インナーバルコニーで後悔しないために!知っておきたいメンテナンスや雨漏りなどの注意点と対策法
「インナーバルコニー」は活用方法の自由度が高く、おしゃれで屋外の心地よさが気軽に楽しめるとあって近年人気となっています。その一方で、インナーバルコニーを採用したけれど「こんなはずではなかった」と後悔している声があることも否定できません。そこで、今回は後悔しないためにはどうすればいいか、注意点と対策法について解説します。
1.インナーバルコニーの後悔しがちな注意点と対策
では、インナーバルコニーを設ける際にはどのような点に注意すればいいのでしょうか。次から具体的にみていきましょう。
周囲からの視線が気になる
インナーバルコニーの採用を後悔する一因として「周囲の視線が気になってリラックスできない」ということがあるようです。
インナーバルコニーは上階のため通行人の視線は届きにくいのですが、立地や近隣の状況などによっては周りの視線が気になるかもしれません。庭やテラスのある住宅でも通行人などの視線を遮るため、植木を植えたりフェンスを設置したりと、さまざまな対策を行うことがあると思います。インナーバルコニーも同様に、状況に応じた方法でプライバシーを確保しましょう。
外壁を高くすると視線は届きにくくなります。ただし風も遮ってしまうので、壁に通風用の小窓を設置するとよいでしょう。圧迫感を感じにくくなり、風や光も通ります。外観デザインのアクセントにもなるのでおすすめです。
目隠し用のフェンスやルーバーを用いるのも有効です。外観と統一感を持たせれば、おしゃれな雰囲気も演出できます。手軽な方法として、視線が入りそうな方向に観葉植物を配置するのもいいですね。グリーンがあると空間が和らぎ、リラックス効果も期待できるでしょう。
開放感が得られることはインナーバルコニーの大きな魅力なのですが、それゆえに周囲からの視線が入ってしまう可能性も考えられます。事前に周りの建物や窓の位置など周囲の状況をしっかりと確認しておくことが大切です。
インナーバルコニーと隣接する部屋に光が届かない
インナーバルコニーは建物の内側に引っ込んだ造りで屋根もあるため、隣接する部屋に日光が届きにくい可能性があります。
インナーバルコニーの隣にリビングを配置し空間をつなげて活用する方も多いと思いますが、部屋の広さや方角によってはリビングが暗く使いにくいスペースになってしまうかもしれません。隣接する部屋に十分な日光を取り込みたい場合は、インナーバルコニーと接していない面からの採光を考慮し、天窓や高窓、吹抜けなどを設けましょう。明るく開放感のある空間がつくれます。窓の形やサイズ、配置に意匠性を持たせれば外観のおしゃれな建物となるでしょう。
インナーバルコニーの使用目的にもよりますが、間取りを工夫し、隣には日当たりを気にしなくてもいい部屋を配置しておくのも有効です。設計の段階で日照シミュレーションなどを活用し、季節や時間ごとの日当たりを確認してみるといいですね。
温暖化の影響により、夏の暑さは年々厳しくなっています。奥行きのあるインナーバルコニーがあることで、強力な日光が直接部屋に入るのを防いでくれる、と考えればデメリットな面ばかりではないかもしれません。
雨漏りが心配
インナーバルコニーは屋根や壁で囲まれていますが、台風や風が強い日には大量の雨がバルコニー内に降りこんでしまうこともあります。
建物の外側に出ている通常のバルコニーと違い、インナーバルコニーの下には居室などがあるため、雨漏りすると日常生活に大きな影響を及ぼすかもしれません。防水性に優れた建材の使用や事前の防水処理はしっかりと行っておきましょう。面積が広いため通常よりも施工費がかかることも考えられるので、専門家である建築会社に相談し、インナーバルコニーの使用目的や間取りを踏まえて優先順位を決めると良いかもしれません。雨漏りを防ぐことは、建物自体の耐久性を保つうえでもとても重要な要素となります。
メンテナンスが大変
さまざまな建材や施工処理には耐用年数があり、経年による劣化は否めません。
インナーバルコニーは外に面しているので、風雨や紫外線の影響を受け劣化が進む可能性も考えられます。そのため、定期的なメンテナンスが必要になります。防水材の塗り替え、ひび割れや摩耗した部分の補修または交換、排水溝やその周りの補修など、建物を守るために必要なメンテナンスは多岐にわたり、そこにかかるランニングコストを負担に感じるかもしれません。先述の雨漏りの話とも関連するのですが、事前の対策をきちんと行い、メンテナンスがしやすい製品を選ぶことで、少しでも経済的な負担が軽減できるように工夫しましょう。
建材や施工処理の劣化は専門家でないと分かりにくい部分もあるため、定期的にチェックしてもらうと良いいですね。早めにメンテナンスをすることで、結果的に費用を抑えることもできるでしょう。ただ、いくら良い対策を施し、メンテナンスをしても日頃の手入れが行き届いていないと、効果は半減してしまいます。例えば落ち葉やゴミが排水口に溜まった状態ではうまく排水ができず、雨漏りを引き起こしてしまうかもしれません。床材の表面を汚れたままにしていると、劣化が進んでしまうこともあり得ます。
インナーバルコニーは面積が広めなので大変だと思いますが、インナーバルコニーで快適な時間を過ごすためにも、こまめなお手入れを心がけましょう。
使い勝手が悪い
「インナーバルコニーの使い勝手が悪く、あまり活用していない」という意見もあります。使い勝手が悪くなる理由として、使用目的がはっきりしていない、間取りやインナーバルコニーまでの動線が良くない、などが挙げられます。
幅広い使い方ができるのはインナーバルコニーのメリットですが、漠然と設置しただけではもったいないスペースになりかねません。アウトドアリビングとして、ガーデニングスペースとして、子どもの遊び場としてなど、設計時にインナーバルコニーの使用目的をある程度決めておけば、それらに合った間取りや仕様、設備を選ぶことができ活用しやすくなるでしょう。広い空間は開放感があるのですが、スペースを持て余してしまう、広すぎて使い勝手が悪い、といった意見も聞かれます。
インナーバルコニーが広い分、ほかの生活スペースが狭くなることも考えられるので、目的に合った適度な広さにすることも重要なポイントです。
まとめ
インナーバルコニーは、とても魅力的な空間です。敷地に余裕がなく庭が設けられない場合でも、インナーバルコニーでバーベキューやガーデニングなどを楽しむことができ、多目的に使用できます。インナーバルコニーを上手に活用するためには、生活スタイルを考慮し、事前にさまざまな対策を講じることが大切です。快適な空間になれば、おうち時間がもっと豊かなものになるはずです。
ぜひ、インナーバルコニーの採用を検討してみてはいかかでしょうか。

床材・手すり・フェンス・照明を
選ぶポイントをご紹介!
建築・インテリア系の専門学校卒業後、工務店にて建築業務に携わる。
福祉住環境コーディネーター2級。
二児の母。