ダイニングテーブルに無垢材を使うメリット・デメリットは?樹種ごとの特徴も解説!
一人暮らしを始めたり家族が増えたりするタイミングで新調する人も多いダイニングテーブル。せっかくなので、無垢材を使ったものを検討してみませんか。
食事をしたり、勉強や仕事をしたり、作業を行なったり、ダイニングテーブルは私たちの生活に深く関わっています。また、比較的大きい家具のため、部屋の雰囲気に与える印象も小さくありません。
この記事では、ダイニングテーブルの素材の一つである無垢材について、メリット・デメリットから樹種ごとの特徴まで分かりやすく解説します。無垢材のダイニングテーブル選びに役立つ基本情報なので、ぜひ最後までお付き合いください。
1.ダイニングテーブルを慎重に選ぶべき理由
暮らしに深く関わるダイニングテーブルは価格も安くなく、頻繁に買い換えるものでもありません。よく検討して、本当に気に入ったものを購入しましょう。
食事以外にも、家族団欒や勉強・仕事に欠かせないダイニングテーブル。普段意識することは少ないかもしれませんが、日々の生活の質を左右する存在かもしれません。長く愛着をもって使いたいと考える人には、無垢材のテーブルがおすすめです。
2.無垢ダイニングテーブルのメリット
無垢材のダイニングテーブルには、主に次のようなメリットがあります。
● 自分でメンテナンスしやすい
● 木の魅力を味わえる
● 冬でも冷たくない
それぞれ具体的に解説していきます。
経年変化を楽しめる
無垢材は経年変化によって、使うほどに味わい深くなる素材です。樹種による程度の差はありますが、年月が経つと深い色味に変化していきます。
化粧合板のように突板(木を薄くスライスしたもの)を表面に貼った天板は、傷が付けば下地が見えてしまうこともありますが、無垢材は傷も味わいになり得ます。
無垢材のテーブルには、置かれた環境や持ち主の歴史が刻まれると言っていいでしょう。
自分でメンテナンスしやすい
木材の表面に膜を作るウレタン塗装ではなくオイル塗装の無垢材であれば、専門業者に頼まずに、自分でメンテナンスできることが多くあります。
例えば、落書きや浅い傷であればサンドペーパーで軽く削り、専用のオイルを塗り込めば目立たなくなります。また、オイルが抜けてきたら自宅で塗装し直すことも可能です。
ダイニングテーブルを“育てる”という感覚で、メンテナンス自体を楽しめれば理想です。
木の魅力を味わえる
手で触れる機会が多いダイニングテーブルは、手触りにもこだわりたいところです。
人が木材に触れると脳活動と自律神経活動が影響を受け、リラックスした状態になることが分かっています。テーブルだけでなく、無垢材のフローリング上を素足で歩いた時なども同様です。手や足で木材に直接触れると、リラックスできたという経験がある人も少なくないでしょう。
突板や木目シートを貼った化粧材では得られない、無垢材ならではのメリットといえるでしょう。
参考|国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所|木材が人にもたらすリラックス効果
冬でも冷たくない
木材は、金属やガラスに比べて熱伝導率の小さい素材です。つまり、熱さや冷たさを伝えにくいのです。木のお椀に熱い味噌汁を注いでも問題なく手で持てますが、金属のカップであれば熱くて持てないでしょう。
熱伝導率が小さいため、無垢材のダイニングテーブルは気温の低い冬でも触った感じがひんやりしません。
これは、テーブル天板に使われるガラスやメラミン樹脂などの素材にはない、木材特有のメリットです。
3.無垢ダイニングテーブルのデメリット
もちろん、無垢材ダイニングテーブルにはメリットだけがあるのではありません。
主なデメリットとして、次の3つが挙げられます。
● 水に弱い
● 反りや狂いが生じる場合がある
デメリットも知った上で、購入の判断をすることが大切です。
価格が高い
木材もしくは木材風の天板のなかで比較すると、木材そのままである無垢材は、突板や木目シートを表面に貼った化粧板などに比べて価格が高くなります。
ただし、無垢材は手入れをしながら長く使えることを考えると、単純に高額だとは言い切れないでしょう。
ちなみに無垢材のテーブル天板は、集成材・幅はぎ材・一枚板に大別され、価格帯も異なります。
集成材と幅はぎ材は、複数の板を繋ぎ合わせて天板の面積を確保したものです。幅はぎ材に比べて集成材の方が、細かいパーツを接着しています。一枚板は、丸太から切り出した、繋ぎ合わせていない一枚の板です。
板の面積が大きい程丸太から取れる量が限られるので、「集成材<幅はぎ材<一枚板」の順に高額になるのが一般的です。
水に弱い
水への耐性は、塗装によるところが大きいです。無垢材では木そのものの良さを活かすため、オイル塗装が採用されることもよくあります。表面に膜を作らない塗装なので、オイル塗装を選ぶと水の扱いに注意が必要になります。
オイル塗装の無垢材ダイニングテーブルは、結露したコップを長時間置いたりこぼした水を放置したりすることを避ける必要があります。濡れたままにしておくと、シミができてしまうからです。テーブルが濡れたら、速やかに拭き取りましょう。
ただし、あまり神経質になる必要もありません。多少シミができてもそれを味だと考えたれば気になりませんし、定期的にオイルでメンテナンスしていれば、徐々馴染んで目立たなくなることも多いからです。
反りや狂いが生じる場合がある
無垢材はテーブルになった後も呼吸しているため、反りや狂いを完全に防ぐことは難しいといえます。
乾燥する過程で反りが生じる場合がありますし、湿度の変化に対応して湿気を吸収・放出しているので、伸びたり縮んだりするのです。
ただし、無垢材ダイニングテーブルは通常、十分乾燥させた木材を使ったり天板の裏に反り止めや幕板をつけたりすることで、反りや狂いを最小限に抑える対策をとっています。通常の範囲内の使用であれば、使うのに支障をきたすほど反ることは考えにくいです。
極端に湿度の変化が激しい、直射日光が当たり続ける、などの過酷な環境に置かないようにだけ気を付けるといいでしょう。
4.主な樹種の特徴
一括りに無垢材と言っても、選ぶ樹種によって色味や木目はさまざまです。
部屋の中で大きな面積を占めるダイニングテーブルは、樹種を変えるだけで空間の雰囲気が大きく変わります。求める雰囲気やすでにある家具との相性、個人の好みに合わせて最適な樹種を選びましょう。
ここからは、ダイニングテーブルによく使われる樹種について、それぞれの特徴をみていきます。
ウォールナット
チーク、マボガニーと並んで世界三大銘木の一つに数えられるのが、クルミ科の落葉広葉樹であるウォールナットです。家具や建材に使われるウォールナットは、一般的に北米産のブラックウォールナットのことを指します。
特徴的な濃いブラウンの木肌とツヤのある滑らかな手触りが相まって、高級感のあるシックな雰囲気を感じさせます。
経年変化によって、色合いが明るくなる点もほかの木では見られない面白さです。深いブラウンの色合いは、時間の経過と共に明るい赤褐色から黄褐色へとまろやかに変化していきます。
硬さがあり反りや狂いも生じにくい材質は、寸法安定性が求められる家具材として優れた特徴です。
ブラックチェリー
緻密な肌目と上品な光沢感をもつブラックチェリーは、ウォールナットと同様に高級家具材料として人気のある樹種です。
北米東部に生息するバラ科の広葉樹で、日本でも5月頃に出回るアメリカンチェリーをつける木です。おとなしい木目と滑らかな手触りが優しい印象を与えながらも、赤味を帯びた木肌は華やかさを感じさせます。
色味の経年変化が大きいことが特徴で、使い込むほどに淡桃色から赤褐色に深く変化して一層高級感を増すようになります。
ナラ/ホワイトオーク
ナラとホワイトオークは共にブナ科の広葉樹で見た目も非常に似ていますが、ホワイトオークは厳密にはナラ材ではありません。両者は、主に産地で区別されます。
ナラは国産・中国産・ロシア産のミズナラの木、ホワイトオークは北米に生息するナラの仲間の木、とすることが一般的です。明治期以降、北海道のミズナラは、最高品質のナラ材「ジャパニーズオーク」としてヨーロッパを中心に世界中で高く評価されていました。
ナラとホワイトオークは、ともに明るい色味でナチュラルな雰囲気を持っています。主張が強すぎないので、空間に馴染みやすいでしょう。経年によって色味は濃くなり、褐色に変化していきます。
両樹種には、虎斑(とらふ)と呼ばれるトラ模様のような縞状の木目が現れることがあります。この特徴的な模様を貴重だとして好む人も多いです。
タモ/ホワイトアッシュ
タモとホワイトアッシュともに、モクセイ科トネリコ属の広葉樹です。硬さ・粘り強さ・耐衝撃性を備えており、野球のバットに使われることでも有名な樹種です。両者の違いは原産地で、タモは国産・ロシア産など、ホワイトアッシュは北米産です。
タモとホワイトアッシュは木目がはっきりとした明るい木肌が特徴で、ナラとホワイトオーク同様に、ナチュラルな雰囲気をもっています。ホワイトアッシュに比べると、タモの方がやや黄色っぽく木目が詰まっていることが多いといえます。
両方とも経年変化が少ないため、購入当初の雰囲気を保ちたいという人には向いているでしょう。
まとめ
無垢材のダイニングテーブルは天然素材ならではの魅力をもちます。
価格面や取り扱いに関する注意を踏まえた上で付き合えそうなら、無垢材はダイニングテーブルにおすすめの素材です。メンテナンスをしながら長く使えば、大切な想い出が刻まれた唯一無二の家具になるでしょう。
ダイニングテーブルを購入する予定があるなら、無垢材を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
フリーライターとして活動中。
住宅関連サイト、木材関連プラットフォームなどで、住まいや暮らし方、建築材料に関する記事・コラムを執筆しています。
なるべく手間をかけずにスッキリ暮らすのがモットー。そのためのアイデアも発信中。