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掲載:2024年03月01日更新:2024年03月01日

室内の寒さ対策に効果的な建材や住宅設備

気温が大きく下がる冬場は、外の冷気をしっかりシャットアウトして暖かく過ごせる室内環境づくりが不可欠です。 電気代やガス代が上昇していることもあって、効率的な暖房につながる建材や設備を取り入れたいというエコ意識も年々高まってきています。

この記事では、室内の寒さ対策に効果的な建材や設備をご紹介します。部分的なリフォームでも導入しやすい商品が多いので、冬場の快適な住環境を手に入れたい方はぜひ参考にしてくださいね。

1.室内の寒さ対策に効果的な建材

環境省が平成17年度から提唱している、冬期の地球温暖化対策のひとつ「ウォームビズ」では、暖房時の室温の目安を20度としています。
衣食住のうちの「住」分野での工夫として温度だけでなく湿度も調整して体感温度を上げること、湯たんぽやスリッパなどの小物を活用し暖房に頼りすぎない過ごし方を工夫することなどが提案されていますが、もっとも効果が大きいのは室内の暖かい空気を外に逃がさないことです。

室内全体の暖かい空気は、さまざまな部分から外に流出します。もっとも大きいのが窓で約58%、次に大きいのが外壁と換気でそれぞれ約15%と言われており、床や屋根からの流出もわずかながら発生します。
つまり、窓と外壁の断熱性能を高めつつ換気にも工夫をすることで、室内を効率的に暖房できるのです。

この前提を踏まえて、室内の寒さ対策に有効な建材をご紹介します。「冬場に暖房していても何となく室内が寒い」という場合は、リフォーム時の建材選びのヒントにするのもおすすめです。

断熱二重窓

リビングや寝室などに大きな掃き出し窓があると開放感が高まりますが、室内の暖かい空気が流出しやすくなります。
断熱二重窓にすると、暖気の流出を防ぐとともに車の走行音などの影響を受けにくくなってより快適な室内環境をつくることができます。
室内のインテリアに合わせてサッシカラーを選べるタイプだと、全体の統一感が出せるので見た目もまとまりやすいですね。

高断熱ドア

玄関まわりは外からの冷気がたまりやすく、暖房がないため居室との気温差が生まれやすい場所です。滞在時間が比較的短いとはいえ、靴の脱着や荷物の出し入れなどを行う時に寒くない方が快適ですよね。
高断熱性能を持つ玄関ドアにすると、外気温の影響を受けにくくなります。
最近はデザインのバリエーションも増えてきており、モダンやクラシック、カントリー、ヴィンテージなどさまざまなテイストのデザインから選べるようになってきました。家の顔とも言える玄関ドアだけに、機能性とデザイン性の両方にこだわって選ぶのがおすすめです。

高断熱性能の屋根材

暖かい空気が屋根から逃げるのは約5%と大きくはありませんが、冷たい外気に直接触れる場所なので断熱材とともに屋根材も断熱性能を持つタイプを選んでおくと安心です。
現代の日本の住宅と相性がいいシンプルな屋根材から純和風の瓦風屋根材までデザインもさまざま。降雪量が多い地域は耐久性や落雪防止効果があるかどうかもチェックして選ぶとよいでしょう。

高断熱性能の外壁材

外壁材の中でも耐食性や耐久性にすぐれた金属製サイディングは、断熱性能も併せ持った製品が多いです。
タイル外壁に比べると軽量なので建物にかかる重量が少なく、飛来物にも強いので、台風や地震などの自然災害時にも安心です。モダンでスタイリッシュな外観に仕上げたいなら特におすすめですよ。

無垢床材

直接触れることが多い床面の建材選びは快適性に直結します。ふんわりとしたぬくもりが心地よい床暖房が欲しいけれどランニングコストが気になるという場合は、接触面温度が高めで断熱性が高い桐の無垢床材を選ぶのもひとつの方法です。
無垢材特有の香りと質感が快適性を高めてくれるでしょう。

床暖房対応タイル

リビングや寝室などに床暖房を設置するパターンは多いですが、冷えやすい水まわり空間にも床暖房が欲しいという声は少なくありません。
床暖房対応のタイルを選ぶことで、洗面やトイレなどに床暖房を取り入れやすくなります。磁器質タイルならではのアンティークな風合いが空間全体をグレードアップしてくれるでしょう。

断熱性能が高い壁紙

室内でもっとも広い面積を占める壁面の断熱性は、暖房効率に大きく影響します。壁下地の断熱材をしっかりと施工するのはもちろん、仕上げ材も断熱性能が高い製品を選ぶとより安心ですね。
保温・断熱性能があるコルク素材の壁紙は、表面に独特の凹凸があり、照明器具の光を受けてできる陰影が落ち着いた雰囲気をつくり上げます。ビニール壁紙にはない味わいを楽しめるでしょう。

2.室内の寒さ対策に効果的な住宅設備

室内の暖房方式は、輻射熱によって壁や床などの建材そのものを温める輻射式と、室内の空気を循環させて温める対流式とがあります。
どちらも一長一短あり、導入コストやランニングコストなどが異なるため間取りや部屋の広さ等を考慮して選ぶ必要がありますが、一度温めた空気をできるだけ逃がさないための住宅設備を導入しておくとより効率的に室内を暖かくすることができます。

ハニカムスクリーン

空気を挟み込む構造で高い断熱性能を誇るハニカムスクリーンは、カーテンやブラインドとはまた違う味わいを楽しめます。
窓からの暖気流出を防ぐには窓サイズに合わせて設置するのがベターです。素材やカラーも選択可能なので、インテリアに合うタイプを選ぶとおしゃれ度もアップしますよ。

ヒートポンプエアコン

室内で使う暖房器具というとエアコンや石油ファンヒーター、ストーブなどが一般的ですが、器具本体が室内に出てくるため目立ちやすいのがデメリットです。
ヒートポンプを利用した静音性や放熱性にすぐれた暖房システムを採用すると、放熱パネルだけが見えるすっきりとした状態に仕上げられるためインテリアを損ないません。放熱パネルのデザインやカラーの選択によって洋室でも和室でも違和感なく設置できます。

バイオエタノール暖炉

ゆらめく炎は見ているだけで心が落ち着くものですが、暖炉は手入れがかかるため導入しにくいというイメージが強いのではないでしょうか。
最近注目を集めているのが、サトウキビやトウモロコシを原料とした燃料・バイオエタノールを利用した暖炉です。薪などを燃料とする従来の暖炉とは異なり、煙突などの換気設備が必要ありません。室内の空気が汚れることがないので、広めのリビングや吹き抜け空間の暖房に適している暖炉への憧れを実現しやすいですね。

まとめ

まとめ

気温が下がり始める晩秋から花冷えと呼ばれる時期まで、外気温が低い時期は長く続きます。これから家を新築する場合でもリフォームを行う場合でも、室内の寒さ対策を考慮して建材や住宅設備を選ぶことでより快適な生活が手に入れられるでしょう。

今回の記事を参考に、効率的なエコ暖房ができる建材や住宅設備をぜひ検討してみてください。





著者(河野 由美子)プロフィール

住宅やオフィス・店舗などの設計およびインテリアコーディネート、新築分譲マンションの設計変更などを担当。
建築関連企業の社員研修外部講師、インテリアコーディーネーター資格対策テキスト監修、工務店の施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

▼略歴
住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手リノベーション設計企画会社で10年勤務したのち独立。
主に住宅を中心としたリフォームやリノベーションを担当。
新築分譲マンションの設計変更やインテリアコーディネート業務にも携わる。

▼保有資格
二級建築士、インテリアコーディネーター、防災備蓄収納1級プランナー。






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