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掲載:2023年08月20日更新:2023年10月03日

玄関・アプローチまわりのデザインを考える【オープン外構・クローズ外構のメリット・デメリット】


「家族やゲストを出迎える印象のいい玄関まわりにしたい。最近の新築戸建てでは、塀や門扉のないアプローチが増えているけれど、わが家にはどんなタイプが合うのだろう‥」

そこで今回は、玄関ドアを含めたアプローチまわりのデザインについてご紹介します。


1.玄関まわり、アプローチのデザインは「オープン」「クローズ」二つのタイプがある



「海外の住宅地のように、玄関・アプローチのスペースをオープンな外構にしたい」という相談が増えています。
従来、日本では自宅の敷地を塀やフェンスと門扉で囲いこむ「クローズ外構」が主流でしたが、近年は、限られた敷地を効率よく活用できる「オープン外構」を選ぶ人が増えています。

まずは、オープン外構とクローズ外構のメリットとデメリットを整理しておきましょう。

オープン外構



一般的に、オープン外構のメリットは、

1.塀やフェンスがないので、広がりを感じるアプローチができる
2.植栽と一体になった、洗練されたアプローチができる
3.駐車駐輪がしやすい

デメリットは、

1.敷地の境界が認識しづらいため、敷地内に侵入されるリスクがある
2.芝生や植栽があれば、定期的に手入れをする必要がある

などがあります。

上の画像からもわかるように、住まいの外壁や玄関ドアとアプローチ部分の材質や色彩をコーディネートすると、住まい全体がアプローチ部分と連動して、豊かな空間をつくります。

クローズ外構



クローズ外構のメリットは、

1.門扉を閉じておけば、外出中に第三者が侵入するリスクが低い
2.前面道路の交通量が多い場合、子どもやペットが飛び出すリスクが低い

デメリットは、

1.門扉やフェンスのデザインによっては、閉鎖的な印象を与える
2.建蔽率、容積率の上限で住宅を建てると、窮屈な印象を与える

などがあげられます。

プライバシー重視ならクローズ外構、伸びやかな空間重視ならオープン外構



オープン外構を選ぶか、クローズ外構を選ぶかは、周囲の環境、前面道路の交通量、敷地の広さ、近隣との付き合い方、住宅そのものをオープンにするのか、周囲に対して閉ざすのかなど、建主の考え方によります。

交通量の多い道に面した立地で、子どもさんがいれば、安全最優先でクローズ外構を、プライバシーは確保しながらもなるべく伸びやかに暮らすことを優先する場合はオープン外構を検討される方が多いようです。

どちらの外構にも一長一短があるので、メリット・デメリットを理解した上で検討しましょう。

外構プランは建物の設計と同時並行で進めるのが理想


外構と建物のプランを並行して進めると、建物と一体感のある玄関アプローチが実現します。
また、ご近所を散歩しながら門扉・アプローチ・玄関・植栽などを見学して、玄関・アプローチ作りの参考にするのも良いでしょう。


オープン外構の構成要素とポイント



玄関ドア



玄関ドアは建物本体の構成要素ですので、通常、エクステリアや外構の計画には含みません。
しかしながらオープン外構の住宅では、住まいとエクステリアが連動して1つの空間をつくるので、素材や、色調などのコーディネートを意識する必要があります。

上の画像のように、壁と同系色の玄関ドアの採用で、あえて、玄関ドアの存在感を消すのも1つの考え方です。
さらに、防犯性に優れた鍵のシステム(自動施錠システムやエントリーシステムなど)や敷地内に侵入があった時に即座に連絡するセキュリティシステム等の導入も検討しましょう。

オープン外構を緩やかに仕切るフレーム・スタイリッシュポール



通常フレーム(ゲート)や格子は建物の外壁部分や玄関ドアと色調や材質のテイストをそろえて、建物本体と一体化した外構をつくります。 フレームゲートは、クローズ外構の門扉に相当する役割を果たします。訪問者を招き入れるような構えになっています。

格子は、玄関アプローチや、リビングルームなど、道ゆく人からの視線を遮るために、高さや設置場所を計算しながら、植栽などと一緒に計画します。

機能性門柱



オープン外構では、門扉や門柱が無いので、表札や郵便物を投函する場所が必要になります。
そのため機能性門柱と呼ばれるポスト、インターホン、表札、玄関灯を兼ねた門柱を、道路と敷地の境界に設置します。 マルチに活躍する住まいの標識であり、なおかつ「ここから先は個人の敷地」という境界標の役割も果たします。

郵便配達の人、宅配便を届ける人の負担を減らし、「置き配」に対応するために、機能性門柱に宅配ボックスを設置するタイプもあります。

照明



オープン外構の照明は、植栽や建物を美しくライトアップすると同時に、防犯の意味合いも兼ねています。特にアプローチまわりは、はじめての訪問者のためにもフットライトなど足元を明るくする配慮が必要です。
敷地内に入れば人間センサーでライトアップするなど、外部からの侵入を妨げる工夫をしましょう。

その他 収納スペース 水栓 EV充電器 



アプローチのそばに駐車スペースや駐輪スペースを設ける場合は、車やバイク自転車などの手入れ用品などの収納スペース、植栽のための水栓や灌水装置、場合によってはEV充電装置などの設置を検討します。


クローズ外構の構成要素とポイント



門扉・門柱



門扉は通常建物のイメージと連動したものを選びます。門扉は門柱(門袖)に固定します。
門扉の幅・高さと門柱の幅のバランスが良いと、格調の高い門構えとなります。

門柱には、上の画像のように、表札、門中灯、郵便ポスト、インターホン、スペースがあれば宅配ボックス等を配置します。


門柱とスタイリッシュポールで構成して、あえて門扉を設置しないエクステリアも増えています。

門柱なしで、建物躯体に直接門扉を設置するデザイン



上の画像は、門柱を設けずに、設計時に門扉のデザインを決めて、建物に直接門扉を設置しています。
門扉の上も梁が渡っているので、外部からの侵入を妨げ、防犯性の高い門扉デザインになっています。

宅配ボックス



コロナ禍以降、戸建住宅でも宅配ボックスを設置するケースが増えました。 通常シンプルモダンなデザインが多いのですが、住宅や玄関ドアの雰囲気に合わせた物を設置したいですね。

建材ナビには上のような丸みをおびた優しい雰囲気の宅配ボックスも揃っているので、チェックしてください。

フェンス




フェンスには、①外部からプライバシーをまもるための目隠しフェンス、②境界を仕切るために設けるフェンスの2タイプがあります。

通常フェンスはコンクリートブロックを積み上げた上に設置しますが、コンクリートブロックを使ったブロック塀は高さ2.2mという上限が設けられています。 設置する際には、専門業者と相談しながら、目的に合ったフェンスを選びましょう。

建材ナビではさまざまな材質のフェンスがご紹介できますので、ぜひ一度チェックしてください。


まとめ



住まいの印象は、玄関・アプローチまわりのデザインにより大きく変わります。インテリアと同じように、玄関アプローチまわりも、「自分たちの住まい」らしさが伝わるコーディネートを考え、住まいと、アプローチが一体となった空間をコーディネートしたいもの。

立地環境、家族の状況などを考えながら、自分達にとって、使いやすく広がりのあるプランを考えましょう!




著者(藤江 薫)プロフィール

二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。
電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。
不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。






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