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掲載:2022年05月12日更新:2022年05月12日

対面キッチンにして後悔したと言われないためのチェックポイント


キッチンのスタイルで根強い人気なのが、対面キッチンです。長年、プランをかいてきましたが、最初のヒヤリングで「対面キッチンは絶対に嫌です」というクライアントさんは、ほとんどいません。
「必ず対面キッチンにしてください」という人が一番多く、「対面キッチンがいいですが、無理なら壁付けキッチンでもいいです」という人がたまにいる、という印象です。

対面キッチンにして後悔したと言われないためのチェックポイント


そんな、人気の対面キッチンにもかかわらず、実際に住んでいる人に聞くと、「思っていたのと違った」という不満の声も少なくありません。
それは一体どのようなものがあるのか、自分が失敗しないためにも一緒に整理していきましょう。


対面キッチンの落とし穴1:動線が長い


以前、対面キッチンの使い勝手についてリアルな声を聞く座談会を開いたことがあります。対面キッチンに憧れて住宅を購入したベテラン主婦の方が、数名でいらっしゃいました。マンションや建売住宅のこともあれば、注文住宅で希望して対面キッチンの間取りで建ててもらったという方もいました。

対面キッチンが「思っていたのと違った」と感じた理由の中で、いちばん多いご意見が「動線が長いこと」でした。

キッチンに立っているときにリビングダイニングが見渡せて、家族とのコミュニケーションがとりやすいのが、対面キッチンのメリットです。
ですが、いざ食事の時間になると、配膳をするためにキッチンとダイニングを行ったり来たり。家族が配膳を手伝ってくれるのであれば、カウンター越しに渡すことができますが、一人で準備される方も多く、回り込むのがとても手間だというのです。

対面キッチンにして後悔したと言われないためのチェックポイント

食事をしている途中で、調味料を取りに戻りたいときや、おかわりを取りにいきたいとき。その都度、取りに戻るのも遠くて面倒だと感じるそうです。



対面キッチンのまま家事動線を短くする3つの秘訣


対面キッチンのまま、動線を短くするためには、3つのポイントに注意しましょう。

①冷蔵庫の位置

リビングダイニング側から見たときに、圧迫感を減らしたい、スッキリ見せたい、という理由から冷蔵庫を奥に設置することがあります。これは、動線を長くしてしまう要因の第一位。
飲み物を取りに行く、調味料を取りに行く、そのたびに、キッチンの奥まで戻る必要があるので、どうしても動線が長くなってしまいます。
キッチンの入り口側に冷蔵庫があると、動線を短くすることができます。


②ダイニング側に収納を用意

ダイニングテーブル回りでよく使うものは、ダイニングテーブル近くに収納することで、キッチンとの行き来を減らすことができます。
代表的なものでいえば、カトラリー類や来客用のコーヒーカップなど、ダイニングテーブルにあると便利なものを考えます。それらが入るように、カウンターのダイニング側に、収納スペースを用意すると便利です。

対面キッチンにして後悔したと言われないためのチェックポイント


③キッチンカウンターの上が物置にならない工夫

キッチンカウンターの上は、配膳するお皿をいったん置いておくためのスペースとして用意したものの、実際はお皿以外の雑多な物が置かれてしまい、カウンターとして機能していない事例もよく見かけます。
キッチンカウンターの上をスッキリさせておくために、郵便やリモコン、毎日使う雑貨など、ついつい“ちょい置き”してしまうモノのための収納を、最初から計画しておきましょう。


対面キッチンの落とし穴2:通路が狭い


対面キッチンと背面のカップボードの間の通路の幅は、どのくらいとればいいでしょうか。

先日、とあるメーカーのショールームに行ったところ、対面キッチンの通路幅を体感できる展示がありました。
一番、幅が狭くて80㎝、広くて110㎝の設定になっていました。

対面キッチンにして後悔したと言われないためのチェックポイント


80㎝…最低限取りたい通路幅です。これ以上狭くなるようであれば、対面キッチンプラン自体をあきらめた方がいいかもしれません。人が1人立って作業するには、ちょうどよい幅ですが、2人以上が立ったり、すれ違ったりするには狭すぎます。

110㎝…体感的にかなり広いです。キッチン側で1人作業していても、後を楽々通ることができます。一方で、キッチンとカップボードの距離が遠くなるので、キッチン側で作業していて、振り返ってレンジや調理家電をつかう流れを考えると、少し「遠いな」と感じるかもしれません。


個人的にオススメの通路幅は100㎝です。最近では、家事シェアが進み、家族が協力して料理をする家庭も増えました。同時に作業をすることを考えると、お互いにストレスを感じないためには、このくらい幅を確保できるとよいです。

ちなみに、前述の座談会で「対面キッチンが使いにくい」とおっしゃっていた方の中には、通路が狭すぎることを不満点として挙げていた方もいました。おそらく80㎝以下になっているのだと思います。

・自分が料理をしているときに、家族が入ってくると邪魔に感じる
・本当には手伝ってほしいのに、手伝いしにくい環境
・冷蔵庫の奥行が大きく、通路に飛び出していて邪魔

最後の“冷蔵庫の奥行”も、意外とネックになるので要注意です。
カップボードの奥行が45㎝程度であるのに、冷蔵庫自体の奥行が大きいものだと75㎝になることも。この30㎝の差を見落とすと、「通路幅が思っていたより狭い!」なんてことにもなります。

必ず設置予定の冷蔵庫を確認し、将来買い替えるとすれば、どのくらいのサイズを想定いているかも確認しておきましょう。


対面キッチンの落とし穴3:開放性を高くして失敗


少し前の家のダイニングキッチンをみると、キッチンの上に吊り戸収納がついており、カウンターも高めにした対面キッチンが多いように思います。吊り戸は、収納力を高めるのに必要だと思われていましたし、手元を隠すためには、ある程度高いカウンターも必要でした。

対面キッチンにして後悔したと言われないためのチェックポイント


現在では、吊り戸は無し、キッチンはフルフラットにしたフラット対面型にする、オープンな対面キッチンが人気です。確かに、フルフラット対面型は写真映えしますし、なんだか素敵な料理が作れそうな雰囲気がするから不思議ですね。

対面キッチンにして後悔したと言われないためのチェックポイント


このフルフラット対面キッチンも、「やめとけばよかった」と後悔する声が少なくありません。カウンターの上に物を出しっぱなしにしておけないことが、想像以上に大変だったというのが理由です。
クライアントさんの片づけの得意不得意を知り、このタイプのキッチンを使いこなせるかどうか、慎重に検討しましょう。


フルフラット対面キッチンを使いこなせる工夫


もともと几帳面で、料理が終わるたびにキッチン上をリセットできるような方であれば、何の問題もありません。一方で、そこまで几帳面に管理できない人でも、フラット対面型のキッチンにするためにクリアしておきたい3つのポイントをまとめてみました。

①食洗機はマストアイテム

洗った食器がカゴの上に山盛りになっていると、キッチンの上もいつまでもスッキリしません。また、食器がなくても、洗いカゴがキッチン上に常にあるのも同じこと。食器はなるべく、食洗機を使って洗浄→乾燥までおこない、キッチンの上に置くものを最低限にしておきたいですね。



②コンセント計画は念入りに

キッチンの上で電動調理器具を使うためには、コンセントが必須ですが、フラット対面型だと近くにコンセントを設置するのを忘れてしまうことがあります。
キッチンの手元側にコンセントをオプションで用意できるメーカーや、コンロ前のガラスパーテーションの側面にコンセントを設置するオプションのあるメーカーもあります。スッキリさせたのに、長い延長コードが必要になってしまった、なんてことにならないよう、コンセント計画は念入りにしておきましょう。

③コンロはIH一択

ガスコンロにしたい場合は、フルフラット対面はオススメしません。ガスコンロは火を使うので、上昇気流が起こり、油や煙が周辺へ広がりやすいデメリットがあります。コンロ前に必ず壁を用意しましょう。
メーカーによっては、耐力壁型フラット対面というパターンもあり、コンロ前に壁があっても、フルフラットにすることができるシリーズもあります。キッチン全体をフラット対面型にしたい場合は、コンロは必ずIHにしましょう。

対面キッチンにして後悔したと言われないためのチェックポイント


6.まとめ


対面キッチンを採用するためには、その過程で多くのチェックポイントがあることをわかっていただけたかと思います。デザインの憧れだけで対面キッチンを選んで、「こんなはずじゃなかった!」と言われないためにも、丁寧にヒヤリングをして、よりよい提案をできるようにしてください。


著者(和田さや子)プロフィール

一級建築士/ライフオーガナイザー/建築カラープランナー
注文住宅の設計を続ける傍ら、ライフオーガナイザーとして整理収納セミナーも開催している。 建築士として住宅設計を続けて18年。 サスティナブルな家づくりがこだわり。

ブログ「子育て世代・共働き夫婦のための片づけに悩まない家づくり」 





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