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掲載:2023年06月01日更新:2023年08月18日

家庭用蓄電池は必要?失敗しない選び方も紹介

太陽光発電でつくった電気を貯めておける家庭用蓄電池。停電時の非常用電源としても役立つと話題です。

しかし「本当に必要なのだろうか?」「費用はどのくらいかかるんだろう」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回は家庭用蓄電池のメリット・デメリットや、失敗しない選び方を解説します。


1.家庭用蓄電池を設置するメリット

メリット

まずは家庭用蓄電池を設置するメリットを整理したいと思います。本当に必要なのか判断する材料にしてみてください。

メリット1:電気代が安くなる


家庭用蓄電池に深夜の安価な電力を貯めておき、電気料金の高い昼間に使えば、毎月の電気代が安くなる可能性があります。

メリット2:卒FIT後の自家消費量アップ


太陽光発電を導入してから10年はFIT制度により売電価格が保証されていますが、10年経つと卒FITで売電価格は大幅にダウンします。
そこで家庭用蓄電池を導入して、自家消費量を増やすのがおすすめ。電気をなるべく買わない生活ができます。

メリット3: 停電時の非常用電源になる


最近は地震や台風による大規模な停電に備えて、家庭用蓄電池を導入する方も。太陽光発電と併用すれば、長期の停電にも備えられます。

自宅で停電すると「スマホが充電できない」「エアコンが使えず暑い/寒い」「冷蔵庫の中身がダメになる」などさまざまな不便がでてきます。特に小さなお子様、高齢者、ペットのいるご家庭では、安心して在宅避難できる環境を整えたいところ。
太陽光発電や蓄電池の導入を検討されてはいかがでしょうか。


2.家庭用蓄電池を設置するデメリット

デメリット1:設置スペースが必要



昔に比べて小型化は進んでいるものの、やはりある程度の設置スペースは必要。
サイズは容量によっても違いますが、エアコンの室外機くらいが目安です。

【適切な設置場所の条件】
・床の耐荷重が十分にある
・高温や低温になりすぎない
・直射日光や風が当たらないなど

デメリット2:寿命がある


スマートフォンの充電を繰り返すと充電切れが早くなっていくように、家庭用蓄電池にも寿命があります。 段々と蓄電容量が減っていくことも考慮したうえで、十分なメリットを享受できるか判断しましょう。

デメリット3:初期費用がかかる


そして大きなネックになるのが、まとまった初期費用がかかる点です。


3.家庭用蓄電池を設置するために必要な費用


費用

経済産業省の第4回定置用蓄電システム普及拡大検討会(2021年開催)によると、日本における工事費を含めた蓄電システム価格の相場は18.7万円/kWh。

例えば7kWhの蓄電池を設置する場合、18.7万円×7kWh=130.9万円とおおよその費用感が計算できます。

蓄電システム価格のみを見ていくと、容量が大きくなるにつれて緩やかに単価は下がる傾向にありました。つまり容量が大きい蓄電池を購入するほうが、コストパフォーマンスは高いということがわかります。工事費は蓄電容量とはあまり関係がなく、設置する場所によって大きく異なるようです。


4.家庭用蓄電池の設置には補助金を活用しよう

補助金

最近はニュースで電力不足が報じられることも多いですよね。蓄電池があれば電力需要が少ないときにエネルギーを貯めておき、ひっ迫時に使うことができます。
需給コントロールに効果的なため、国や自治体からも家庭用蓄電池の設置に対してさまざまな補助金がでています。

こどもエコすまい支援事業


2023年に注目したいのが「こどもエコすまい支援事業」。家庭用蓄電池の設置に対する補助金(64,000円/戸)もでています。
必須工事のひとつなので、他のリフォームと組み合わせて実施するのもよいでしょう。

申請は2023年12月末までですが、それより前に予算上限で終了する可能性も高いのでご注意ください。

DR補助金


支給される金額が大きいのは「DR補助金」です。家庭用蓄電池1台あたり最大60万円の補助金を受けとれます。
高額な蓄電池を購入したい方は検討してみてはいかがでしょうか。

自治体独自の補助金


お住まいの地域によっては、都道府県や地区町村が独自の補助金制度を用意していることも。
公募要領は自治体によって異なるので、事前に調べておきましょう。


5.家庭用蓄電池の選び方のポイント

ポイント

家庭用蓄電池を選ぶときには、いくつかのポイントがあります。

ポイント1:蓄電容量


蓄電容量は「kWh」という単位で数字が記載されたもの。この数字が大きいほど、たくさんの電気を貯めることができます。
家庭用蓄電池は3〜4.5kWhくらいが主流でしたが、最近は7〜12kWhと大容量のものも。基本的に容量が大きいほど高額なので、適切な容量を選ぶことが大切です。

例えば太陽光発電でつくった電力を売電せず夜間に使いたいなら、「発電量-昼間の自家消費量」をちょうど貯められる蓄電容量が必要です。停電時に使いたい電力量から蓄電容量を選ぶ方法もあります。
また経年劣化で蓄電容量は少なくなっていくので、その分も考慮しながら選びましょう。

ポイント2:ハイブリッド型or単機能型


蓄電池の充電方式は、単機能型とハイブリッド型の2種類に分けられます。
両者の違いは「パワーコンディショナ(パワコン)」を太陽光発電と兼用できるか、できないかという点です。

【ハイブリット型】
パワコンを太陽光発電と兼用できる
【単機能型】
太陽光発電と蓄電池で1台ずつパワコンが必要
メリット ・省スペースで設置できる
・変換ロスが少ない
・価格が安い
・太陽光発電なしでもいい
デメリット ・価格が高い ・設置スペースをとる
・変換ロスが大きい

太陽光発電でつくった電気を貯めるとき、変換ロスが少ないのがハイブリッド型です。新築で太陽光発電を設置するなら、いっしょにハイブリッド型蓄電池を設置するとスムーズにいくでしょう。将来的なパワコンの交換も1台分ですみます。

太陽光発電がすでにあって蓄電池を追加する場合、ハイブリッド型だと既存のパワコンを撤去することに。単機能型なら太陽光発電のパワコンはそのまま残して、蓄電池+蓄電池用のパワコンを設置します。

パワコンの保証は約10年と太陽光パネルより短期間。そろそろパワコンの保証が切れるタイミングということであれば、ハイブリッド型にしてパワコン1台を共有するのもよいかもしれません。

ポイント3:保証期間


家庭用蓄電池には2種類のメーカー保証が設けられていることがほとんどです。

・蓄電ユニットの保証(10〜15年):製造上の不具合に対する修理など
・蓄電池容量の保証(10〜15年):蓄電容量が規定を下回った場合の修理など

ポイント4:設置スペース



屋内型の家庭用蓄電池は、エアコンの室外機1台分程度のサイズ感。屋外型はもう少し大きくなります。また蓄電容量が大きいほど、サイズアップする傾向にあります。

もし屋内外に設置スペースがあまりない場合や、マンション等で使いたい場合は、コンパクトなポータブル型の蓄電池を活用する方法も。定置用に比べると容量は小さくなりますが、持ち運びができるのでアウトドアでも防災でも活躍します。
価格が比較的リーズナブルで、工事が不要というのも大きなメリットです。


まとめ

家庭用蓄電池を設置すると卒FIT後も安心。また深夜の安い電力プランと組み合わせることで、昼間の電気代を節約できることもあります。もちろん停電時の非常電源としても活躍するので、避難所ではなくなるべく在宅避難をしたいという方は備えておくとよいでしょう。

家庭用蓄電池は容量が大きいほど価格も高くなりますが、容量が小さすぎるといざというときに電気が足りずに困ってしまうことも。年間の電気使用量や太陽光発電システムの発電量を把握して、それに合わせた蓄電容量を割り出します。

太陽光発電を設置済みの場合、製品同士の相性もチェックしなければならないので、まずは節電効果も含めて業者に相談しましょう。


著者(村田 日菜子)プロフィール

住宅専門ライター






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