色のもつ効果を利用して、快適な住まいづくりを楽しもう
私たちは毎日の生活の中で、たくさんの“色”に囲まれています。
普段何気なく接している色にはさまざまな効果があり、人の心に、ときには身体や行動にも影響を与えることがわかっています。色選びは住まいを考えるうえでも大切な要素です。
そこで今回は、色のもつ効果や色選びのポイントをご紹介します。
1.色の効果
では、具体的にどのような効果があるのか、代表的なものをご紹介しましょう。
重さと軽さ
同じものでも色の違いによって、重さが違うように感じたことはありませんか。色は重さにも影響を与えます。
そこには色の明るさを表す「明度」が関係しています。明るい色は柔らかい印象で軽く感じられ、暗い色は硬く重たい印象になります。
最も明度の高い色は白で、より白に近いほど明度が高く、最も低い黒に近い色ほど明度が低いということになります。
膨張と収縮
ファッションなどにも多く用いられている効果のため知っている方も多いと思いますが、色の違いによって大きく膨張して見えたり小さく収縮して見えることがあります。
こちらにも色の明度が大きく関係しており、明度が高い色は大きく広がりがあるように感じられ、低い色は小さく引き締まったように感じられます。
2.色の効果を外壁に活用する
外壁の色は住宅の印象に関わる重要な要素であり、住宅の「顏」ともいえます。そのため、色選びに悩む方も少なくないでしょう。
次は外壁における色の印象や選ぶポイントを解説します。
色の印象
先述のような色の効果を活用すると、明るい色なら軽やかで広がりがある印象になります。
清潔感のある白や、汚れが目立ちにくいライトグレーやアイボリーなどが人気です。淡い色なので色褪せしにくい点もメリットといえるでしょう。どのような色とも相性が良いため、外壁に複数の色を用いる際にはベースカラーとしての使い方がおすすめです。外壁を落ち着いた印象にして、玄関ドアの色やデザインをより引き立たせるのもいいですね。
一方、暗い色ならシックで重厚感のある印象になります。
モダンな雰囲気の黒、素朴で温かい印象のブラウンなどがよく用いられています。明るい色をベースに暗い色をアクセントとして使えば、膨張した雰囲気がぐっと引き締まり、スタイリッシュな印象になるでしょう。爽やかな青や可愛らしいピンクを合わせるのも、雰囲気が変わっていいかもしれません。
色選びのポイント
外壁選びは自分の好みだけではなく、考慮しなければならない大切なポイントがあります。
外壁の色を選ぶときは、まず周辺の住宅の雰囲気を見てみましょう。個性的な色や配色はデザイン性が高くおしゃれですが、周辺環境に馴染まないようでは浮いた存在になることも否定できません。周りとの調和も念頭に入れておくと良いですね。
色選びの際に注意したいのが、色の面積効果です。
これは、面積が大きくなるほど明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見えやすいというものです。そのため、小さなサンプルやカタログと実際の外壁の色にずれを感じる方も少なくありません。太陽の当たり方などによっても色は多少違って見えますが、外壁の色を選ぶときは、できるだけ実物の住宅を見て確認すると良いでしょう。
また「白いTシャツよりも黒いTシャツのほうが熱を吸収しやすい」という話を聞いたことはありませんか。
これは外壁にもいえることで、淡い色よりも濃い色の外壁のほうが表面温度は高くなりやすいため、断熱対策などの工夫をすると良いでしょう。
3.色の効果を内装・インテリアに活用する
今度はそれぞれの色の効果を、内装・インテリアに取り入れていきましょう。
白
清潔さを感じさせる白は、内装やインテリアでも人気の色です。光を反射するため明るく、膨張色なので部屋を広く見せる効果が期待できるでしょう。
どのような色も引き立たせるため、合わせる建具や家具の色を選びません。清潔感がほしいトイレや洗面室、広く見せたい室内の壁紙などに取り入れると良いでしょう。
あまりに白が強かったり面積が広いと、落ち着かない雰囲気になることもあります。アイボリーやベージュのような、ナチュラルで優しい色を用いるのもおすすめです。
黒
シックなイメージの黒は、高級感がありクールな雰囲気を演出してくれます。明度が低いため、広い面積に使うと圧迫感のある重たい印象になります。広い空間でアクセントカラーとして用いると、空間を引き締めることができ効果的です。
最も明度が高い白と反対色同士で組み合わせるモノトーンコーディネートは、スタイリッシュでメリハリの効いた空間づくりができるでしょう。
茶色
自然の木や土の色である茶色は、親しみが感じられ安心感を与えてくれます。床のフローリングや建具、木製の家具など多様な場所に使われるため、取り入れやすい色といえるでしょう。アジアンテイストや和風テイストのインテリアとも相性が良く、落ち着いた空間がつくれます。
同じ茶色でも濃淡の違いで雰囲気が異なり、同系色でまとめると統一感が生まれます。単調になりすぎないように、部屋のテイストや好みに合わせたアクセントカラーを取り入れると良いでしょう。季節に合わせて変えるのもいいですね。
赤やオレンジ
パッと目を惹く赤や健康的なイメージのオレンジは、人に元気なパワーを与えてくれる色です。
温かさを感じるため、日当たりの悪い場所や寒い季節に用いると良いでしょう。主張が強い色なので、広い面積で使用するよりもアクセントカラーに向いていて、華やかさをプラスすることができます。
キッチンに取り入れるとエネルギッシュな雰囲気で家事も楽しくなりそうですね。
青
寒色として代表的な青は、清涼感があり心を落ち着かせてくれます。
集中力を高める効果もあるといわれているので、子どもの勉強部屋や書斎に取り入れるのも良いでしょう。冷たさを感じやすい色なので、暖色と合わせたり素材で緩和するのもおすすめです。
色の濃淡にもよりますが、面積の広い場所に使うのはあまり向いていないかもしれません。狭い空間で青を取り入れると、奥行きが出て広がりも感じられる効果があります。
緑
森や植物など自然をイメージさせる緑は、リラックス効果が期待できる色です。
薄い緑は明るく爽やか、濃い緑は穏やかで大人っぽい雰囲気になります。自然に近いイメージで茶色との相性も良く、合わせればより落ち着いた空間がつくれるでしょう。
リラックスしたいリビングや寝室に向いています。
まとめ
色がもたらす効果を住まいに上手に取り入れることで、さまざまな空間づくりが楽しめます。
「どんなイメージの住宅にしたいか」「その空間でどのように過ごしたいか」などを想像すると、色選びもスムーズに進むでしょう。
建築・インテリア系の専門学校卒業後、工務店にて建築業務に携わる。
福祉住環境コーディネーター2級。
二児の母。