壁紙リノベーションで、インテリアをブラッシュアップ!
「古くなった壁紙を貼り替えたいけれど、どれを選べばいいのか迷ってしまう」
壁紙リノベーションによって、部屋の印象はガラリと変わるもの。
思い描くイメージにあう壁紙選びのポイントをご紹介します。
1.壁紙リノベーションのABC
壁紙(クロス)は材料によって、4タイプに大別できる
壁紙は、工事の現場では通常「クロス」と呼ばれています。
材料別にみると、壁紙(クロス)は下表のようにビニルクロス・紙クロス・織物クロス・その他の特殊な材料を使った機能性クロスの4タイプに大別できます。
主材料 | 商品例 | |
---|---|---|
ビニルクロス | 塩化ビニル樹脂系壁紙 | トキワ産業株式会社|【マッスルウォール】抗ウイルス壁紙 |
紙クロス | 和紙、再生紙、など紙を主材料とした壁紙 | 旭興株式会社/インシュウ/和紙壁紙 全点不燃認定 |
織物クロス | 麻・綿・ケナフなどを主材料とした壁紙 | 株式会社トミタ|ORI(オリ) |
木質系クロス・無機質系クロスなど | シート状にした天然木・珪藻土・漆喰を主材料とした壁紙 | 株式会社ナガイ|透湿・耐久性×脱臭・抗菌の高機能壁紙 しっくいフリース |
※本コラムでは、壁紙・クロスという言葉を併記します
現在市場に流通する壁紙(クロス)の9割以上が、ビニルクロスと総称されるもので、主材料に塩化ビニル樹脂を使っています。施工性がよく、耐久性に優れ、リーズナブルな価格なので、施工サイドから見れば使い勝手のよい壁紙(クロス)です。
「えっ、壁紙って紙製じゃないの?」
「壁紙なのに、クロス(布)っていうのはなぜ?」
など、素朴な質問が頭をよぎるかもしれませんが…
少々ややこしいのが、ビニルクロスのなかに「和紙調クロス」「織物調クロス」「機能性クロス」と呼ばれる壁紙(クロス)が存在することです。素材にこだわった壁紙選びをする際には注意が必要です。一見、織物のように見えても、織物調と表記された壁紙は、塩化ビニル樹脂系壁紙です。
素材で壁紙を選ぶ場合には視覚的な印象だけでなく、必ず材料を確認しましょう。
ベースクロス・アクセントクロス・天井クロスのコーディネート
従来、天井と壁の間は廻り縁という見切り材で区切り、壁と床の間は幅木で見切るのが一般的な仕上げ方法でした。
さらに、天井クロスと壁クロスは、それぞれの目的に合ったクロスを選ぶことが推奨されてきましたが、最近は、廻り縁をつけずに、天井と壁を同じクロスでシンプルモダンに仕上げる方法を希望する人が増えています。
また上の画像のように、個性的な色調や柄のクロスをアクセントクロスとして採用するケースも増えています。アクセントクロス以外の部分は、ベースクロスと呼び、通常はホワイトベースのクロスを選びます。
リフォームでは、下地の状況も考え、厚手の壁紙を選ぶ
一般的なビニルクロスの厚みは1mm以下です。
上の写真のように、壁紙を剥がした後の壁下地には凹凸が残るため、下地処理をしても、繊細なクロスの場合は凹凸を拾ってしまいます。
そのため、リフォームでは、厚みがあり、ぼこぼことした立体感やストレッチ性のある壁紙が適しています。
メーカーによっては、リフォームに適したクロスの見本帳を用意していますので、その中から選ぶのも一案です。
どうしても、薄手の繊細な壁紙を使いたい場合は、施工業者と相談して、通常よりもていねいな下地調整を行うか、下地を新しいものに交換して、新築同様の平滑な下地に整える必要があります。
手間も時間も費用もかかるので、通常よりも下地の調整に時間がかかることを織り込んで、リフォーム工事期間を見込んでおきましょう。
既存の床・建具・家具とのカラーコーディネートを考える
床や天井、建具や家具は既存のままで、壁紙だけを新しく張り替える場合は、壁紙だけが浮いてしまわないように、既存部分との色調のコーディネーションが大切になります。
壁紙の見本帳のサンプルは小さくて実際の空間での色調がイメージしづらいので、壁紙候補をピックアップしたら「尺角サンプル」というA4サイズのサンプルをメーカーに請求して、張り替えする壁に置いて色調や質感を自分の目で確認しましょう。
2.インテリアテイスト・ライフスタイル別の壁紙セレクトガイド
壁紙(クロス)選びが楽しくてたまらない人、どれにしたらいいのか途方にくれてしまう人、人さまざまですが「現在の部屋をこれからどのように使いたいか」というお客さまの要望と、居室の「床・建具・家具」の色調との組み合わせで、考えてみるのも一案です。
さりげなくトレンドを取り入れるなら「グレイッシュ」な壁紙を選ぶ
グレイッシュカラーの壁紙は、柔らかな印象で、さまざまなテイストの家具や床材と合わせやすいのでおすすめです。グレイッシュと言ってもさまざまな色調、質感があるので「尺角サンプル」で確認しましょう。
壁紙を見本帳の小さなサンプルだけで選ぶと、張り替えたときにサンプルで確認した時よりも明るく淡い印象をうける場合があります。
この現象は「色の面積効果」と呼ばれ、グレイッシュカラーのような繊細なニュアンスのある色づかいのときには特に気をつけたい点です。またクロスの色調は日中の自然採光の時と照明をつけた時、両方で確認しましょう。
関連記事|後悔しない、内装・家具の色選びトレンドの「グレージュコーディネート」のススメ
アクセントクロスで陰影のある空間をつくる
アクセントクロスを使った壁紙リノベーションは、トレンド感のあるインテリアで大きな役割を果たします。
最近は、上の画像のように、同一色相で明度の異なる壁紙を組み合わせる「トーンオントーン」スタイルでアクセントクロスもコーディネートしますが、時には、下の画像のようにメリハリのある組み合わせを楽しむのも新鮮ですね。
和紙の壁紙で、洋室を和テイストに仕上げる
「本格的な和室は必要ないけれど、住まいのなかに、和のテイストを感じる空間が欲しい」というお客様に喜ばれるのが、和紙を使ったアクセントウォールと障子を組み合わせた空間です。ベーシックな洋室が、洗練された和モダン空間に生まれ変わります。
建材ナビでは、希少な和紙を使った壁紙をご紹介していますので、ぜひチェックしてください。
DIYで壁紙の貼りかえに挑戦してみる
最近は、賃貸住宅にも利用できる、剥がせる壁紙などもありますので、DIYで壁紙をリノベーションすることも可能です。
上の画像は、筆者がDIYで張り替えた壁です。以前はシンプルな白い壁でしたが、築30年で傷んでしまったので、書棚のような柄のクロスをアクセントクロスとして使ってみました。
腰から下の部分だけですので、10分ほどで作業終了。部屋の雰囲気はガラリと変わりました。ぜひ、挑戦してみてください!
まとめ
手軽に短期間でインテリアのイメージを変えたいと思ったら、ぜひ壁紙リノベーションを検討してください。
住み慣れた部屋が、トレンド感のある清々しい空間に生まれ変わります。
美しく、機能性に優れたさまざまな素材の壁紙が市販されていますが、新築と異なり下地の凹凸の処理がポイントになります。施工業者さんと相談しながら、楽しく壁紙リノベーションに挑戦していただければ幸いです。
二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター。
電鉄会社の「住まいと暮らしのコンシェルジュ」として、7年間で1,000組以上の住まいの進路相談を担当。
不動産購入・売却・新築・建て替え・リフォーム・住みかえなど、問題解決のために、さまざまな選択肢を提案。