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掲載:2023年10月01日更新:2023年10月12日

全館空調の魅力とは?室内機1台で家中の温度を一元管理するシステム

家づくりを進めるうえで、エアコンや床暖房などの空調や室温管理の機材について併せて検討することが多いでしょう。昨今は、室内機1台で家中の温度を管理できる全館空調が注目を集めており、さまざまなハウスメーカーや工務店などで採用されつつあります。

そこで、今回は全館空調の特徴や魅力をご紹介します。さらに、全館空調を採用するメリットや注意点も併せて見ていきましょう。


1.全館空調とは

全館空調は建物全体の冷暖房を一元管理するシステムです。部屋ごとの温度ムラが少なく、快適な室温を維持できるのが特徴です。
一般的な個別エアコンの場合、エアコンを設置している部屋や、エアコンの風が行き届く範囲しか、冷暖房が行き渡らず、1台のエアコンで全部屋を同じ温度に保つというのは難しいでしょう。

しかし、全館空調であれば、1つの機械※1で建物全体の温度を均一に保てるので、リビングや寝室はもちろん、洗面所や廊下も同じ温度になります。

※1 全館空調システムによっては、階数ごとに1台の設備が必要なケースがあります。

2.全館空調の仕組み

ここでは、全館空調の仕組みを詳しく見ていきましょう。
一般的な個別エアコンの場合、エアコン本体から冷たい風や暖かい風が出てきて、エアコンの風が届く範囲で温度調整が可能です。一方、全館空調の場合、全館空調本体設備から、各部屋にダクトが配管され、それぞれの部屋に設置された「ガラリ」を通して空気が送られます。

1つの機械からダクトを通して、効率的に各部屋に空気を送れるので、温度ムラなく建物全体の室温を管理することが可能です。一般的な個別エアコンの場合は、部屋数の分だけエアコンを設置することが多いですが、全館空調であれば、1つの機械からダクトを通して風が送られる仕組みです。

3.全館空調のメリット

ここでは、全館空調を採用するメリットを詳しく見ていきましょう。

建物全体の温度を一元管理できる

全館空調を導入するメリットのひとつとして挙げられるのが、建物全体の温度を一元管理できるという点です。全館空調があれば、建物全体を温度ムラなく均一な室温に維持できるので、一年を通して快適な暮らしができるでしょう。
昨今は、建物内の温度ムラによって、ヒートショックが起こるケースも少なくありません。特に寒さが厳しい冬場は、暖房が効いたリビングと無暖房のお風呂場との温度差が激しいことから、温度の急激な変化によって血圧が大きく上下し、心筋梗塞などの疾患を引き起こすことがあります。

しかし、全館空調であれば、リビングや廊下、洗面所がほとんど同じ温度に維持されることから、温度変化を感じにくく、ヒートショックが起きにくいといったメリットがあるのです。

メンテナンスが楽

全館空調と聞くと、大きな設備が必要であり、メンテナンスが大変そうといったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし、最近の全館空調システムはお手入れが楽なので、メンテナンス性に優れているのが特徴です。
一般的な個別エアコンの場合、エアコンの設置台数分のお手入れが必要です。仮に3台のエアコンを設置している場合は、それぞれのエアコンの内部やフィルターを清掃しなければならず、時間と労力がかかってしまうでしょう。

しかし、全館空調であれば、基本的に1台の設備しかなく、フィルターを定期的に清掃または交換すればお手入れできるので時間や手間をかけることなくメンテナンスができます。

間取りの自由度が広がる

個別エアコンを採用する場合、基本的には部屋の数に合わせてエアコンを設置することが一般的です。というのも、扉で部屋を閉め切ってしまうと、エアコンから発せられた冷房や暖房の風が廊下やほかの部屋に行き届かず、エアコンを設置しているスペースだけしか室温を管理できないのです。
もちろん、風の通り道ができるように間取りを工夫すれば、エアコンの数が少なくても、空調管理がしやすくなるでしょう。ただ、扉を外したり、部屋と部屋との間の壁の上部をカットしたりして、空気を通す必要があるため、間取りや仕様が制限されやすいのが弱点です。そのため、リビング、寝室、洋室の3部屋ある場合は、それぞれに個別エアコンを設置しなければなりません。

一方、全館空調であれば部屋数に関係なく1台の設備からダクトを通じて、すべての部屋に空調が行き届きます。完全に扉で部屋と部屋を遮断していても、ダクトとガラリを通じて空調が届くので間取りに左右されず建物全体をほとんど同じ温度にすることができます。

4.全館空調を採用するときの注意点

全館空調はメンテナンス性にも優れており、建物全体の温度が均一に保たれるといったメリットがあります。ただ、実際に全館空調の導入を検討するにあたり、注意点も理解しておいたほうがいいでしょう。
ここでは、全館空調の採用するときの注意したいポイントを解説します。

どのようなシステムを採用するか検討する

ひとえに全館空調システムといっても、さまざまな種類がありそれぞれ特徴が異なります。
例えば2階建て住宅の場合、1台の設備で建物全体の室温を管理する全館空調システムもあれば、1階と2階それぞれに設備が設けられて階ごとに管理できるものもあります。1台の設備で複層階の室温を管理することで、設備費用やメンテナンスコストを抑えられるといったメリットがあります。
一方、階ごとに設備を分けることで、あまり使用しないほうの階の全館空調の電源をオフにしておけば、その分電気代を抑えられます。そのほか、階ごとに温度を変えたいといったときにも役に立つでしょう。

全館空調にはさまざまな種類があるので、それぞれの特徴を理解したうえで、希望に合う設備を選ぶことが大切です。

メンテナンス・入れ替えのことも考えておく

全館空調システムを採用するときは、メンテナンスや入れ替えのことも考えておきましょう。全館空調の場合、定期的にフィルターを掃除することに加え、フィルターの使用期限に到達したら、新しいフィルターに交換しなければなりません。
定期的なフィルターの清掃については、個別エアコンも同様なので、さほど面倒に感じることはないでしょう。

ただ、全館空調システムもほかの家電製品と同じく機械なので、寿命が来ると交換しなければなりません。一般的な個別エアコンよりも商品代が高いことから、交換費用が高く感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、1台のみを交換で済むので、たとえば3~4台の個別エアコンを交換する場合と、さほど金額差が生じないケースが多いです。

乾燥対策を検討しておく

全館空調は一般的な個別エアコンと同様に、風を送って室温をコントロールします。そのため特に冬場は湿度が下がり過ぎてしまい、部屋が乾燥してしまうことも少なくありません。もちろん、個別エアコンも暖房を稼働させると、湿度が下がり、室内が乾燥してしまいます。

冬場に全館空調システムで暖房を稼働させる場合は、加湿器などを併用してしっかりと湿度をコントロールすることが大切です。

まとめ

今回は「全館空調の魅力とは?」をテーマに、全館空調の特徴や魅力を紹介しました。全館空調があれば、建物全体をほとんど均一の室温に維持できるので、ヒートショックを未然に防げる可能性が高まります。
リビングや寝室、廊下や洗面所が同じ温度になることから、1年を通して快適な暮らしが送れるでしょう。ただ、一般的な個別エアコンと同様に、フィルターを掃除するなどの定期メンテナンスが必要です。

とはいえ、1台分のお手入れで済むので、複数台のエアコンをメンテナンスするよりも、時間と手間を省けるでしょう。 建物全体が温度ムラなく、ほとんど同じ温度に保たれます。家づくりやリフォームの際は、全館空調の導入を検討してみてはいかがでしょうか。





著者(岡本 修)プロフィール

フリーライター・編集者として活動。
大手メディアサイトやハウスメーカー、工務店のコラム記事を担当。






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