COLUMN
コラム
猫と暮らす建築デザイン
一昔前には、猫は普段は屋外で過ごし、ご飯時になるとやってくる、半屋外猫がたくさんいました。
しかし近年では、猫の伝染病や車社会による交通事故を防止するために、完全室内飼いが推奨されています。
猫は快適な環境をなによりも重視します。 そのため、猫が一日中室内で過ごすとなれば、遊ぶスペースやゆっくりと静かに過ごせる空間が必要となります。
しかしここで、建築の知識だけでなく、猫の生態がわかっていないと、猫の満足する空間をつくることはできません。
猫は強いストレスを感じると、教えた場所以外(床や壁など)で爪とぎをするようになったり、突然粗相をするようになったりします。 そこでむやみに叱っても、より悪化するだけで、飼い主にとってもストレスばかりが増えていくことになります。
大切な家族である猫と暮らしていくと決めた以上、人間同士と違い、意思の疎通もとりにくい猫ファーストの空間を作れば、猫だけでなく、そこに住む家族の満足度も上がることにつながります。
今回は、そんな猫と暮らす家を欲しい人、作りたい人、知りたい人のために、快適に美しく暮らすためのヒントを書いていきます。
しかし近年では、猫の伝染病や車社会による交通事故を防止するために、完全室内飼いが推奨されています。
猫は快適な環境をなによりも重視します。 そのため、猫が一日中室内で過ごすとなれば、遊ぶスペースやゆっくりと静かに過ごせる空間が必要となります。
しかしここで、建築の知識だけでなく、猫の生態がわかっていないと、猫の満足する空間をつくることはできません。
猫は強いストレスを感じると、教えた場所以外(床や壁など)で爪とぎをするようになったり、突然粗相をするようになったりします。 そこでむやみに叱っても、より悪化するだけで、飼い主にとってもストレスばかりが増えていくことになります。
大切な家族である猫と暮らしていくと決めた以上、人間同士と違い、意思の疎通もとりにくい猫ファーストの空間を作れば、猫だけでなく、そこに住む家族の満足度も上がることにつながります。
今回は、そんな猫と暮らす家を欲しい人、作りたい人、知りたい人のために、快適に美しく暮らすためのヒントを書いていきます。
猫の活動エリアをわかりやすく仕切る
猫にやってはいけない行動を理解してもらうためには、指示が一貫していることが大切です。 猫にとってはルールが統一いていないと混乱してしまいます。
そこで、ここから先は入っていいところと入ってはいけないところの境界を、扉や柵で仕切り、それを猫にも理解できるように明確にすることが大切です。 扉などであまり圧迫感を出したくない場合もあるかと思います。
視線をじゅうぶんに通したい場合には硝子戸、風通しを確保したい場合には格子戸を選択すれば、限られた空間のなかでも圧迫感を解消することができます。
猫は高いところが大好き!下階を覗ける空間を
猫は本来高いところが大好きで、木の上などに上って周囲を見渡せる環境を好みます。 また、岩穴で休息していた名残で、暗くて狭いところも好みます。
猫が快適に暮らすためには、この2つも用意してあげるべきです。
吹抜けをうまく活用してキャットウォークをつくったり、2階床に猫が覗きこめる程度の穴を施工するなどして、猫が下の階を覗きこんで楽しめる空間を作ってあげると、猫は室内の環境で飽きることはありません。
猫用ステップで安全に
猫は周囲を眺めて楽しんだりすると同時に、恐怖を感じた時も高いところに行きたがります。
そのため、吹抜けをつくる場合は、猫が安全に昇り降りできるようにキャットステップを設けるといいです。 キャットステップとは、猫用の階段のことです。
景色に変化をつけて毎日の景色に飽きがこないようにする
キャットタワーなどで空間を立体的に利用できても、そこからの景色がいつも平凡だった場合、猫はすぐに飽きてしまいます。 手摺壁や蹴込み板のない螺旋階段なら、見通しがいい上に上るたびに景色の変化があるので楽しむことができます。
人の動きや状況の変化を見ることができるスペースをつくることで、猫は毎日の生活を窮屈に感じず、楽しむことができます。
穴を施工する際は、誤って猫が飛び出さないようにφ160mm以下にしましょう。
猫の脱走防止扉を設置する
大切な家族である猫が脱走し、行方不明にならないように、脱走防止扉を設置するべきです。 設置する場所は、玄関ドアの手前にある階段や廊下付近に設置しましょう。 ここに設置しておくことで、脱走だけでなく、ケガも防止することができます。
猫が自由に動き回れるスペースは大切ですが、人がいないときは、万が一のことが起きないように、行動を制限しておくことも大切です。 脱走防止扉は換気もじゅうぶんに行うことができるので、安心です。
くぐり戸で自由に移動
猫が部屋と部屋を移動しやすいように、くぐり戸、ペットドアを設置すると、毎回扉を開け閉めする必要がなく、飼い主にとってもストレスがかかりにくいです。 こういったペットドアは、エアコンや暖房器具の使用時に開け閉めする必要がなく、光熱費もおさえることができ、最適な温度を保つこともできます。 最近は木製のドアに限らず、ほかのドアの種類であっても施工できる商品も出てきています。
温度は飼い主にとっても猫にとっても生活するうえで重要なものなので、ぜひ設置することをお勧めします。
猫満足度アップのカギは窓
猫は窓辺が大好きです。 遠くを眺められる窓は、ゆっくりと景色をみてくつろげるように奥行きに余裕をもたせることが鉄則です。
猫には適度な紫外線が必要なので、日当たりのよい窓際に広めで奥行きがある居場所を設けましょう。
窓ガラスを遮熱タイプのLow-E複層ガラスにすると紫外線がカットされるため、猫用の窓だけは遮熱タイプを用いないように配慮します。 窓ガラスは断熱タイプのLow-E複層ガラスであれば、紫外線がカットされず猫の日光浴用に有効です。
もしも猫に皮膚の炎症などの症状がみられる場合には、紫外線量を調整する必要があります。
猫は家の中縄張りを守るために監視を行うとともに、外の行き来する人の動きや車の動きにも興味をもちます。 そこからたくさんの刺激を得ています。 そのため、窓の外になにが見えるかを把握して計画します。
横方向に長く、床からの高さが低い窓だと、猫の視界も広がり、夏場に涼風が得られます。
大きく開く窓は猫が逃げてしまう可能性もあるため、ジャロジー式窓を選択するべきです。 ただし、ジャロジー式窓だと換気が悪いという難点もあります。
また、寝そべって屋外をチェックできるように、猫窓を設置することをお勧めします。
出窓は猫にとって最高の居場所に!
猫にとって出窓は太陽の光を浴びられるうえ、外にいる人や鳥、風景などを眺めることもできる居場所になります。 とくに2階以上に設ける出窓であれば、さらに上から景色を眺めることができるため、猫が気に入る可能性も高いです。
人にとっても嬉しい出窓
出窓は条件を満たせば床面積に算入されないので、設置すると狭い住宅でも広く見せることができます。 床面積に算入されない出窓にするためには、以下の条件が必須です。
・床から30cm以上離す
・外壁から50cm以上突き出さない
・出窓全体の見付面積の1/2以上が窓
・外壁から50cm以上突き出さない
・出窓全体の見付面積の1/2以上が窓
上記3つのすべての条件を満たす必要があります。
素材選びはマーキング行為を考慮して選択する
爪とぎは猫のマーキング行為のひとつですが、ほかにも壁におしっこをかけるスプレーという行為もあります。主にオスの成猫に多く見られます。
壁が傷つく爪とぎ、匂いや汚れが付くスプレーを考慮し、壁の仕上げは傷つきにくいもの、傷がついても簡単に補修できるもの、清掃しやすいものを選択するといいでしょう。
メンテナンスしやすい腰壁
壁をクロスにする場合は、傷が目立ちにくく、耐傷性の高いものを選ぶべきです。 床から90cm程度までに腰壁をつけたり、クロスを上下で張り替えたりするといいでしょう。
(素材は磁器タイル、天然石などがお勧め)
いたずらされにくい横張り
クロスは縦方向に張るのが一般的ですが、クロスの幅ごとに出てくるジョイント部分を爪で剝がそうとする猫もいます。
そこで、クロスの幅の規格が90cm程度であることを利用し、床から腰までの高さを横張りにしてみましょう。 ジョイント部分が減り、猫のいたずら防止にも役立ちます。
まとめ
猫の習性を理解することで、飼い主にとってもストレスが少なく快適な暮らしができると思います。
実際に私の実家にも1匹のサバトラ猫がいます。 一緒に暮らしていたこともあるからこそ、もっと最初のうちに計画を立てておけばよかったと後悔することも多かったです。
実体験をもとに、猫と人が楽しく生活できる知識のひとつとなれば幸いです。
実際に私の実家にも1匹のサバトラ猫がいます。 一緒に暮らしていたこともあるからこそ、もっと最初のうちに計画を立てておけばよかったと後悔することも多かったです。
実体験をもとに、猫と人が楽しく生活できる知識のひとつとなれば幸いです。
著者プロフィール
建設会社にて2×4工法、RC造の建築物の設計・積算を担当。
住まいでの快適な暮らしや建築に関するニュースを執筆していきます。
cocoの他の記事
RELATED ARTICLE
アクセスランキング(COLUMN)
SumaiRing最新記事
TAGS
お役立ち
建築建材