壁式構造とラーメン構造とは?|構造の違いと特徴をまとめてご紹介!
マンションを探す際は、建物の所在や築年数の比較はしても、「マンションの構造」まで気にして検討する方は多くはありません。確かに「構造」と聞けばとても専門的な感じがします。
また、あまり生活に影響しないだろうと興味関心を持つ方が少ないことは事実です。
マンションの構造は「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類に分けることができます。
そのうちのラーメン構造とは、「額縁」や「枠」という意味をもちます。
こういった構造の特徴について、これから詳しく書いていきます。
1.壁式構造とラーメン構造の違い
マンションの場合も、一戸建てと同様に、構造には2つの種類があります。
ひとつは壁式構造、もうひとつはラーメン構造の2つのタイプに分類されます。
壁式構造は文字通り、柱や梁を使わずにワンフロアずつ壁と天井を組み立て、コンクリートを打設したものです。
そしてそれを何重にも組み上げていく式です。
ラーメン構造は、従来工法の住宅とよく似ています。
まず柱を建て、梁と天井を設置し、コンクリートを打設します。こうしてワンフロアが完成したら、同じ要領で組み立てていきます。
どちらが良くて、どちらが悪いかは、立地条件や設計する人の考えにも左右されるので、断言することは難しいです。互いに有利な点、不利な点があります。
それぞれの特徴をじゅうぶんに理解し、うまく使い分けていくことが大切です。
まずは壁式構造から説明していきます。
2.壁式構造のメリット
壁式構造のメリットとして、以下の点が挙げられます。
② 各所帯を仕切る壁が厚いため、音漏れがしにくい
③ 柱がないので部屋を大きくとれる
特に②の「各所帯を仕切る壁が厚い」についてなのですが、まず建物の壁の厚みは18cm以上になるように設計されています。
そのため、防音効果もかなり期待ができます。
③を挙げた理由として、柱がない分、コーナーを無駄なく使うことができるため、部屋の間取りを考えるうえで魅力的だといえます。
壁式構造は一見して柱と梁が見当たらないことが特徴です。部屋と部屋との間仕切り壁が建物全体を支え、柱や梁の代わりをしているからです。
類似しているものに、ビールケースがあります。酒屋さんの店先などで見かけるビールケースです。(50cm四方くらいのプラスチックケースの物です)
ケースはビール瓶が詰まった状態だとかなり重いですが、空の状態なら当然軽いです。
しかしケース自体は頑丈で、4つ、5つと重ねてもびくともしません。このあたりも壁式構造のマンションとよく似ています。
3.壁式構造のデメリット
壁式構造のデメリットとして、以下の点が挙げられます。
② 複雑な外観を作りにくい
③ 高層化が難しい
特に①に関しては、購入後何年かして「そろそろリフォームでもしようか」となった際に、問題が生じてきます。大幅な間取りの変更ができないのです。
壁式構造の建物はしっかりとしているぶん、各部屋を仕切る壁全体が建物を支える重要な働きをしています。
これは構造上の特徴であるため、そう簡単に変更することができません。それだけ最初の購入の際には、間取りについては十分に検討する必要があります。
4.ラーメン構造のメリット
ラーメン構造のメリットとして、以下の点が挙げられます。
② 部屋の間取りを自由に変えられる
通常、8階建てのマンションならば、鉄筋とコンクリートだけで十分なのですが、それ以上の階数になってくると鉄骨を組み込まなければ強度が不足してきます。
そのため、10階建てや20階建ての建物には、建物の柱や梁といった部分に鉄骨が入れられ補強されることになります。
鉄骨を柱や梁のなかに組み込んで補強したものは、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)と呼ばれ、高層マンションを建てることができます。
さらに鉄骨で補強されていることもあり、柱の間隔を広くとることができ、自由な間取りも考えることができます。天井も高くすることができるのは、ラーメン構造のメリットです。
5.ラーメン構造のデメリット
ラーメン構造のデメリットとして、以下の点が挙げられます。
② 建物が古くなると部分的に弱くなりやすい
まず、①の凸凹とは、柱や梁など建物を支えるために必要な構造物が部屋の中に張り出してくることなので、直しようがありません。主に気になるのは、部屋のコーナーにみられる柱型の張り出し部分ですが、これは家具の配置を工夫するなどして配慮するしかありません。
次に②の場合は、「もしもテーブルの脚が1本折れてしまったら・・・」と考えるとわかりやすいです。4本の脚のうち1本が折れてしまったら、不安定になることは間違いありません。
もしもそれがマンションの1階部分の柱であったら、どんなに不安定になるか安易に想像がつきます。
つまり、建物の老朽化や大地震、施工上のミスなどの理由で、何本かの柱のうち1本でもダメになってしまうとそれだけでも建物自身が危険に晒されてしまいます。
6.ラーメン構造のデメリット
木造のアパートに住んでいると、なにかと隣人の話声や生活音が聞こえてきます。人の声や物音の伝わり方には特徴があります。
ほとんどの場合、それは空気を通じて伝わってくるのですが、モノを通じて間接的に伝わってくることもあります。
このとき、壁が薄ければ薄いほど、振動も大きく、音は正確に再現されてしまいます。
つまり、音の伝わりにくさからいえば、壁は厚ければ厚いほどいい、ということになります。
では、マンションの壁は通常どのくらいの厚さになるのでしょうか。
普通のマンションの壁は、最低でもコンクリートの厚みが12cmに設定されていて、ある程度の音ならば伝わりにくくなっています。
しかし理想を言えば、この壁の厚みを18cmはほしいと思います。
それだけの厚みがあれば気になるほどの音も、まず漏れてこないと思っていただいていいですし、伝わる音の大きさも10分の1にまで減少されます。
さらに構造の面から言っても、18cm以上の厚みは安心感があります。通常、マンションに使われる壁の厚みは10cm、12cm、15cm、18cm、20cmと5タイプあります。このなかで18cm以上の壁は使われる鉄筋の量も多く、強度的にも満足できる設計となっています。
まとめ
コンクリート造りの建築物は、構造上の計算強度だけでなく、実は全体のバランスが耐久性や寿命に大きな影響を与えます。
たとえ強度が少々不足していても、震度5強程度の地震にはびくともしない建物もあれば、頑丈に設計されていてもあっけなく壊れてしまう建物もあります。
最初から粗雑に造られた建物はすぐにあちこち壊れていきますが、丁寧に造られた建物は何十年経ってもヒビひとつ入らず、頑丈なものです。
この記事が、丁寧に造られた建物(マンション)とあなたを引き合わせてくれる役目を果たしてくれることを願います。
建設会社にて2×4工法、RC造の建築物の設計・積算を担当。
住まいでの快適な暮らしや建築に関するニュースを執筆していきます。