COLUMN
コラム
隈研吾氏設計の「住箱」、新しいスタイルの環境と融合した暮らし
みなさんはトレーラーハウスというものをご存じでしょうか。近年、アメリカで需要が高まっているこのトレーラーハウス。
簡単に言ってしまうと、「旅する家」、「動く家」とも形容されています。
アメリカではハリケーンや地震、洪水など、災害によって家を失ってしまうリスクの多い地域、ホットスポットが存在します。その為、このような一つの場所に定住しない暮らしに対して需要が増えていきました。
日本も地震大国であり、このトレーラーハウスが新たな暮らしのスタイルを提供してくれるでしょう。 今回はそんな隈研吾氏の手掛けたトレーラーハウス、「住箱」の魅力に迫っていきます。
アメリカではハリケーンや地震、洪水など、災害によって家を失ってしまうリスクの多い地域、ホットスポットが存在します。その為、このような一つの場所に定住しない暮らしに対して需要が増えていきました。
日本も地震大国であり、このトレーラーハウスが新たな暮らしのスタイルを提供してくれるでしょう。 今回はそんな隈研吾氏の手掛けたトレーラーハウス、「住箱」の魅力に迫っていきます。
隈研吾
自然素材を活用した高いデザイン性で、「環境に溶け込む建築」を多数手掛けてきた。代表的な建築物で新国立競技場などがある。
自然素材を活用した高いデザイン性で、「環境に溶け込む建築」を多数手掛けてきた。代表的な建築物で新国立競技場などがある。
1.隈研吾氏にとってのテント論
まずは隈研吾氏の設計した「住箱」について。
住箱とは、新国立競技場を手掛けた隈研吾氏と、アウトドアブランドのSnow Peakとのコラボレーションによるトレーラーハウスのことです。
隈氏の構想として、取り返しのつく建築を作りたいという思い、そして日本人の住まいに移動を取り戻したいという思いがありました。 今は持ち家が当たり前の時代となり、35年ローンが当たり前となってしまい、「住む」ということ自体が重くなってしまっています。隈氏はこの点に着目していました。 隈氏がこのような独特の感性をもつきっかけとなった出来事として、大学院2年生のころにアフリカの建築を学ぶために、サハラ砂漠を車だけで移動する経験がありました。
2.「住む」ということをもっと自由に
学生時代にアフリカの建築を学ぶため、サハラ砂漠を旅していた隈氏。
屋根の上にタンクを積んで、時々給油しながら眠くなれば眠り、目を開けると想像以上に美しい砂漠の星空・・・故郷から遠く離れ、移動しながら生きていく経験は、建築家としてのキャリアをスタートさせた原点ともいえると隈氏は語っています。
また、自然と融合した建築物を多く生み出してきた隈氏にとって、「木」は多くの可能性を秘めています。 木は最古の建築資材でありながらも、最もハイテクな資材。その木材(ヒノキ)を贅沢に活用したトレーラーハウスが、住箱のもつ魅力的な一面です。床から天井までヒノキを使用していることから、温かい雰囲気と香りに包まれた室内となっています。
住箱の仕様について詳しく載せます。
とてもシンプルで、自然と融合させた仕様であることがわかります。
○外壁
材質:ヒノキ合板t12mm(F☆☆☆☆認定品)
塗装:防腐剤+キシラデコールやすらぎ
○内壁、室内天井
材質:ヒノキ合板t12mm(F☆☆☆☆認定品)
塗装:無塗装
○室内床
材質:ヒノキ合板t12mm(F☆☆☆☆認定品)
塗装:ウレタン塗装
○屋根
材質:ガルバリウム鋼板
塗装:無塗装
○断熱材
天井、壁:グラスウール密度24k・50mm
床:スタイロフォーム・50mm
※F☆☆☆☆認定品
(フォースター。ホルムアルデヒドの発散量が最も少ない最上質等級)
【オプション】
○LED
定格電源:DC12V
定格電流:約6A
消費電力:天井照明(約5.6m)81W程度
ベッド台照明(約2m)29W程度
防水規格:IP44(非防水タイプ)
照度:900LM/m
○ベッド床板
材質:ヒノキ合板t12mm(F☆☆☆☆認定品)
○ロールスクリーン
材質:ポリエステル100%( 防炎、制電、50%~80%UVカット)
※F☆☆☆☆認定品
(フォースター。ホルムアルデヒドの発散量が最も少ない最上質等級)
3.「住箱」はどのような人に向いているか?
アウトドア初心者の方でも楽しめる、リーズナブルなグランピングに近い特徴をもっています。 室内はエアコンやWi-Fiも完備しており、プライベート感満載です。また、室内にはSnow Peak製の物が取り揃えてあります。
Snow Peak好きな方にはたまらない空間になっています。 まさにアウトドアとホテルの機能性を兼ね備えた快適な空間です。
また、この「住箱」は、宿泊するだけでなく購入することも可能です。 もともとシンプルなデザインで完成していますが、そこにひとりひとりの個性を生かせるように、DIYでも扱われやすい合板を使用しているとのこと。 また「買える隈研吾デザインを」という発案者のこだわりもあったそうです。基準額の範囲内で設計してもらうことで、誰にでも購入しやすい価格帯に設定することができています。
住箱はあくまで住宅ではなく車両扱いとなるため、店舗として活用することもできます。 購入者は購入当初の計画に縛られることがなく、何度でもやり直すことができます。
4.「住箱」の注意する点
トイレやシャワーが室内に設置されていないケースが多い
キャンプ場ではロッジなどでない限り一般的ですが、シャワーやトイレは共同スペースでの使用となることが多いです。普段からキャンプをされている方であれば、このあたりはあまり気にならない点でしょう。
また、施設によっては室内にシャワーやトイレ、洗面台まで設備されているところもあるようです。ご自身の宿泊予定の施設にどこまで完備されているか、事前に問い合わせることをお勧めします。
窓が重い
実際に使用した方から多く聞かれる意見です。(個人差があります)
エアコン完備のため、窓の開閉を行うことはあまりないかと思いますが、女性が一人で行う場合は少し苦労してしまうかもしれません。建具の強度があるという意味ではセキュリティ面では安心ということにもなります。
基本的にお隣さんとの境界には目隠しなど視界を遮るものがない
特に女性の方はこの点を気にされる方は多いかと思います。お隣さんとのマナーやモラルをお互いに守り、快適な一日を過ごしましょう。
また、植木などで薄く遮られてはいますが、お隣さんとの距離が近い施設もあります。
住箱のテラスの高さに注意
建物とテラスはフラットになっており、大人は出入りにさほど苦労することはありません。大人だけの宿泊であればここはスルーしていただいて構いません。注意すべきはお子さん連れの方です。
このテラス、案外高さがあり、お子さん連れの方は昇り降りするための収納ボックスなどあると、ケガの防止にもなります。
ウッドデッキは日差しが直撃しやすい
特に夏場は注意が必要です。もしもデッキに座ってゆっくりされたかったら、ワンタッチシェードなどがあると安心です。
まとめ
「住箱」は他の施設のグランピングやロッジと比べると、決して広いものではありません。 しかしそれが逆に隠れ家的な魅力でもあります。
また、なんといっても世界的に有名な建築家である隈研吾氏が手掛けているというだけあって、スタイリッシュです。 そんなトレーラーハウスに、リーズナブルな価格で宿泊してみるだけでも価値的だと思います。
ぜひ、自分の住んでいる地域、または行ってみたい地域で「住箱」に宿泊できる施設がないか探してみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
建設会社にて2×4工法、RC造の建築物の設計・積算を担当。
住まいでの快適な暮らしや建築に関するニュースを執筆していきます。
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