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コラム
CLT活用!木材消費大国日本が世界一の木材技術大国になれるのか?
残念ながら2020年開催予定が延期になってしまった東京オリンピックですが、シンボルともいうべき建築物の国立競技場は大きな注目の的となりました。
ふんだんに木材をつかうことでも有名な建築家の隈研吾により設計された国立競技場は、洗練されたデザインと木材の美しさに圧倒される素晴らしい建築物です。
木造建築の歴史は非常に古く、美しさや加工性の良さを備え、構造材としても仕上材としても優秀な木材は、建築材料の代表格の一つです。
そんな木材の中で、いま特に注目を集めている建築材料「CLT」をご存知ですか?
この「CLT」が木材消費大国日本の産業と建築技術を大きく変えるかも知れません。
話題の建築材料「CLT」について解説します。
1.木材の常識を一変させた集成材
木材は建築材料として非常に多くのメリットを持っています。
木の持つ独特の美しさ、加工の容易さ、種類の多さ、軽さ、資源の豊富さなど、数え上げるとキリがありません。
住宅や建築物の材料として利用された歴史は非常に古く、日本では3万年以上前から使われていた形跡も確認されています。
現代の建築物においても、木材は避けては通れない大切な材料の一つです。
しかし、木材は建築材料としてメリットばかりではありません。 材種にもよりますが、木材には特有の弱点がいくつかあります。 火に弱いこと、シロアリなどの害虫に弱いこと、繊維方向による強度の差、収縮・反り・割れによる変形、そして何よりも致命的な弱点は「品質のばらつき」です。
木材は工業製品のように一定の規格に基づいて均一に製造される製品ではなく、自然の影響により大きく品質が左右される天然素材です。 人工的な管理は行われていますが、完全な規格化ができない製品であるのも事実です。
この木材の弱点である「ばらつき」を規格化し、一定以上の強度や品質を保つために作られたのが「集成材」です。 柱や梁と言う重要な構造材に集成材を利用することにより、従来の木造建築物では不可能だった新しい建築様式が誕生しました。
しかし、木材は建築材料としてメリットばかりではありません。 材種にもよりますが、木材には特有の弱点がいくつかあります。 火に弱いこと、シロアリなどの害虫に弱いこと、繊維方向による強度の差、収縮・反り・割れによる変形、そして何よりも致命的な弱点は「品質のばらつき」です。
木材は工業製品のように一定の規格に基づいて均一に製造される製品ではなく、自然の影響により大きく品質が左右される天然素材です。 人工的な管理は行われていますが、完全な規格化ができない製品であるのも事実です。
この木材の弱点である「ばらつき」を規格化し、一定以上の強度や品質を保つために作られたのが「集成材」です。 柱や梁と言う重要な構造材に集成材を利用することにより、従来の木造建築物では不可能だった新しい建築様式が誕生しました。
2.いま注目を浴びる「CLT」とは何か?
関連ページ:針葉樹3層パネル
「集成材」とは、断面寸法の小さな木材を特殊な接着剤で貼り合わせ、大きな断面に加工された木材を指します。
ちなみに一般的な無垢材と呼ばれる天然木材に比べると、集成材は約1.2〜1.4倍の強度があると言われます。
天然の木材のよい部分だけ利用し、ばらつきのない均一的な強度と品質を備えた木材です。
まさに「オイシイところ取り」と言えるでしょう。
いま話題の「CLT」は、集成材と似た材料の一つですが、明確に分類すると別の材料です。
ちなみに原料には「ひき板」を利用します。
木材の単板を利用して板材を作る場合の「LVL(単板積層材)」と「ベニヤ板」のような分類です。 LVLは薄くスライスした板状木材を繊維方向に揃えて接着し、ベニヤ板は繊維方向を交互に直行させて接着します。
木の弱点を克服し、均一化させることにより従来の木造建築では不可能だった建築物が登場しました。 大断面集成材を利用すれば20mを超えるスパンを実現できます。 さらにCLTを利用した場合、条件が整えば60mもの大スパンを計画することが可能になります。
ちなみにCLTとは、
の略です。
いま話題の「CLT」は、集成材と似た材料の一つですが、明確に分類すると別の材料です。
・厚板を繊維方向に平行に重ねて接合したものが「集成材」
・厚板を繊維方向に直交に重ねて接合したのが「CLT」
・厚板を繊維方向に直交に重ねて接合したのが「CLT」
ちなみに原料には「ひき板」を利用します。
木材の単板を利用して板材を作る場合の「LVL(単板積層材)」と「ベニヤ板」のような分類です。 LVLは薄くスライスした板状木材を繊維方向に揃えて接着し、ベニヤ板は繊維方向を交互に直行させて接着します。
木の弱点を克服し、均一化させることにより従来の木造建築では不可能だった建築物が登場しました。 大断面集成材を利用すれば20mを超えるスパンを実現できます。 さらにCLTを利用した場合、条件が整えば60mもの大スパンを計画することが可能になります。
ちなみにCLTとは、
・Cross(クロス)
・Laminated(ラミネイティッド)
・Timber(ティンバー)
・Laminated(ラミネイティッド)
・Timber(ティンバー)
の略です。
3.日本の山林は宝の宝庫?
CLTがなぜ今これほど注目されるのでしょうか?
それは私達が住むこの日本にとって、大きなメリットがあるためです。
最大の理由は森林資源の有効活用です。 日本の国土の約7割は山林で、この山林エリアに植林し、豊かな森林資源を有しています。 ところが建築材料として利用できる優秀な木材がたくさんあるにも関わらず、この木材資源が建築物に十分活かされていません。
木材消費大国の日本ですが、国内で利用される木材の多くは外国産です。 国内には豊富な森林資源が有るにも関わらず、多くを輸入木材に頼っています。 これを「木材の自給率問題」と言いますが、原因は国産木材が高価なことです。 国産材に比べると、安価で均一性が高く、さらに大量入手できる外国産木材に人気が集まっています。
昔の日本は国内産木材の自給率は9割以上だったといわれますが、現在では自給率は2割まで落ち込みました。 この「木材の自給率問題」を解決する可能性を持つのが「CLT」です。
花粉症でもよく問題になりますが、CLTに使われる材料は杉や桧がメインです。 日本に多く植林されている木材が杉と桧です。 特に杉は日本古来の木で、他の木材と比べても圧倒的な比重の軽さを誇ります。 また断熱性能も高く、フローリング材として利用されることも多い材料です。
この国内産の杉や桧が日本の住宅や建築物に利用されるようになれば、木材の自給率は飛躍的に改善されるとして注目されています。 もちろん、建築材料として優秀である点も絶対に見逃してはいけません。
それは私達が住むこの日本にとって、大きなメリットがあるためです。
最大の理由は森林資源の有効活用です。 日本の国土の約7割は山林で、この山林エリアに植林し、豊かな森林資源を有しています。 ところが建築材料として利用できる優秀な木材がたくさんあるにも関わらず、この木材資源が建築物に十分活かされていません。
木材消費大国の日本ですが、国内で利用される木材の多くは外国産です。 国内には豊富な森林資源が有るにも関わらず、多くを輸入木材に頼っています。 これを「木材の自給率問題」と言いますが、原因は国産木材が高価なことです。 国産材に比べると、安価で均一性が高く、さらに大量入手できる外国産木材に人気が集まっています。
昔の日本は国内産木材の自給率は9割以上だったといわれますが、現在では自給率は2割まで落ち込みました。 この「木材の自給率問題」を解決する可能性を持つのが「CLT」です。
花粉症でもよく問題になりますが、CLTに使われる材料は杉や桧がメインです。 日本に多く植林されている木材が杉と桧です。 特に杉は日本古来の木で、他の木材と比べても圧倒的な比重の軽さを誇ります。 また断熱性能も高く、フローリング材として利用されることも多い材料です。
この国内産の杉や桧が日本の住宅や建築物に利用されるようになれば、木材の自給率は飛躍的に改善されるとして注目されています。 もちろん、建築材料として優秀である点も絶対に見逃してはいけません。
4.CLTの特徴と性能
加工サイズ
国内で製造できるCLTの最も大きなサイズはパネル状にした「3m×12m」とかなりビッグサイズです。
主に床や壁、屋根といった大面積部分に利用されます。
CLTを使った工法
大判パネルを利用すれば、材料の数を減らすことができます。
10本必要であった木の柱が1枚のパネルで済むようなイメージです。
接合も金物や長いビスを利用するだけの簡単な方法で、従来の木造住宅のように熟練した職人が居なくても施工が可能です。
また、工場を利用してプレファブ化することにより、建築現場で発生するムダな廃棄物の量も抑えることができます。
性能について
木材の最大の弱点とも言うべき「耐火性」においてもCLTは優秀です。
CLTや集成材のような厚い材料は、火が着くと炭化層が形成されます。
この炭化層が内部への火の燃え広がり抑えるため、従来の木造のような短時間の大火災には発展しません。
断熱性はコンクリートに比べるとなんと10倍。 鉄に比べると実に400倍以上の優れた断熱性能を誇ります。 特に杉材は断熱性が高く、真冬に肌で直接触れても冷たさを感じにくい断熱性能です。
さらに注目すべきは「耐震性」です。 阪神・淡路大震災を再現した地震を受けても、大きな損傷は確認されていません。 この優れた耐震性能を活かして、今後は中高層建築物にも応用されるであろうと期待されています。
断熱性はコンクリートに比べるとなんと10倍。 鉄に比べると実に400倍以上の優れた断熱性能を誇ります。 特に杉材は断熱性が高く、真冬に肌で直接触れても冷たさを感じにくい断熱性能です。
さらに注目すべきは「耐震性」です。 阪神・淡路大震災を再現した地震を受けても、大きな損傷は確認されていません。 この優れた耐震性能を活かして、今後は中高層建築物にも応用されるであろうと期待されています。
5.CLTの実用化と日本の課題
CLTは日本独自の材料ではありません。
すでに海外では一歩進んだ利用が行われており、木造高層ビルも建築されています。
ヨーロッパではこのCLTを利用した木造ビル建設がブームになりつつあります。 イタリアのミラノでは9階建の木造集合住宅が登場しました。 オーストラリアのメルボルンには10階建集合住宅があり、現在完成しているCLTの建物では一番高い木造建築物と言われています。 また、アメリカのポートランドでは12階建の高層ビルが建設予定で、カナダのバンクーバーではさらに高層となる16~18階の学生寮の計画が進められています。
このCLTを使った木造高層ビル競争は今後ますます激戦化する可能性があり、日本も今までにない建築市場に注目しています。 特にオフィスやマンションの用途に利用される建築物は、ほとんどが鉄筋コンクリート造や鉄骨造が主体となる非木造です。 このジャンルに木造が参入できれば、CLT産業が飛躍的に伸びる可能性があります。 狙い目は4階建て以上の高層建築物で、従来の木造では参入できなかった新しい市場です。
木材消費大国の日本が世界一の木材技術大国になれるのかは、コスト面と法的整備が大きな鍵を握っています。 同時に工法の開発や技術者の育成も同時に必要になりますが、CLTがもたらす新しい可能性は目を離すことができません。
すでに海外では一歩進んだ利用が行われており、木造高層ビルも建築されています。
ヨーロッパではこのCLTを利用した木造ビル建設がブームになりつつあります。 イタリアのミラノでは9階建の木造集合住宅が登場しました。 オーストラリアのメルボルンには10階建集合住宅があり、現在完成しているCLTの建物では一番高い木造建築物と言われています。 また、アメリカのポートランドでは12階建の高層ビルが建設予定で、カナダのバンクーバーではさらに高層となる16~18階の学生寮の計画が進められています。
このCLTを使った木造高層ビル競争は今後ますます激戦化する可能性があり、日本も今までにない建築市場に注目しています。 特にオフィスやマンションの用途に利用される建築物は、ほとんどが鉄筋コンクリート造や鉄骨造が主体となる非木造です。 このジャンルに木造が参入できれば、CLT産業が飛躍的に伸びる可能性があります。 狙い目は4階建て以上の高層建築物で、従来の木造では参入できなかった新しい市場です。
木材消費大国の日本が世界一の木材技術大国になれるのかは、コスト面と法的整備が大きな鍵を握っています。 同時に工法の開発や技術者の育成も同時に必要になりますが、CLTがもたらす新しい可能性は目を離すことができません。
6.まとめ
いかがでしたか?
話題の建築材料「CLT」についてまとめました。 まだまだ大きな課題は残りますが、従来の木造の常識を一変させる可能性を秘めたスーパー材料が、日本を木材技術大国として飛躍させる大きなキーワードとなります。
企業だけでなく政府も注目している以上、今後は補助金・助成金の活用や雇用支援と言う様々な方法を使って普及に貢献してくると予測されます。 そうなればコスト面でも外国産木材と対等に戦うことも十分可能です。 需要が増えればますます身近な材料として使われ、大きな市場と変わるでしょう。
CLTは大型建築だけでなく、従来の住宅規模でも利用することができます。 小さな建物から大きな建物までCLTが活躍する未来はそんな遠くはないのかも知れません。
CLTがもたらす新しい建築技術の可能性に夢は膨らむばかりです。
話題の建築材料「CLT」についてまとめました。 まだまだ大きな課題は残りますが、従来の木造の常識を一変させる可能性を秘めたスーパー材料が、日本を木材技術大国として飛躍させる大きなキーワードとなります。
企業だけでなく政府も注目している以上、今後は補助金・助成金の活用や雇用支援と言う様々な方法を使って普及に貢献してくると予測されます。 そうなればコスト面でも外国産木材と対等に戦うことも十分可能です。 需要が増えればますます身近な材料として使われ、大きな市場と変わるでしょう。
CLTは大型建築だけでなく、従来の住宅規模でも利用することができます。 小さな建物から大きな建物までCLTが活躍する未来はそんな遠くはないのかも知れません。
CLTがもたらす新しい建築技術の可能性に夢は膨らむばかりです。
著者(田場 信広)プロフィール
・一級建築士、宅地建物取引士
・建築設計、工事監理、施工(大工)、戸建て木造住宅の新築からリフォーム全般、分譲マンションの内装改修、マンションの大規模修繕工事の設計・設計管理、警察署の入札仕事や少年院の特殊な工事も経験
・某資格学校にて2級建築士設計製図コースの講師を6年務める
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