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掲載:2023年11月01日更新:2023年10月26日

在宅避難が可能な家にするための住宅設備や建材とは?

在宅非難が可能な家にするための住宅設備や建材とは

地震や台風などの自然災害が起きた時、自宅近くの避難所に避難した、あるいは避難しようとした経験がある方は多いのではないでしょうか。特に地震の場合は時間が経ってからも余震が続くことがあるだけに、安全の確保は重要です。
一方で、大勢の人が狭い空間に集まる避難所で過ごすことは精神的なストレスにつながるだけでなく、感染症拡大の不安も大きいことから、近年は在宅避難が注目されています。

ただし、在宅避難をするには住宅が在宅避難できる仕様になっていることが前提です。食品や日用品の備蓄といった心がけに加えて、在宅避難を見据えた住宅設備や建材を選ぶという対策も積極的に取りたいですね。

この記事では、在宅避難が可能な家にするための住宅設備や建材を紹介します。自然災害発生時に在宅避難を選択したい方はぜひ参考にしてください。

1.在宅避難とは

在宅避難とは

地震や台風などの自然災害発生時における避難方法のひとつで、地域の避難所へ避難せず自宅で生活を送る方法を指します。倒壊や浸水、流出といった危険が自宅に起きていない場合に可能です。

在宅避難のメリットは、避難所のように不特定多数の人が集まる状況ではなく家族で避難生活を送るため、プライバシーが制限されないことです。ライフラインの障害など普段より多少制限があるものの、住み慣れた環境で過ごせるので大きな安心感を得られます。また、近年の懸念事項である感染症の罹患リスクを下げられるのもメリットです。

一方で、支援物資は人が多い避難所に集中して送られるため在宅避難だと備蓄品で賄うことになります。備蓄品が少なくなった際は避難所まで支援物資を受け取りに行く必要がある点は在宅避難のデメリットと言えます。また支援活動の情報はSNSでの発信も増えているものの、細かい情報は避難所に集まりやすいです。SNSでの情報が更新されにくく状況把握が難しい場合は、やはり避難所に行って情報を入手する必要があるでしょう。

2.在宅避難が可能な家とは

自然災害の規模や近隣の被災状況によって在宅避難を続けられる期間は異なりますが、次のような条件が揃っていれば基本的に在宅避難が可能です。

倒壊や大きな損壊がない

自然災害が起きても家が倒壊していない場合は在宅避難ができる可能性が高まります。屋根や外壁、基礎といった家の主要構造部分に大きな損壊がない場合も在宅避難は可能です。

災害後も安全で最低限の生活ができる

数日間の停電や断水に対応できる住宅設備を備えており、食品や日用品のストックがある状態なら、ライフラインが復旧できていなくても在宅避難が可能です。家具などの倒壊がなければ家族が寝起きできるだけのスペースを確保しやすく、窓ガラスが破損していない場合は防犯面でも安心でしょう。

そして、家だけでなく敷地の状況もチェックしましょう。地盤の沈下や傾斜、水はけの悪さなどが起きていると、家本体に損壊はなくても時間が経つにつれて傾き倒壊する可能性があり、とても危険です。

3.在宅避難を可能にする住宅設備や建材

在宅避難を可能にする住宅設備や建材

いざという時の備えとして在宅避難できるような家にしたい場合は、新築やリフォームの際に防災意識を持って住宅設備や建材の選択を検討することが大切です。
在宅避難を可能にする住宅設備や建材についてまとめましたので、参考にしてみてくださいね。

発電や蓄電ができる住宅設備

在宅避難でもっとも優先したいのはライフラインの確保です。電気・ガス・水道いずれも日常生活には欠かせませんが、特に電気はさまざまな住宅設備や電化製品を動かす上で必須なだけに、在宅避難を行うためには優先して確保しておきたいですね。

災害後も発電できる太陽光発電システムは自然災害対策として有効な住宅設備です

ただし雨天時や夜間は発電できないので、日中に発電した電気を貯めておける蓄電池と組み合わせるとより安心な備えになるでしょう。

住宅用太陽電池モジュール

家庭用蓄電池

水源を確保できる住宅設備

電気と同じく災害時に確保したいのがです。トイレの排水だけでなく、体を拭くなど最低限のケアができます。貯湯タンク内のお湯を冷ましてトイレの排水などに使えるエネファームやエコキュートを選択しておくと、断水時の備えになります。
また、雨水を貯めておける住宅設備や水道管に直結して水道水を使える住宅設備なども、設置スペースが確保できれば在宅避難ができる環境を整えやすい住宅設備と言えるでしょう。

本震や余震に耐えられる可能性を高める建材

突然襲ってくる地震に対応するには、事前に家の耐震性能を上げておくことが大切です。
新築時は耐震性が高い構造で設計することで対応できますが、築年数が経っている家は基礎の補修や補強、壁量の増加、構造部分の耐震性向上、屋根材や外壁材の軽量化といった対策を取っておきたいですね。家の倒壊や損壊を回避できれば、地震発生後も在宅避難が可能です。

木造軸組工法用

木造住宅用振動抑制装置

軽量屋根材

外壁用

災害発生後の火災を防止する住宅設備や建材

地震や台風が来た後は、漏電などによって火災が発生する確率が高いと言われています。家の倒壊や破損を免れても、火災が起きてしまうと在宅避難は不可能なので、火災の発生や延焼を防ぐ住宅設備の採用を検討しましょう
一定以上の規模の揺れを感知すると通電をオフにするブレーカーや、調理中に地震がくると自動消火する調理器具は、地震後に避難するのが精一杯でブレーカーを落とす余裕がなくても火災の発生を防ぎやすいです。

災害発生時の怪我や室内の破損を回避しやすい建材

家本体に大きな被害がなくても、室内に被害が出ると在宅避難は難しくなります。地震の揺れによる家具の倒壊、台風の突風による窓ガラスの破損、大雨による開口部からの浸水などによって生活に支障が出ないような工夫が必要です。

収納家具は造り付けにすることで衝突による破損を免れる確率が高くなります。扉に耐震ラッチを付けたり引き戸タイプの扉にしたりすることで、内部の収納物が飛び出るのを防げるでしょう。
万が一割れても飛散しにくい窓ガラス、高い水密性で雨水の侵入を防ぐドアなども在宅避難しやすい環境をつくりやすくなります。

飛散防止用窓フィルム

収納家具

引き戸ドア

まとめ

まとめ

台風や大雨などは天気予報である程度状況を想定できるものの、予想以上の被害が起きるケースは少なくありません。
また地震は突発的に起こるため、事前に対策をしておく必要があります。いつ、どんな自然災害が起きるか分からないと心得て、万が一起こっても落ち着いて過ごせるよう在宅避難ができる家にしておくのがおすすめです。

今回の記事を参考に、新築やリフォームの機会を利用して在宅避難が可能な家へとグレードアップしていきましょう。





著者(河野 由美子)プロフィール

住宅やオフィス・店舗などの設計およびインテリアコーディネート、新築分譲マンションの設計変更などを担当。
建築関連企業の社員研修外部講師、インテリアコーディーネーター資格対策テキスト監修、工務店の施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

▼略歴
住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手リノベーション設計企画会社で10年勤務したのち独立。
主に住宅を中心としたリフォームやリノベーションを担当。
新築分譲マンションの設計変更やインテリアコーディネート業務にも携わる。

▼保有資格
二級建築士、インテリアコーディネーター、防災備蓄収納1級プランナー。






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