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掲載:2023年07月16日更新:2023年08月22日

セカンドライフリフォーム入門②〜プランニングのポイント〜

プランニング

50代を迎えると、そろそろ準備をはじめたいのが「セカンドライフリフォーム
子育て卒業世代になったら、住まいを新しい暮らし方のフェーズに合わせてリフォームをする準備をはじめましょう。

今回は、後悔しないセカンドライフのために大切なプランニングのポイントをご紹介します。
ポイントとなる設備については、こちらをご覧ください。


1.セカンドライフリフォームで検討したいプランニングのポイント


一口にセカンドライフリフォームといっても、戸建てもあればマンションもあり、住まいの条件が異なります。図面上は似たようなプランでも、給排水などの状況や、建物の構造によってできること、できないことがあります。

実際のプランニングでは、工事を依頼するリフォーム会社の担当者と相談しながら検討を進めることになりますが、大切なのは、その住まいに住み続けた家族が「この部分をこうしたい」というイメージを明確にして、優先順位をつけておくことです。

以下に、マンション・戸建に共通するプランニングのポイントを紹介します。

回遊できる動線、寝室とトイレを近づける動線を計画する


リフォーム例

健康であれば、住み慣れたわが家でできる限り暮らし続けたい」と考えるシニアも増えています。
現在の住まいの形態やプランにもよりますが、私自身がお客様にご提案する際にこころがけているのは、

● 寝室とトイレは最短距離で繋ぐ
● 引戸を活用して、住まいのなかをぐるぐるまわれる回遊動線を確保する
● 将来的にはリビングに隣接して日当たりのいい寝室ができるように計画する

など、75歳以上の後期高齢者になった場合や、1人暮らしになった場合の生活動線を視野にいれた計画です。

バリアフリーの注意ポイントは段差なし・温度差小さく


バリアフリー

セカンドライフリフォームのバリアフリーは「物理的な段差の解消」と「温度差の解消」がポイントになります。 転倒事故の多い浴室は、最新のユニットバスに交換する際に必要な調整を行い、段差の解消ができる場合がほとんどです。
トイレや洗面脱衣室が寒いという温度のバリアフリーがある場合は、リフォームの際に必要な断熱、暖房設備の設置を検討します。リビングルーム、寝室は安全で快適な床暖房の導入も。

床暖房を敷設する際に、元々あった段差をできる限り解消できるように、リフォーム会社に相談しましょう。

2階建・メゾネットフロアの住宅は、1フロアで日常生活が完結する間取りに


高齢者の家庭内事故の多くは、階段と浴室で起きるといわれています。
戸建て住宅や、メゾネットタイプのマンションでは、2階に主寝室やこどもべやを配置することが多いのですが、セカンドライフリフォームでは、階段を使わないで暮らせるように、主寝室を1階に移動して、1階で日常生活が完結するプランがおすすめです。

いきなり1階を寝室に移動しなくても、家族が介護が必要となったときに、リビングルームに続いて必要に応じて仕切ることができる融通のある部屋を用意しておきましょう。

扉は引き戸をメインに


「開き戸を引き戸に変えるだけで、住まいの風通しがよくなり使いやすくなった」という声をセカンドリフォーム後のお客さまから聞きます。
引き戸はふだんはオープンにして、必要な時だけ仕切れるので、家族の気配が感じられる暮らしができます。
トイレ、LDKと洋室との間仕切り、キッチンの背面収納などで上手に活用しましょう

夫と妻、それぞれ「自分だけの空間」を確保する


設計

「リタイア後、夫がリビングに居座り自分のモノをあちこちに置くのでイライラする」という妻からの相談も少なくありません。リタイアして在宅時間が長くなる前の段階で、夫と妻それぞれの居場所を決めて、自主管理できるようにしましょう。
スペース的に夫婦それぞれの独立した居室がむずかしければ、夫婦それぞれが独立したクローゼットを持ち、収納する衣類については自分で管理する、というケースもあります。

夫婦といえども安眠のスタイルは違います。ふだんは主寝室で一緒に休んでいても、体調が悪い時など、必要に応じて、寝室を別にできるような工夫をリフォーム会社に提案してもらうのもよいでしょう。プロならではのアイディアに期待したいところです。

生活財のマネジメント


モノの整理は時間がかかりますが、次世代のためにもコツコツとモノを増やさない努力・自分では使わないものをリサイクルなどで活用する努力をしましょう。
リフォームの現況調査のために、お客さまの住まいに伺う機会がありますが、玄関先からキッチン、廊下、階段、浴室などに「いつか使うかもしれないモノ」が溢れている場合があります。
セカンドライフリフォームを経験された方の多くが「実はモノの整理が一番大変でした」と話されます。

不要な家具類などは、解体工事の段階で専門業者に処分を依頼することも可能ですし、どうしても整理できないものはトランクルームや仮住まいに移動する場合もありますが、生活財をうまく整理できると、リフォーム後の新居での暮らしもうまく行きます。頑張りましょう!

資金計画のマネジメント


リフォーム相談

「子どもたちの教育や結婚費用が予想外にかかり、自分たちのセカンドライフ資金が準備できない
「住宅ローンを退職金で完済予定のため、セカンドライフリフォームどころではない」
という状況は回避したいもの。そのためにも、50代からセカンドライフの「無理のない資金プラン」をシミュレーションしておくことが大切です。

ファイナンシャルプランナーのいるリフォーム会社の相談会などで「今すぐリノベーションをするわけではないが」という前提で、ご自分たちの住まいの資料を用意して、現時点での概算の費用を把握すると参考になります。

実際にリフォームの打ち合わせが始まると、ついつい、あれば便利な設備、より高品質な建材などを取り入れたくなりますが、セカンドライフリフォームの資金計画の大前提は「無理のない資金計画」。
リフォーム内容には優先順位をつけて、何もかもパーフェクトにするよりも、予算のなかで最善のプランを追究することが大切だと思います。


まとめ ~後悔しないセカンドライフリフォームのために~


豊かな老後は、豊かな空間からはじまる」。
実際にセカンドライフリフォームを体験したお客様の住まいでお話を伺うたびに、この言葉が頭をよぎります。住み慣れたわが家、愛着のあるわが家ですから、「このまま最小限の設備交換だけですませてなんとか暮らしていこう」というのも1つの考え方です。

けれども、セカンドライフリフォームの経験者からは
「住み慣れたわが家がこんなにすてきになって、満足しています」
「夫婦それぞれの独立した居場所ができて、とても居心地のいい住まいになった」
「リフォームの打ち合わせそのものが、夫婦で取り組む共同プロジェクトで、楽しかった。リフォーム後は、夫がお風呂掃除やキッチンの手伝いなど自然に取り組むようになって、住まいによって夫婦の関わりも良い方に変われたと思う」
など、ポジティブな声を聞きます。

後悔しないセカンドライフリフォームの決め手は、なんといっても「セカンドライフという人生の節目を前向きに迎えよう」という意気込みが大切だと思います。 新婚時代とは一味違う、子育て卒業世代の豊かな人生のために、セカンドライフリフォームの準備をはじめてみませんか?



著者(藤江 薫)プロフィール

二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。
電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。
不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。






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