の生活観を理解できるので、ご要望としては「私たちに丁度良い家ってどんな家なんでしょうか?」という風に逆に質問を受けるような事が多いです。

理想も大切にしながら生活を考える

家づくりの為の最新設備などを知識として持つことも大切なのですが、なによりいつも考えている事は、理想も大切にしながら生活を考える事がどれだけできるのか?という事です。

例えば、住宅を設計するのにキッチンを使ったことがないとか洗濯をしたことがない、アイロン掛けをしたことがない、掃除をしたことがない等、生活と密接に関係のある事をどれだけ分かっているのか?という事が住宅設計には重要で、車の運転をしたことが無い人が駐車場を設計すると大変なことになりますよね?それと同じで暮らし全般について様々な経験値を持つという事を常に考えています。


現場での「意見交換」を大切にする

現場からは山口先生は現場肌ですね。とよく言われます。ものづくりの過程をどれだけ繊細に考えることが出来るのか?によって精度は変わってきます。 そういった側面からも現場で直接作業を行ってくださる職人さんや作業員さんたちは大切な存在です。同じ目標に向かって工事を行う「同志」として現場では様々な話しをしながら当たり前の事ですが現場監督同席で「意見交換」を大切にしています。

また出来る限り工事見積もり段階から施主の気持ちも伝えるようにしています。僕たち建築家・設計者は家造りの「入口」から「出口」その後も住まい手さんと色々な意見交換をしていますが現場で作業を行っていただく「つくり手」の皆さんはその工事の最中に見る「図面」や「資料」そして「工程」の中でしか物事を見る時間がありません。

そういったことから「施主の思い」を知っていただけるように早い段階からなぜこのような材料や素材をつかってこのようにつくるのか?という事を話すようにしています。そうする事によって図面という「ツール」でしか伝わらない事以外も伝えるようにして「温度差」の無いようにしています。

トレンドに固執せず柔軟に取り入れる

トレンドは、一時的なものである場合も多いかと思いますが、一通りの内容については意識しています。本質は同じで形を変えて提案する事が最適となる事も多いので、あまりトレンドばかりに固執せずに柔軟に取り入れるようにしています。勿論施主の好みも考えつつ。


これからの住宅・建築について

長い歴史の中で「住宅・建物」は色々な変化がありました。価値観も多様化するなかでこれからもどんどん変化していくと思います。家は今後も工業製品化されていくでしょうし、現実問題として3Dプリンターで家も造ることが出来る時代になっています。ですがカタチや手段が変わっても家造りの本質は変わらないと思います。自分たちの暮らしがどうすれば最適な状態となるのか?これからはソフト面とハード面のバランスがもっと複雑化するのではないか?という風に考えています。暮らしの文化は単純ではありませんから。







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