建材情報まとめサイトすまいりんぐ
COLUMN
コラム
掲載:2024年11月29日更新:2024年11月29日

体育館の内装材の選び方 〜床材・壁材・天井・建具・照明〜

体育館は、体育の授業から地域スポーツ活動まで幅広い用途で利用されるとても重要な施設です。内装に関して特別なルールはありませんが、安全性や機能性など多角的な視点で選ばなければなりません。今回は体育館の床材・壁材・天井・天井・建具・照明の選び方やおすすめの建材についてご紹介します。

1.体育館の床材は安全性と耐久性のバランスで選ぶ

体育館の床材選びで最も重要なのは、運動時の安全性です。例えばバスケットボールでは激しいジャンプや着地、バレーボールでは素早い方向転換が頻繁に行われます。そのため床材には、適度な弾力性と滑り抵抗が必要不可欠です。硬すぎる床では膝や足首への負担が大きく、逆に柔らかすぎると足がとられて転倒の危険があります。

また、体育館では重い器具を動かしたり、大勢で同時に使用したりするため、へこみや傷がつきにくい耐久性の高い床材を選ぶ必要があります。特に床材の表面に割れやささくれが出ると、思わぬケガにつながる危険も。長期的な安全性やメンテナンス性まで考えて選びましょう。

最も採用率の高いフローリング

体育館フローリング

学校体育館で定番の床材が、木製のフローリングです。木材の持つ自然な弾力性は、ボールをついた際に適度な跳ね返りを与えながら、ジャンプの着地時には衝撃を吸収してくれます。また、フローリングには適度な滑り抵抗があり、急な方向転換も安定して行えます。

長年使っていると床材は傷んでくるものですが、フローリングは表面の研磨や再塗装ができるのも特徴です。ただし、水には弱いため、日常的な掃除や定期点検は欠かせません。汗などで濡れると滑りやすくなるため、練習前にモップで乾拭きし、汗で濡れた際もこまめに拭き取りましょう。

ゴムタイルで衝撃吸収性を高める

近年注目を集めているのが、ゴムタイルの床材です。特にバスケットボールやフットサル、バンドボール、バドミントンなど、激しい動きの多い競技のコートでの採用が増えています。最大の特徴は、優れた衝撃吸収性。ジャンプの着地や転倒時の衝撃を効果的に和らげ、選手の膝や足首への負担を軽減できます。

さらに、ゴムタイルは水に強く、メンテナンスが容易な点も魅力です。汗や飲み物がこぼれても、すぐに拭き取れば染みになりにくく、日常的な掃除も簡単です。また、タイルが破損した際には1枚単位で交換でき、補修費用を抑えられます。



2.体育館の壁材は安全性と吸音性が大切

体育館の壁材選びでは、競技中の接触事故への対策が重要です。例えば、バスケットボールでシュートを打った選手が勢い余って壁にぶつかったり、バレーボールで後ろに下がりながらレシーブする選手が壁に接触したりするケースは少なくありません。そのため、人が接触したときに衝撃を和らげる性能と、繰り返しの接触で凹んだり傷んだりしない耐久性が求められます。

また、体育館特有の課題として、音環境の改善があります。ボールの跳ね返り音や選手の掛け声などが反響して、指示が聞き取りにくくなる事態は避けたいものです。そのため、吸音性のある壁材として、表面にたくさんの小さな穴が空いた「有孔パネル」などがよく使われます。

木毛セメント板で音の響きを抑える

木毛セメント板とは、木材をリボン状に削り出した木毛をセメントと混ぜ合わせ、板状に加工した建材です。木材の繊維の中に空気を含むことで、優れた吸音性を発揮します。軽量で加工しやすく、燃えにくい性質もあり、色やサイズもバリエーション豊富です。

壁面クッション材で安全性を強化

安全性をさらに高めたい場所には、壁面クッション材の使用もおすすめです。特にバスケットボールのゴール後ろなど、衝突の危険が高い場所で使うとよいでしょう。必要な場所に必要な分だけ設置できるため、コストを抑えながら効果的に安全対策を行うことができます。

新しい可能性を広げるクライミングウォール

最近のトレンドの一つとして、体育館の壁の一部をクライミングウォールとして活用する事例も増えています。単なる遊び場としてではなく、子どもたちの運動能力向上やアスリートのトレーニングなど、幅広い目的で注目されています。ただし安全面には特に注意が必要で、安全マットの設置や定期点検など適切な管理体制を整えることが大切です。

体育館の天井高と安全性を両立する膜天井

体育館の天井は、競技に必要な高さの確保と安全性の両立が求められます。バレーボールやバドミントンでは高い打球も想定されるため、十分な天井高が必要です。一方で、地震大国の日本では、天井の耐震性も重要な課題となっています。

そこで近年よく採用されているのが、薄い膜材を張り込んで仕上げる「膜天井」です。軽さと強さを兼ね備え、地震時の安全性も高いことから注目を集めています。また、柔軟性のある膜材は自由な形状に対応できるため、意匠性の高い天井デザインも可能です。

防球格子建具で体育館の採光と安全性を両立する

体育館では、自然光をたっぷりと取り入れることによって、照明コストの削減と快適性の工場が期待できます。しかし、大きな開口部は、安全面でのリスクも伴います。特にボール競技では、ガラスの破損事故を防ぐ対策が必要です。

体育館の開口部に関するこれらの課題を解決するのが「防球格子建具」です。木材やアルミニウムの格子でガラスを保護することで、光や風を十分に取り込みながら安全性を両立できます。最新の製品は、軽量化により開閉時の操作性も向上しています。

競技に適した照明環境を整える

近年の体育館では、LED照明が主流です。従来の水銀灯に比べて消費電力が少なく、電気代の削減につながります。また寿命が長いため、高所作業を伴う照明交換の頻度を減らすこともできます。

体育館は天井が高いため、高所から効率よく広範囲を照らせる高天井用の照明器具を使用します。バレーボールやバドミントンなどで見上げたとき、照明が視界に入って競技の妨げになる可能性があるため、眩しさを軽減した照明を選ぶのがおすすめです。




まとめ

体育館は授業での利用から地域スポーツまで、幅広い用途で活用される重要な施設です。そのため内装材を選ぶ際は、まず実際の利用者層や用途を具体的に把握することから始めましょう。例えば、小学生の体育の授業が中心なのか、地域の社会人スポーツでの利用が多いのかによって、求められる性能は変わってきます。

また、建材選びは床材から照明まで総合的な視点が必要です。各部材が単体で優れているだけでなく、全体として調和のとれた空間となるよう計画を立てましょう。初期費用だけでなく、定期的な点検や補修などのランニングコストを考慮に入れることも大切です。予算と相談しながら、耐久性の高い建材を選んだり、部分補修が可能な建材を採用したりすることで、長期的に安全で快適な運動環境を維持できます。



著者(村田 日菜子)プロフィール

大学で建築を学んだ後、住宅専門のライターとして活動中。
主にWebコラムや住宅情報誌で、住宅購入やリフォームのノウハウ、マネー情報等の原稿執筆・編集をしています。






SHARE


村田 日菜子の他の記事

RELATED ARTICLE

アクセスランキング(COLUMN)
グラスウールはどんな断熱材?ロックウールとの違いやメリット、デメリット
壁式構造とラーメン構造とは?|構造の違いと特徴をまとめてご紹介!
屋根塗装の時期が10年後というのはウソ?塗り替えに適した季節も解説
家の外壁に木を使いたい!おすすめ木材&注意点
外壁におけるスタッコ仕上げの特徴やデメリット、おすすめ商品を紹介
SumaiRing最新記事
SPECIAL
東 環境・建築研究所 / 代表取締役 東 利恵|すまいリング(Special Interview)
高層ビルが建ち並ぶ 大都会に佇む 「塔の日本旅館」
STORY
豊泉家(SCM株式会社)×大和金属工業株式会社
ヨーロッパスタイルのアイアン門扉が 「確かなセキュリティ」を提供
ARCHITECT
鈴木隆介一級建築士事務所
二葉寿司
MANUFACTURER
SANEI株式会社
感性に心地よく訴える「水栓」製品をご提供
COLUMN
体育館の内装材の選び方 〜床材・壁材・天井・建具・照明〜
COLUMN
建材コラム
建材のことをわかりやすく紹介するコラム記事です。 建材に関するあらゆることから、身の回りの疑問に感じた住まいに関する記事まで取り揃えています。