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掲載:2021年06月15日更新:2021年06月15日

オススメの厳選耐震診断ソフト

「最近地震が多いような気がする…」何となくそう感じる人は多いようです。

日本は世界でも有数の地震大国であり、実際に2020年4月1日~6月30日に発生した最大震度4以上の地震回数は、前年の同時期に比較しても1.57倍と増えています。

すでにいつ起きてもおかしくないといわれている「南海トラフ地震」をはじめとして、日本の大地に建物を建てる場合は、常に地震のリスクを考慮しなければなりません。
特に平成12年以前の建物や旧耐震基準に該当する建築物は地震に対する強さをしっかりと調査し、適切な耐震工事等の処置が急がれます。

建物の地震に対する強さを測定する場合、耐震診断を行いますが、その際に利用される「耐震診断」ソフトについて、選定基準やオススメのソフトを紹介させて頂きます。

1.耐震診断ソフトを選ぶ基準

オススメの厳選耐震診断ソフト

「耐震診断」の目的は、もしも大地震が起きた場合、大きな揺れで建物が倒壊しないための耐震性の有無を調査して確認することです。

耐震診断の結果から建物の弱点を認識し、地震に強くするための具体的な対策をたてる基準となります。 「建築基準法」で定められた建物の耐震性能は、大きな被害を受けた地震を元にして何度も強化されてきました。

大きく基準が変更されたのは1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)です。
1981年以前の建物は「旧耐震基準」と呼ばれ、1978年の宮城県沖地震の甚大な被害を受けて大幅に改正されました。

耐震診断には、目視を中心とした診断「一般診断法」と、内部構造まで詳細に確認する「精密診断法」の2種類の方法があります。

一般診断法は住宅の外観や軒下、天井裏を非破壊による目視で確認する診断方法です。
図面と比較しながらチェックを行い、柱や梁、壁の中に筋かいなどの補強材、基礎など診断に有効な情報を集めたあと、主として「四分割法」という計算方法を用いて耐震強度の評点計算を行います。

一方、精密診断法は必要に応じて壁や天井などを剥がし(破壊して)、内部の構造を確認する詳細な診断方法です。

一般的な木造住宅の耐震診断には一般診断法が利用されます。
全国ほとんどの自治体で耐震診断を対象とした補助金制度が設けられおり、耐震診断に利用する診断ソフトを指定しているケースが大半です。 下記に診断ソフトが該当しているのかを確認の上で、各自治体の耐震窓口で要件をしっかり確認しておきましょう。

参考:一般財団法人日本建築防災協会 木造住宅耐震診断プログラム評価


2.オススメの厳選耐震診断ソフト

オススメの厳選耐震診断ソフト

一般社団法人日本建築防災協会のホームページに掲載されている「木造住宅耐震診断プログラム評価」には、現在9種類の耐震診断ソフトが紹介されています。

いずれのソフトも「一般診断」が可能で、さらに「精密診断」の機能を有した秀逸なソフトもいくつか紹介されています。 どのソフトを利用しても良いのですが、知名度や使い勝手を考慮した場合、以下の4つの診断ソフトがオススメです。

耐震チェッカー
(株)ハウテック

木耐博士N
エイム(株)

HOUSE-DOC
(株)構造システム

耐震診断ソフトウエア「ホームズ君耐震診断Pro」
(株)インテグラル

いずれの耐震診断ソフトを利用しても診断結果を得ることは可能ですが、自治体の助成金を利用する場合はソフトが該当していることを事前に必ず確認しておきましょう。


3. 筆者イチオシの耐震診断ソフト

オススメの厳選耐震診断ソフト

筆者の独断にはなりますが、これから耐震診断ソフトの導入を検討されているなら、オススメの耐震診断ソフトは「ホームズ君耐震診断Pro」です。

ホームズ君耐震診断Pro
(株)インテグラル


高い信頼性と抜群の操作性で、一般診断と精密診断の両方の診断方法に対応したソフトです。
何より嬉しいのは、全国の自治体の助成金申請に利用可能という点です。

補強前と補強後を、振動アニメーションでリアルに表現することができ、お施主様への訴求効果もバツグンです。
耐震診断だけでなく、壁量計算や偏心率/4分割法、柱接合部N値計算などの建築基準法のチェックも同時に行えるため、確認申請の計算書として活用することも可能です。
付属の診断・補強設計支援ツールも充実していて、初めて耐震診断を行う人でも安心して耐震診断業務がはじめられます。

新築からリフォームまで対応できるオールラウンドモデルの耐震診断ソフトです。


4. 従来の耐震診断に実測値を加えた秀逸な耐震診断法

オススメの厳選耐震診断ソフト

一般診断法は調査や計算が早く処理できる反面、目視できない筋交いの有無や補強金物の取り付け状況によって診断結果に大きな差が生じる可能性があります。
一方、精密診断法は正確な耐震性能を求めることができる反面、建物の一部を破壊して検査を行うため、費用や時間の負担が大きくなります。

そこで、オススメしたいのが「動的耐震計測」という方法です。

一般的な耐震診断との大きな違いは、計測者による結果のばらつきがなくなる点です。
耐震診断では計算から除外される建物の耐震要素をすべて加味し、総合的な評価を正しく行うことが可能な診断方法です。

建物の内部に起振機を設置して、実際に家を揺らして測定します。
建物を揺らすといっても震度1程度の微弱な地震で、建物の損壊や物品の落下が生じることはありません。

安全かつスピーディな調査で、より正確な建物の弱点を判断することができる方法です。

建物をゆすって耐震診断「動的耐震計測」


5.最新の耐震関連製品も抑えておこう

オススメの厳選耐震診断ソフト

建築士であれば耐震診断ソフトの利用方法だけでなく、耐震関連製品の知識もしっかり仕入れておきましょう。 建材ナビの耐震関連製品のページには実にさまざまなアイテムが紹介されています。
何点かオススメの耐震関連製品を紹介しましょう。

GDアンカー(接合部補強)
耐震診断の結果から、柱の引き抜きに対する補強が必要になる場合があります。
内部の改修を行う工事がない場合、外部から引き抜きに対するホールダウン金物の設置が必要になります。 こんなときこそ建物の外壁をほとんど壊す事なく、外部工事だけで施工できる外付けタイプのホールダウン金物の利用が便利です。

国土交通大臣認定耐力壁【Kダンパー】
「Kダンパー」は耐震と制震。二つの機能の相乗効果で、
すまいのライフサイクルを通じて、繰り返しの地震から守ります。

GDブレース(耐震壁補強)
建物の外壁をほとんど壊す事なく、外部工事だけで施工できる外付けタイプのステンレス製筋交い金物です。

その他にも、制震ダンパーや補強金物などが多数掲載されていますので、しっかりと最新の耐震製品を把握しておきましょう。

震災・防火・災害対策製品



6.まとめ

いかがでしたか。
一般的な木造住宅に利用される耐震診断の計算に利用するソフトを中心に、耐震関連製品も紹介させて頂きました。

地震はいつ訪れるのか、答えは誰にもわかりません。
万全の備えを講じておくことだけが今できる最善の策といえるでしょう。

確認されているだけでも旧耐震基準の木造住宅は1,500万戸も国内に存在し、耐震性がないとされる住宅は900万戸にも及ぶそうです。 何よりも尊い命を守るためにも、すべての住まいに地震に強い安全性を提供するのが建築業従事者の努めといえるでしょう。

良いソフトを利用して、正しい耐震診断を行い、適切な耐震工事の提案を目指しましょう。


著者(田場 信広)プロフィール

・一級建築士、宅地建物取引士

・建築設計、工事監理、施工(大工)、戸建て木造住宅の新築からリフォーム全般、分譲マンションの内装改修、マンションの大規模修繕工事の設計・設計管理、警察署の入札仕事や少年院の特殊な工事も経験

・某資格学校にて2級建築士設計製図コースの講師を6年務める






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