屋上緑化のススメ
環境に配慮した建物づくりが求められる中で、屋上のデザインに緑を取り入れる動きが活発化しています。
屋上部分の緑化を進めると、無機質な屋上空間を居心地の良いリラックス空間に変えることができます。
本記事では屋上緑化を導入するための注意点、おすすめのシステムについて紹介します。
1.屋上緑化3つのメリット
屋上緑化をおこなうことで、さまざまなメリットがあります。
天然の植物を屋上に取り入れることで期待できる3つのメリットを紹介しましょう。
浄化効果
屋内緑化を進めることで空気が浄化され、二酸化炭素の削減が期待できます。
緑の面積が多ければ多いほど二酸化炭素の削減数が多くなります。
空気の浄化につながる屋上緑化は、エコな施設づくりと相性が良くおすすめです。
空間演出効果
最近の研究結果で植物から発散される「フィトンチッド」という成分にリラックス効果があることが分かりました。
屋上緑化を導入することで、利用者のリラックススペースとして活用が可能です。
オフィスビルだけでなく、病院施設への導入もおすすめです。屋上緑化を取り入れることで患者さんのストレスを緩和することが期待できるでしょう。
課外授業の場として活用できる
屋上緑化は子どもたちの課外授業として活用することもできます。企業が学校と連携することで、子どもたちに新たな教育の場を提供することもできます。
屋上緑化のレイアウトを工夫することで、キッズスペースとして活用することも可能です。
人工植物ではなく天然植物がおすすめ
屋上緑化を導入するのであれば、人工植物ではなく天然植物がおすすめです。
人工植物は設置コストを抑えられ、維持管理も不要というメリットがありますが、人工物のため二酸化炭素の削減、リラックス効果が期待できません。リラックス効果、二酸化炭素の削減を目的としているのであれば、天然植物を使用して屋上緑化を目指しましょう。
2.屋上緑化の種類
一言で屋上緑化と言ってもさまざまなアプローチがあります。設置する植物によって、屋上緑化のレイアウトも大きく異なります。
屋上緑化と相性の良い植物と、それぞれの特徴についてご紹介します。
芝生で屋上を緑化
屋上緑化の定番と言えば、天然芝を活用した緑化です。
屋上に芝生を敷き、ベンチを設置するだけで華やかな空間に変えることができます。天然芝は太陽光を和らげる働きがあり、節電や省エネ効果を期待できます。シンプルなデザインの屋上緑化を目指している方は、芝生を活用した屋上緑化がおすすめです。
つる植物で壁面を緑化
屋上部分の壁面をつる植物で覆うことで、壁面緑化を取り入れた屋上緑化が可能になります。
つる植物の最大のメリットは、さまざまな建物で導入しやすく低コストで設置できることです。
複数のつる植物を植生させることができれば、その季節毎の美しい花を楽しむことができます。
屋上菜園で緑化
屋上緑化の選択肢の中には作物を育てるための屋上菜園、屋上水田の設置も可能です。
都市部にある学校の中には屋上水田を導入し、生徒が農業と触れ合う機会を提供することに成功したケースもあります。
オフィスビルなどに設置をすれば、社員食堂で野菜を活用することもできます。
3.屋上緑化をすすめるうえで注意すべきこと
屋上緑化を既存の建物に導入する際には、注意点があります。
何も考えずに導入計画を進めてしまうとトラブルに発展する恐れがあるので注意してください。
荷重量を確認する
屋上緑化を進める際は、設置設備の重さがどの程度必要かを確認してください。建築法により屋上に設置できる荷重量が決められているため、導入予定の設備が設置できない可能性もあります。
万が一荷重量の関係で設置できない場合は、施工業者とどのようなものであれば導入可能かを話し合うようにしてください。
かん水設備の構築
天然植物を屋上緑化に使用する場合、かん水設備の構築が必要です。かん水設備の構築はある程度の知識が必要です。
屋上緑化の施工に慣れていない業者に依頼をすると、かん水設備がうまく機能せず雨水がうまく排水されず草木を枯れさせてしまう恐れがあります。
植物に水が十分に行き渡るよう、屋上緑化の施工例が多い業者に依頼をしてください。
維持管理方法を検討する
屋上緑化は設置をして終了ではありません。美しい景観を維持するための定期的なメンテナンスが必要です。
維持管理方法を確立せずに設置をすると、草木をすぐに枯らしてしまう恐れがあります。維持管理が困難な場合は、手入れが不要な設備を導入してください。
4.屋上を魅力的にする緑化建材
本記事でおすすめの屋上緑化に最適な建材、施工業者をご紹介します。
これから建材を導入しようと検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ツルパワーシリーズ
つる植物を活用した壁面緑化を検討している方は、環境緑化資材メーカー「ダイトウテクノグリーン株式会社」が手がけるツルパワーシリーズがおすすめです。
1つ目がツルパワールーバーです。
ツルパワールーバーを使えば、壁面部分をつるで覆い緑化させることができます。
支柱部分には吸水保湿性に優れた天然ヤシ繊維を利用した素材を使用しているため、自然な風合いを保ちながら、つる植物の登はんのサポートが可能です。
2つ目がツルパワーパネルです。
既存の建物に屋上緑化を導入する際、軽さが必要であればツルパワーパネルを使用しましょう。
質量が軽く既存の建物に対しても簡単に取り付けが可能です。常緑のツタ「ヘデラ」が四季を通して景観を維持します。
登ハンマットと立体金網を一体化したパネルのため、さまざまなつる植物に対応できます。
スクエアターフLight
屋上菜園や水田を作る場合は、荷重・排水システム・管理の3つを重視し設計を検討しなければなりません。
共同カイテック株式会社が開発した「スクエアターフLight」は、公共施設から屋上施設までさまざまな屋上緑化で導入されています。
48kg/m2(芝生満水時)と軽量で、風速65mにも耐えうる耐風圧性をクリアしています。
共同カイテック株式会社は素材開発だけでなく、建物ごとにできる設備は何かを検討し、最適な施工プランを提案可能です。
トータル設計を検討している方で業者が見つからない場合は、共同カイテック株式会社への依頼を検討しましょう。
常緑キリンソウ袋方式
かん水装置の設置工事を省きコストを極力抑えたい方には、常緑キリンソウ袋方式がおすすめです。
手入れが不要で比較的簡単に緑の維持を可能にします。設置方法はとても簡単で、屋上防水シート上に常緑キリンソウ袋を並べるだけです。
設置したキリンソウ袋が紫外線から屋上の防水層を守るため、防水層の劣化軽減にも役立ちます。
トモス緑化システム
低コストで導入し、メンテナンス不要の屋上緑化を検討している方はトモス緑化システムがおすすめです。
超軽量なため、建物への負担をかけず簡単に設置できます。乾燥に強いスナゴケを使用するため、水やり、施肥、刈り込みも不要です。苔が枯れてしまった場合でも、ほ場(田んぼや畑の農地)で育てた苔をそのまま設置するため、コストパフォーマンス優先でメンテナンスをおこなうこともできます。
まとめ
屋上緑化を導入する際に、どのような点に注意すべきかを解説しました。
屋上緑化を取り入れるために必要なことは、計画的な施工プランと、屋上施設に最適な設備の導入です。
今回紹介した建材以外にも建材ナビでは屋上緑化に適した建材、メーカーを多くご紹介しています。参考にしていただければ幸いです。
本職は、エンタメクリエイター。
知人のエクステリア界隈の記事執筆を機に、エクステリア界隈に興味を持つ。
現在は、エクステリア系専門誌の記者としても活動中。
展示会が好きです。