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掲載:2022年11月15日更新:2022年11月15日

2022年は合板ショック!代替品はある?

2022年は合板ショック!代替品はある?

2020年に起こったウッドショックに続き、2022年は「合板(ベニヤ)ショック」が問題視されています。コロナ禍による世界的な住宅需要が落ち着いてきた今、なぜ合板ショックは起こったのでしょうか。合板の代替品はあるのでしょうか?

今回は合板ショックの背景や影響、代替品を紹介します。


合板ショックの背景

2021年3月時点では1枚1,230円だった普通合板の価格は、その後少しずつ上昇し、2022年3月にはついに2,000円台に。ウッドショックに続き、「合板ショック」が起こっています。なぜ合板の価格がここまで大きく上昇したのでしょうか。

合板ショックが起こった理由


合板ショックは突然起こったわけではなく、2020年からの世界的な住宅需要の増加によって製材価格が値上がり、合板価格も多少影響を受けていました。そこにウクライナ情勢が拍車をかけ、急激な価格上昇へとつながったのです。

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻したことにより、日本はロシアに対して経済措置を発動し、これまでロシアから輸入していた多くの製品の輸入停止を宣言しました。 日本からの経済措置を受け、ロシアも日本を非友好国として2022年末まで一部木材の輸出を禁止すると発表。輸入・輸出が禁止された品目の中には、合板の原料となる「単板」と「丸太」が含まれており、これが合板ショックの引き金となったのです。

しかし、林野省によると、国内の合板用材料消費量は46%が国産を占めており、そのうちロシアの割合は2.3%。数値で見ればとても低いので、なぜロシアからの輸入・輸出禁止がそこまで大きな影響を与えるのかと疑問に思うでしょう。
ロシア産単板を使えないことが合板価格に大きな影響を与える理由は、ロシア産単板の特徴にあります。
ロシア産の単板は反り返りが少なく強度が高いため、合板の表面(フェイス)と裏面(バック)の部分で重宝されていました。そのため、たった2%の消費量であるにもかかわらず、ロシア産の木材が使用できないことが合板価格に大きな影響を与えたのです。

さらに、ウクライナ情勢によって石油価格も高騰したため、合板を製造する際に使用する接着剤の価格も上昇。合板をつくるために必要な単板、丸太、接着剤などの原料価格が高騰したことが、合板価格が大きく上昇する原因となったのです。

参考:林野庁「ロシアからの木材輸入動向などについて」

合板ショックはどのように影響する?


合板は、安価で汎用性が高いので、さまざまな場所に使われてきました。住宅の床や壁、屋根、ビル建設の基礎工事で使用する型枠。家具や化粧材に用いられることもあります。
このまま合板ショックが長期化すると、住宅業界だけではなく、木材を使用するさまざまな業種に影響を及ぼすでしょう。

実際に2022年7月には、多くの建材メーカーが床材やドア、収納用建具などの合板を使う商品を10〜15%値上げすると発表しました。さらに住宅メーカーも、合板価格の高騰分を販売価格に上乗せする方針を進めています。
これから住宅を建てる方やリフォームをする方は、今以上に工事価格が値上がりする可能性があることに留意しておきましょう。


合板価格はこれからどうなる?

合板価格の高騰はしばらく続くと予想されます。コロナ禍やウクライナ情勢による木材価格と石油価格の上昇、さらには円安も重なっているため、合板価格が落ち着く見通しが立たない状況です。
合板価格の上昇には世界的な情勢が影響しているので、企業や日本政府だけでは解決することは難しく、ロシア産木材に代わる輸入木材の確保や、代替材料への切り替えを検討する必要があるでしょう。

代替品にどんなものがあるか知っておけば、住宅を建てるときやDIYをするときに業者への提案や、代替品でDIYもできます。合板の代わりに使用できる製品には、どんなものがあるのでしょうか?


合板の代替品

合板の代替品にはさまざまな製品がありますが、ここでは「木質パネル」「紙製ボード」「OSBパネル」の3つの代替品を紹介します。

木質パネル:トライコヤ


「トライコヤ」は、木材繊維をアセチル化処理することによって、木材の防腐、防蟻性、耐久性、耐候性を高めた高耐久化木質パネルです。 地上での使用は50年、地中淡水中でも25年は耐腐朽菌性能が保証されているため、屋内はもちろん、屋外での使用も可能。汎用性も高く、ウッドデッキや屋外家具にも使用できます。

外壁やドア部材、家具、破風板、看板などのさまざまな場所に使えるので、合板の代替品としてお勧めしたい製品です。

OSBパネル


「OSBパネル(Oriented Strand Bord:オリエンテッド・ストランド・ボード)」は、短冊状の木片を層状に並べて圧縮し、接着剤で固めた面材です。丸太を削片するため廃材が出にくく、耐久性・断熱性・気密性・防虫性にも優れています。
OSBパネルは元々北米で住宅の構造用下地材として開発された面材ですが、木片のラフ感がおしゃれだと人気を集め、現在は家具や内装の仕上げ材などのさまざまな用途で使用されています。

「男前インテリア」や「南欧風インテリア」が流行しはじめてからは、住宅の床や壁、天井などに取り入れる方も増えました。比較的安価に手に入るため、DIY材料としても人気です。ただし、OSBパネルは耐水性が低く、水を吸い込むと層が崩れてボサボサになってしまうのが欠点。水まわりや屋外には不向きで、施工場所が限られることに注意が必要です。

課題もあるOSBパネルですが、アメリカでは住宅下地材には合板よりも圧倒的にOSBパネルが使用されています。合板価格が高騰している今、日本でも合板の代替品として注目されるのではないかと考えられます。

紙製ボード:エコボード


住宅に使うことはありませんが、新素材である紙製ボードも近年注目されています。 「エコボード」は、合板やプラスチックパネルに代わる新素材の紙製ボード。通常の段ボールとは異なり、ボード面に対して波形のシートを垂直に配置して強度を高めていることが特徴です。
「紙製」と聞くと耐久性や耐荷重が心配ですが、エコボードは「曲げ・ねじれ・集中荷重」の3つに強く、人力で壊したり穴を開けたりすることはできないほどの強度があります。 1000kg以上の重量物や雨天時の水量程度なら耐えられるので、パレットやスキッドとしての使用に適しています。また、紙製で100%リサイクル可能なことも特徴の一つです。

主な用途は、パレットやスキッドですが、梱包材や簡易的な間仕切りとしても使えます。SDGsでもプラスチックの消費が課題となっている昨今、合板の代替品としてだけではなく、環境への配慮ができる資材として注目されている製品です。

まとめ

「合板」といえば、「安価に手に入る」というイメージでしたが、ウッドショックや石油価格の高騰、円安によって価格は一気に上昇してしまいました。
各合板メーカーが輸入木材の調達や代替品の検討、在庫の確保などを行ってはいますが、しばらく値上がりは続くことでしょう。 長期化が予想される合板ショックの影響を少しでも避けるために、代替品の使用を検討してみてください。


著者(井本ちひろ)プロフィール

工業大学建築系学部卒業。
FP2級技能士。

キッチンメーカーで、キッチン、風呂、洗面、トイレのプランニングなど行う。
家づくり、水回り設備、エクステリア、火災保険、相続など、住宅にまつわる幅広い記事を中心に活動中
子育て中の母でもあり、主婦目線での貯蓄、資産運用なども得意。

ブログ「フリーランス主婦のあれこれ日誌」 





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