わが家は地震がきても大丈夫?耐震補強が必要な住宅とは
日本では、毎年どこかで地震が起こっています。小さい地震は気にならないかもしれませんが、やがてやってくるのが大地震。そのとき、あなたの家は揺れに耐えられますか?
家が強いことは、大切な家族の命を守ることにも直結します。
では、具体的にどのような住宅が耐震性に心配があるのでしょうか。今回は、日本の住宅の耐震性や、耐震補強が必要な住宅の特徴についてご紹介します。
将来、日本で大地震が起こる可能性は?
日本列島は、複数のプレートに囲まれています。そのため、諸外国に比べて地震が頻発するのです。近年起こった大地震は、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震です。どれも最大震度7を観測しており、大きな被害をもたらしました。
このような大地震は、今後も発生すると考えられています。主なものは、南海トラフ地震、首都直下地震など。南海トラフ地震は、気象庁が30年以内に発生する確率は70~80%と発表しており、いつ起こってもおかしくない状態です。
南海トラフは静岡県から九州地方まで続いている大きなプレートなので、震源域が広いのも特徴。高知、宮崎、静岡、和歌山、三重など各地で最大震度7、太平洋側の沿岸部には10m以上の津波が押し寄せ、甚大な被害になると予想されています。
また、マグニチュード7クラスの首都直下地震も、今後30年以内に70%の確率で起こると発表がありました。木造建物が密集していることから、建物の倒壊だけでなく、火災が広範囲で起こりやすくなることが予想されています。
日本に住んでいる以上、いつどこで大きな地震が起こってもおかしくありません。大切な命を守るためにも、早急に耐震対策が必要と考えられます。
木造住宅の9割以上が耐震性を満たしていない
日本では、木造住宅が多く建てられています。これは、日本の7割が森林で占められていることが理由。昔から身近な材料である木を使った住宅が、スタンダードなものとなったようです。また、日本は湿度が高いという特徴があるので、通気性に優れている木造住宅が好まれるようになったのも理由のひとつ。
現在でも、木造住宅は9割近くを占めています。そんな木造住宅は通気性に優れ、設計時の自由度が高いなどのメリットがありますが、耐震性に不安があるのも事実。
木耐協の調査によると、日本の古い木造住宅で耐震性を満たしていない建物は約9割以上。先ほど説明した南海トラフ地震や首都直下地震などの大地震が起きたとき、今のままでは多くの住宅が倒壊してしまいます。
昭和56年以前の建物は確認を!
木造住宅の中でも、昭和56年(1981年)以前に建てられたものは、耐震性に不安があるものが多いとされています。経年劣化も理由のひとつですが、建築基準法の改正以前に建てられたものなので、耐震性が低いからです。(底盤のない基礎や、鉄筋なしの基礎の上に作られた住宅が多いとされています。)
近年の耐震性に優れた住宅に移り住む、新築するのもひとつの手ですが、多くの人にとって現実的な手段ではありません。そこで、耐震性に不安がある住宅をリフォームで補強する方法をおすすめします。
まずは、耐震診断を行い、どれだけ耐震性があるのか調査しましょう。その上で、本当に必要な箇所から耐震リフォームを行うことが大切です。あまり予算がなく、大きなリフォームができない場合でも、金具で柱や梁、土台をしっかり固定したり、基礎と土台を緊結したりすることで耐震性を高められます。
金銭的な理由で大掛かりな耐震改修ができない場合、地震で家が倒壊しても居住空間を守る「耐震シェルター」という装置を家の中に設置する方法もあります。
また、これから家を建てる方は、地盤調査を行うことをおすすめします。日本の7割が森林であることから必然的に住宅用地が少ないので、地盤が軟弱な土地の上に家を建てることも少なくありません。地盤が固い=揺れが少ないことにつながるので、家づくりに大切な要素になります。もし地盤が弱いときは、地盤改良工事を行うことで、安心の家づくりにつながるでしょう。
まとめ
日本に住んでいる以上、どこにいても地震が起こる可能性はぬぐえません。家が耐震性に優れていることは、命を守ることにもつながります。昭和56年以降に建てられた住宅や、耐震性が低いと判断された住宅は、まずは耐震補強を行いましょう。予算が限られている場合でも、本当に必要な箇所だけリフォームを行ったり、自治体から補助金が出たりする場合もあります。安心して暮らすためにも、耐震性を高めておきたいですね。
住宅専門ライター