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掲載:2022年02月17日更新:2022年02月17日

洗濯がラクになる家をつくるため、おさえたい3つのポイント

洗濯がラクになる家をつくるため、おさえたい3つのポイント

疲れて家に帰ってきてリビングのドアを開けたら、目の間に飛び込んでくるのはソファの上の山盛りの洗濯物。片づけたい!と思っていても後回しになって、結局洗濯物の中から洋服を引っ張り出して着る毎日。

洗濯がラクになる家をつくるため、おさえたい3つのポイント

「わかる!うちもそう!」という声が聞こえてきそうな情景です。

実際、間取りの打ち合わせをしているときに、相談される困りごとの上位に入ってくるのが「洗濯動線」です。家を建てたら今度こそ洗濯物が放置されない家にしたい。頑張らなくても片付く家にしたい。それが家を建てる人の多くが考えていることです。

“家事がラクになる家” をつくるためにはどうしたらいいか。

まずは「洗濯」という家事について、何が問題で『ソファの上の洗濯物山盛り現象』になってしまうのか考えてみたいと思います。



洗濯のここがイヤ!のワースト2は「たたむ」「しまう」

洗濯がラクになる家をつくるため、おさえたい3つのポイント

洗濯と一口に言っても、その工程は意外に複雑です。

 洗濯物を仕分ける
  ↓
 洗う
  ↓
 干す(乾燥する)
  ↓
 たたむ
  ↓
 クローゼットにしまう

順番に解説しましょう。
この一連の流れがスムーズに進むようにするためには、ソフト面とハード面の両方から正解を探さないといけません。

ソフト面というのは、洗濯を実際にする上での作業の流れ。
ハード面というのは、間取りや収納計画などを適切な形にしておくことです。


「洗濯なんてみんな一緒でしょ!」なんて思ってはいけません。
・そのお家では、誰がどの作業を担当しているのか。
・一日の中で、どんなタイムスケジュールで洗濯をしているのか。
・いつ洗って、いつ干して、いつたたんでいるのか、

突き詰めてヒヤリングしたいところです。
設計者自身の経験から、洗濯動線とは「こうあるべき」と決めつけるのは時期尚早。
同じ方法で解決できる場合もあれば、まったくアプローチを変えることも必要です。


洗濯の作業のなかでも特に、敬遠されがちなのが「たたむ→しまう」の部分です。
冒頭に説明したソファの上に洗濯物が山盛り現象は、まさしく「たたむ」「しまう」に挫折してしまった結果なのです。

この問題解決のために提案できるポイントを3つ、考えていこうと思います。


ポイント1:「たたむ」という家事をなくす

洗濯がラクになる家をつくるため、おさえたい3つのポイント

いっそのことたたまなくて済むように、「かける収納」をメインにしてしまうという方法です。
衣装ケースやタンスなどの引き出し収納と比べて、ハンガーのまま「かける収納」は、収納量がぐっと減ってしまうというデメリットがあります。
それでも、収納の奥で出番のない洋服がたくさんあるより、着まわせる洋服が一目で見渡せる収納のほうが実際は使いやすいかもしれません。

「かける収納」をメインにするならハンガーパイプは2段にする

一般的なクローゼットは、ハンガーパイプが上のほうに一段だけついておりその上に固定棚があります。「かける収納」をメインにする場合は、ハンガーパイプを2段に増やします。

そうすると、上の段にはトップス、下の段にはボトムスと分けて掛けることができます。
家族で使う場合、大人の洋服は上の段に、子どもの洋服は下の段に分けることもできます。
子どもの成長に合わせて高さを変えたい場合は、可動ブラケットタイプのハンガーをつける提案もおすすめです。

洗濯がラクになる家をつくるため、おさえたい3つのポイント

家を建てて引っ越すタイミングは、持っている洋服を見直す絶好の機会です。
本当に着たい服や必要な服だけを選び取り、それが収まるクローゼットを用意するように提案できるといいですね。


ポイント2:家族の洋服を集中一括管理する「ファミリークローゼット」

洗濯がラクになる家をつくるため、おさえたい3つのポイント

「たたむ」作業まではできるものの、人別に仕分けて各個人のクローゼットに「しまう」という作業がめんどうであきらめてしまう人もいます。 思春期のお子さんがいる家では、部屋に入ることが難しく本人に任せると床の上に放置されてしまう、という悩みもよく耳にします。

家族の洋服を一個所でまとめて管理できれば、「しまう」ハードルをグッと下げられます。
それを可能にするのがファミリークローゼットです。

ファミリークローゼットなら、家族の洋服をまとめて収納できます。


ファミリークローゼットの場所と広さ

ファミリークローゼットは日常的な着替えをする場所なので、LDKや洗面脱衣室に近いほうが便利です。広さは4人家族で2~3畳ほどとることが多いでしょうか。
もちろん洋服が大好きで、たくさん持っているという家庭の場合は、それに見合った広さを確保してください。

ファミリークローゼットだけで、家族の洋服すべてを収納することが難しければ、
・ファミリークローゼットにはオンシーズンの洋服を収納。
・個室のクローゼットには、オフシーズンの洋服を収納。

季節ごとに衣替えをすることで、収納スペースを有効に利用することができます。

ファミリークローゼットがあれば、わざわざ部屋のクローゼットを回って収納する必要がなくなります。そして、洋服をしまう作業をしてくれない家族に「せっかくたたんだのに、なんでしまってくれないの?」と、イライラする時間も削減することができます。


ポイント3:「干す → たたむ → しまう」の距離を近づける

戸建て住宅の「洗濯動線」でありがちな失敗として、
・洗濯物を干す場所
・たたむ場所
・しまう場所
との距離がやたらと遠いことがあります。

例えば2階建ての家で1階と2階のたて移動が頻繁になってしまうと、とたんに家事がおっくうになってしまいがち。特に今までマンション暮らしだった人が、初めて戸建てに住む場合は注意が必要です。

そんなときは必ず「こまめに行ったり来たりできそうですか」と、たずねることにしています。
マメな方であればそのままでも大丈夫。
「面倒になって後回しにしちゃいそうです」という方だったら、動線を見直す必要があります。

「干す → たたむ → しまう」の距離は、できる限り近くするのがポイント。



1階にファミリークローゼットがあるなら1階に干すスペース

1階にファミリークローゼットがあるのであれば、1階に干すスペースがあると便利です。
外にデッキやベランダなど、洗濯物を干す場所を用意します。最近では、室内干し派も増えてきているので、1階に室内干しスペースを確保したいですね。リビングに生活感があふれてしまうのを避けるために、洗面脱衣室を広めにとって室内干しスペースを兼用する事例も多いです。

干す場所のすぐ近くにファミリークローゼットを用意し、乾いたらすぐしまうことができるとベストです。できれば干す場所からファミリークローゼットに行くときには、リビングなどを通らず直行できるといいですね。“ついついソファの上に山盛り”を防ぐことができます。


2階個室のクローゼットなら2階に干すスペース

2階個室のクローゼットにしまうのであれば、2階に干すスペースを用意しましょう。一般的には、ベランダに干すパターンが多いかと思います。室内に干す場合は、階段を上がったところにつくるホールを大きめに用意して、そこで干すのがおすすめです。

取り込んだ洗濯物をその場でたたんだり仕分けたりして、すぐに2階のクローゼットにしまうという流れが大切。そのための「たたむスペース」を用意することも大切です。
階段ホールを広めにとって、そこにちょっとしたカウンターがあると作業がしやすいですね。
ホールにちょっとした余裕を持たせることで、ぐんと作業がしやすくなります。




5.まとめ


「家事がラクになる家」の正解は一つではありません。家族構成や、家族内での家事負担のバランス、家事へのこだわりポイントによって、最適な答えが変わってきます。

ライフスタイルについてグッと一歩踏み込んでヒヤリングできると、より生活に寄り添った提案ができますよ。


著者(和田さや子)プロフィール

一級建築士/ライフオーガナイザー/建築カラープランナー
注文住宅の設計を続ける傍ら、ライフオーガナイザーとして整理収納セミナーも開催している。 建築士として住宅設計を続けて18年。 サスティナブルな家づくりがこだわり。

ブログ「子育て世代・共働き夫婦のための片づけに悩まない家づくり」 





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