COLUMN
コラム
間取りから選ぶマンション
現代人はなにかと忙しく、マンションを購入するという今後の人生を左右するような大きな決断であっても、根気強く勉強をして正しい決断をすることは難しいかと思います。
ほかの建築物にもいえることですが、マンションは「住む側の立場になって造られているか」、「造る側の論理で造られているか」、間取りを見れば一発で分かります。
そのための知識が必要だと思い、一般の方でもできるだけ簡単に正しいマンション選びの知識を身に着けていただきたく、執筆することとしました。
そのための知識が必要だと思い、一般の方でもできるだけ簡単に正しいマンション選びの知識を身に着けていただきたく、執筆することとしました。
1.マンションの間取りの基礎知識3つ
各部屋のアルファベット表記
間取りを見るうえで各部屋にアルファベットが記載されています。このアルファベットの意味を表にまとめました。
略称 | 意味 |
---|---|
L | リビングルーム |
D | ダイニングルーム |
K | キッチン |
DK | ダイニング・キッチン |
LDK | リビング・ダイニング・キッチン |
数字 | その他の部屋数 |
CL | クローゼット |
WIC | ウォークインクローゼット |
DEN | プライベート部屋 |
N | 納戸 |
S | サービスルーム |
※ウォークインクローゼットは、中を歩けるほどの広いクローゼットを意味します。
※サービスルームとは建築基準法において居室に必要な採光基準を満たしていな部屋のことを指します。
廊下のタイプは2種類
間取りに加え、共用部分にある廊下には2種類あります。外廊下と中廊下です。
外廊下であるメリットは、低コストであることと換気に強いという点です。廊下が外に面していることから、管理費などの低下を叶えることができます。
また、外に面していることから火災などの被害も最小限に抑えることができます。しかしデメリットとして、外に面している分、防犯面で不安が残る方もいるかと思います。
中廊下であるメリットは、プライバシーを守りやすい点と、高級感が出せる点です。
廊下が内側に施工してある分、外から見えることはありません。また、見た目としてもホテルのような高級感があります。デメリットとしては、外廊下の反対になってしまいますが、管理コストがかかる面と、換気がしにくい点となります。
廊下のタイプは2種類
間取りにおいて、基本的に畳か平米で表されます。
畳は名前の通り、畳1枚の広さのことを指します。畳1枚の一般的な広さは1.62㎡ですが、地域によって多少違いがあります。また、平米表記については、縦(m)×横(m)で表されます。
この2つは間取りを説明される際によく使われる表記になります。
2.角欠け・いびつな居室は避けるべき
私は四角形以外の居室の形はお勧めしません。それは部屋に置くインテリア、家具のほとんどが四角形もしくは長方形だからです。よほど個性的な家具でない限り、そのようないびつな形をした部屋に一般的な家具が馴染むとは思えません。
そもそも奇抜な形のものだと最初は良くとも、だんだんと居心地の悪いものへと変化し、飽きがきてしまいます。
最も問題としてありがちなのが、構造柱の位置による居室の角欠けです。 これによって余計な圧迫感が生まれたり、家具が配置しにくいなどの難点が生まれます。構造柱は出ることはやむを得ないことなのですが、設計のうまいマンションはこのスペースを逆手にとって、より上質な収納スペースを生み出すことに成功している建築物もあります。
3.収納の広さに着目
部屋の広さの違いがよく現れる場所として、収納があります。 たとえばですが、夫婦2人で暮らすと仮定して、1畳のウォークインクローゼットでは2人分の衣服をすべて収納することはできません。 最低でも2畳は必要かと思います。
また、ウォークインクローゼットというのは、見栄えはいいのですが、人が歩くスペースがあるぶん、意外と収納スペースにかけている点があります。
人が暮らすうえでじゅうぶんな収納スペースがなくては、最終的にたくさんの家具を揃える必要性がでてきます。 そうすると、またさらにその家具たちにより部屋が圧迫する要因となります。 収納の面積の違いというのは、住む側がどんなに努力・工夫をしても解決することができません。 そのためここで、収納の重要性をお伝えしました。
4.マンションを購入するとき
マンションを購入する際に、「物件選びで後悔したくない」、「契約や引き渡しでトラブルになりたくない」などの様々な思いがあるかと思います。 ひとつのセールス方法としてモデルルームがありますが、このモデルルームの販売テクニックについてお伝えしていきます。
モデルルームは行くべきではない
モデルルームはどこのメーカーのものでも、お洒落な内装や高級感あふれる家具の演出で、お客さんの購買意欲を掻き立ててきます。 そこで来場者を惹きつけ、契約へと結びつけます。
しかしここで冷静に考えていただきたいことが、モデルルームの建設費用・人件費は当然ながらマンションの売り上げから回収されているものです。 モデルルームは「魅せる建築物」であるため、そもそも人が暮らすように設計されていません。面積も大きいですし、自分の購入したい間取りとは大きく異なることがほとんどですし、仕様すらも異なる場合が多いです。 そのため、家具の配置すらも異なりますし、もちろんモデルルームに配置してある家具が付いてくるわけでもありません。
私自身、勉強のためにさまざまなメーカーのモデルルームにお邪魔しました。その際にこのモデルルームを仮にそっくりそのまま建てるとするならば、どのくらいの費用を要するか聞いて回りました。その金額は、とても一般の方が買えるような金額ではありませんでした。 お客さんはモデルルームを購入するわけではないので、いい建物を造るためにも、建物自体にコストを掛けるべきだと思います。
もしもモデルルームへ行く場合、見る点は建物ではなく、接客態度です。 品質の悪いマンションを造っているメーカーほど、モデルルームでの接客態度も悪いものが多いように思います。
一方、日頃からいいものを造っているメーカーほど、その会社のファンも多く訪れますし、目の肥えた消費者も集まってきます。そのため、後日営業担当のほうから何度も電話がくることはありませんし、抽選販売の段階で完売してしまうケースが多いです。 そういった点は盲点となりやすいですが、もしマンションを購入した際のアフターフォローにも関わりますので、しっかりと見極めることが大切です。
モデルルームよりも建設地を見に行く
私はモデルルームよりも、建設地を見に行くことをお勧めします。
まずは隣地を把握します。 周囲にどんな建物が建っているのか、何階以上だと日当たりがいいのかなどを確認します。
その次に重要なことは、目に見えない部分を五感で確認することです。 風、匂い、空気の質、音など、写真で見ても目に見えないものです。 幹線道路や高速道路に面していると、空気の質だけでなく、騒音の問題も出てきます。
少し手間はかかってしまいますが、昼と夜両方で訪れてみることをお勧めします。 私自身、賃貸のマンションに一人暮らしするときでも、昼に内覧してどんなに素晴らしい部屋でも即決して契約することはありませんでした。 実際に夜になると、がらりと雰囲気が変わって、契約を見送ったことも数回あります。 そのくらい昼と夜では顔つきが変わるパターンもあります。
最後に、マンションはあなたの財産になります。 仮に購入予定の土地が赤線地区だった場合、住むうえでは快適でなんら問題はなくとも、そのマンションを売る際に資産価値が下がる場合もあります。もしもこの点を確認する場合、販売会社に確認するか、その地域の歴史書で学ぶことが大切です。
まとめ
安易にマンションを購入すると、必要のない損を被る可能性があります。
そのために、正しい知識と見極める目を持つことが大切ですし、間取りの見方、判断する基準を身につけることで、マンションの本質を見抜くことができます。
この記事を通して、本当に良質なマンションを見つけ、幸せな暮らしを手に入れるためのお手伝いができたら幸いです。
著者プロフィール
建設会社にて2×4工法、RC造の建築物の設計・積算を担当。
住まいでの快適な暮らしや建築に関するニュースを執筆していきます。
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