一つ一つに個性があり自然素材を用いたものが多いフィンランドの教会建築
ヘルシンキ大聖堂(2017年撮影)
リラックスしたい気持ちの時にフィンランドで訪れた教会をよく思い出します。
厳正で、沈黙の世界の中、優しい照明の光を見ると神聖で穏やかな気持ちに…。
そんなフィンランドの教会の建築の細部に注目したお話です。
1.フィンランドを代表する「ヘルシンキ大聖堂」
フィンランドを代表する建物のひとつ、「ヘルシンキ大聖堂」。フィンランドに行くたびに何度も訪れています。
白を基調としたクラシカルで美しい建物は、政府機関やフィンランドの中心的施設があるエリアにあります。冬のクリスマスマーケットや様々なイベントが行われる元老院広場がヘルシンキ大聖堂の前にあり、石畳に特徴的な表情があるので撮ってみました。
フィンランド福音ルター派教会ヘルシンキ教区の教会で1852年竣工。設計は、カール・エンゲル、エルンスト・ロールマンによるもの。地上62mも高さがありヘルシンキを代表する建物。1917年のフィンランド独立までは聖ニコラウス教会と呼ばれていた。
ドイツ ベルリン生まれの建築家。1816年にフィンランドに渡り、数々の公共建築をデザインする。その中でも ヘルシンキ大聖堂は、ヘルシンキで最も有名な建築物となっている。
2.ヘルシンキ・カンピ静寂の礼拝堂
(カンピ静寂の礼拝堂 2014年撮影)
地下鉄の駅、ショッピングセンターや長距離バスの発着場もあるカンピ地区。おしゃれでモダンなエリアにある「カンピ静寂の礼拝堂」。宗教や経歴に関係なく訪問することが可能な礼拝堂です。
フィンランドらしい多様性を取り入れた考え方がいいですね!
外装のトウヒが特徴的。内部は、厳かな雰囲気で自分なりに祈りをささげました。
2012年K2Sアーキテクツの建築家ニッコ・スマネン、ニコ・シノラ、キンモ・リントゥラが設計。高さ11.5mある木造の建築物で外装にトウヒを用いて、ナノテクノロジーワックスで保護している。内部には、成型ハンノキを使用。天井には石膏ボードで遮音している。定期的にコンサートなどイベントを開催している。
フィンランド ヘルシンキにある建築事務所。斬新なアプローチ、細部のこだわり、多様な素材の使用をした建築物を多くデザイン。ウェルビーイングをコンセプトに建築を手がけている。アアルト大学で教えている建築家も。
ウェルビーイング(Well-being)とは 健康と幸福、福祉の意味を持つ言葉。肉体と精神と社会が満たされた状態。 身体だけではなく精神面、社会性も含めた健康で多様な側面の意味がある。広義に幸福度のこと。 フィンランドでは、この考えのもとに社会がつくられていることから世界幸福度ランキングがトップクラスなのかもしれません。
3.岩盤を利用した円形の天井が特徴的「ヘルシンキ・テンペリアウキオ教会」
(テンペリアウキオ教会 2013年撮影)
ヘルシンキ中心部からトラムで約10分のトーロ地区にある観光スポット「テンペリアウアキオ教会」。
岩盤を利用した音響が素晴らしい教会です。開放感がある美しい円形の天井が特徴的。
画角はありますが、たいへん写真映えしますので、おススメの教会ですよ!
フィンランド福音ルター派の教会で1969年完成。トゥオモ・スオマライネン、ティモ・スオマライネンの兄弟の設計。岩の教会とも呼ばれている。花崗岩の岩盤をくり抜いた半地下、円形に銅製の円盤天井とコンクリート、ガラスの複合的な天井をもつ見事な建築物。音響もよく、コンサートも開催されている。
4.ペンダント照明が特徴的な「ヘルシンキ・ミュールマキ教会」
(ミュールマキ教会2017年撮影)
ヘルシンキから近郊電車(空港線)に乗ること約20分Louhelaという駅のすぐそばにある「ミュールマキ教会」。私は、間違えて一つ手前の『ミュールマキ』という駅で降りてしまい、道に迷った思い出があります。行かれる予定の方は、お気をつけて!
北欧の建築のガイドブックにもよく掲載されているので、比較的訪問しやすい場所にあります。
1984年完成。ユハ・レイヴィスカ設計でフィンランド福音ルター派の教会。高い天井から多くのペンダント照明が下がる礼拝堂は、大変美しく、見ごたえがあり。
5.建築家カップルにより設計された「タンペレ・カレヴァ教会」
(カレヴァ教会 2017年撮影)
フィンランド第二の都市でもあるタンペレの中心部、小高い丘にそびえ立つ「タンペレ・カレヴァ教会」。
私は、キリストが手を上げているように見えて...。内部にひきこまれるように入りました。
見た目と同じおおらかな雰囲気をもつ教会。
RC打ち放しの内部の天井は、高く美しい空間。訪れたときの外気温は、マイナス気温なのに暖房が隅々まで入っていて暖かかったです。
タンペレのLiisanouisto地区にあるフィンランド福音ルーテル派の教会。1966年に建築され設計は、レイマ・ライリの建築家カップルによるもの。個性的な外観の上部に十字架の鐘楼があり、内部のメインホールは、高さ30メートル、1120人の座席がある。調度品はフィンランドパインに漆塗り。外壁にもコンクリート打ち放しを予定していましたが、途中でタイル仕上げに変更された。
6.十字架の鐘楼が特徴的な「ラハティの十字架教会」
(ラハティの十字架教会2014年)
ヘルシンキより近郊列車で約1時間のラハティという町の少し小高いエリアにアアルト設計の「ラハティの十字架教会」があります。私が行った時、ヘルシンキ中央駅で、乗る列車がわからずに困っていました。たまたま近くにいたフィンランドの男性にラハティ行きの列車について聞いたところ、その男性もラハティに帰る予定(日本語が堪能な方でした)。近くまで案内してもらった思い出があります。
お花が咲き、よく手入れされたお墓がある教会。内部では、ミサをしていました。少しの間ミサに参加してフィンランド語で聖歌を歌って…。高い天井にアアルトのデザインのペンダント照明がかかった美しい空間の中幻想的でした。
1978年完成のアルヴァ・アアルト設計の教会。十字架の鐘楼が特徴的で、エリエル・サーリネンの市庁舎と向かい合う位置にある。ヴェッコ・ヴィルタネン製のパイプオルガンのある教会でその音色も美しい。
まとめ
フィンランドの教会建築には、一つ一つに個性があり、また素材の使い方も自然を用いたものが多いように感じました。
建築素材を選定する際に細部にこだわってみてはいかがですか?
フィンランドの建築のように建築で幸福度が上がるかもしれません。
福祉系専門学校卒業後保育士1年勤務
役所で補償業務の臨時職員1年
ハウスメーカー、工務店で建築事務や建築設計、確認申請業務、宅地建物取引主任者、インテリアコーディネーターなどを30年経験