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掲載:2024年03月16日更新:2024年03月18日

空き家放置してない?空き家放置の問題点と解決策についてご紹介します

空き家放置の問題点と解決法

「空き家問題」は、とても広く根が深いものです。2033年にはこの空き家が2000万戸を超えると予想されています。誰もが空き家所有者になるかもしれない時代になっています。

空き家は近隣住民にとって迷惑な存在になり得るだけでなく、所有者にとっては家族内の揉め事、さらには経済的に大きな負担の原因にもなりかねません。
そこで、空き家問題の解決には所有者の選択を増やすことが重要です。
良質で適正な価格の管理サービスを利用できるか、活用について安心して相談できる窓口があるか、そのほか空き家で困ったことがあったら解決できるサービスがあるか、など、このようなサービスがなければ、いくら適正管理を強く所有者に義務付けても意味がありません。

この記事では、空き家問題とは何か、空き家問題の原因、空き家発生のメカニズムなど、空き家に関する現状をお伝えしていきます。
また、空き家を所有している方向けに空き家の管理についてや、解体・活用についてまとめました。

1.管理は体力と気力を消耗する

管理は体力と気力を消耗する

空き家管理サービスを利用している方は実際には少なく、自分もしくは家族が管理しているケースがほとんどです。特に空き家となった当初は、自分で管理していることがほとんどです。

空き家の管理は窓を開けて掃除をするだけと考えている方が多いです。確かに管理はシンプルで簡単です。 ただ、空き家管理は予想以上に気力と体力、そして時間を使うことは知っておかなければなりません。 そのため、空き家管理を続けられなくなってしまう人が多いのです。

具体的に以下のような状況が待ち受けています。

・気温35度を超える猛暑日、空き家を訪れると中に閉じ込められていた一か月分の空気が漏れ出てくる
・雑草が生い茂る庭で大量発生しているやぶ蚊が室内に入ってきて作業中に刺される
・室内は蜘蛛の巣や害虫の死骸が目立つ
・腰高にまで伸びた雑草の草刈りをしなくてはいけない
・不法投棄されたごみが目立つようになる

上記のように、管理と一言にいっても、とても体力を奪われる作業であることは間違いありません。

そうしているうちに、最初は二週間に1回だったものが一か月に1回、それが数か月に1回となり、最終的には目を背けてしまい、行かなくなってしまいます。
実は、放置空き家のほとんどは、このような段階を踏んでいます。最初から放置されていたわけではなく、所有者が管理の大変さに疲れてしまい、だんだんと管理に来なくなるパターンが多いのです。

2.実家に対する想いが壁になる

実家に対する想いが壁になる

全国にある空き家のほとんどが、親が住んでいた家、いわゆる実家です。そのために活用が難しくなっている現状があります。実家は誰にとっても安心のできる、想いが詰まった特別な場所です。

しかし空き家として長く残ってしまうパターンとして最も多いのは、兄弟姉妹で共有名義にしているパターンです。 片方が売却に同意しないと、売却までの時間がどんどん蓄積されていき、その間にも家は劣化していきます。劣化していくと壁の一部が崩れ落ちるなどの近隣住民から見ても不安な状況が増えていきます。

兄弟間で共有相続すると、対立が起きやすく、実家への想いが強ければ強いほど問題は解決されず、空き家期間が長期化し、管理の大変さから放置されるのも実家空き家の特徴です。

実家を共有で管理する場合、どう管理し、いつを目途に活用するか決めないと、長く悩まされてしまいます。 専門家が間に入ることで解決が早まるケースもあります。ひとりで悩んでしまわずに、専門家に相談することもひとつの手です。

3.放置された家はなにが起きるのか

放置された家はなにが起きるのか

空き家を放置するとどのような問題が起きるのか、どんなトラブルに見舞われるのか具体的に書いていきます。

果実が実るタイプの木であれば、果実が腐れ落ち、それを目当てに様々な害虫や動物が寄ってきますし、雨漏れにより主要構造部の木材が劣化し,倒壊の恐れがでてきます。

もっとも怖いのがこの建物の倒壊です。特に木造住宅で雨漏りが発生している、シロアリ被害が発生している空き家は非常に危険です。また、地盤沈下により建物が大きく傾いている場合も危険です。
建物が傾いている場合は地盤を改良するなど、地盤沈下の原因を解消したうえで、ジャッキアップという方法で傾きを直す必要があります。

さらに老朽化が進んでいる場合は建物を再利用できないケースが多く、その場合は解体が必要です。

いずれも抜本的な解決には多額な費用を要しますが、早急な対応をする必要があります。

4.空き家対策特別措置法の「特定空き家」の怖さ

空き家対策特別措置法の「特定空き家」の怖さ

空き家対策特別措置法では、管理状況が改善されない空き家に対して勧告を行うもので、その空き家を「特定空き家」に指定できると定められました。

特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の優遇措置が適用されなくなるなど、所有者にとっても大きなデメリットがあります。
それでは、どのような空き家が特定空き家に認定されてしまうのでしょうか。

・倒壊の恐れがあるなどの危険な空き家
・衛生上有害となっている空き家
・地域の景観を乱している空き家
・必要な適正管理がされていない場合

5.「特定空き家」の所有者は名前と住所を晒される

「特定空き家」の所有者は名前と住所を晒される

行政機関は固定資産税台帳や戸籍謄本の情報で、空き家の情報を特定することができます。

そのため、悪質な放置空き家については近隣住民にも所有者を知らせるため、空き家現地、市町村ホームページや広報誌などで空き家所有者の名前と住所を公表します。これが法律的に可能となったのです。
これから直接苦情に対応することのなかった所有者が、近隣住民からの苦情に対応しなければならなくなります。

また、管理状況の改善を請求しても所有者が行動しない場合、市町村が危険の除去や衛生状況の回復などを目的として、所有者に代わって対処することができるようになります。これは行政代執行といわれています。かかった費用は所有者の負担となっています。

6.空き家の活用

空き家の活用

思い切って空き家を賃貸にしてしまう、旅行者に向けて短期宿泊所にしてしまうなどありますが、一番一般的なのは、やはり売却してしまうことです。
ここで売却についていくつか、ご紹介します。

中古戸建として販売する

まだ建物として使用できるかで変わってきます。
それは躯体の状況によりますが、躯体の状況が悪いと多額のリフォーム費用が掛かってしまいます。この側面からも、空き家を適正に管理することは売却時に非常にメリットのあることになります。

空き家を土地として販売する

建物を解体する必要がある場合、土地として販売する方法もあります。

更地渡しでの販売

この方法のメリットは、解体費用の持ち出しをすることなく、古家付土地と比較して高い価格で売却できる点です。
購入者が決まってから解体作業を行うため、費用は売却して得たお金から支払うことができます。

更地での販売

更地で販売する最大のメリットは、買主が検討・購入しやすくなる点です。
空き家が建った状態では土地の全景を見ることができないため、そこに自分の家を建てるというイメージはしにくいのですが、更地の状況であれば敷地の広さや日当たりなどが容易に確認できるようになります。

まとめ

まとめ

この記事で取り上げた空き家問題は、誰にでも起こり得ることです。
空き家の所有者として、近隣住民として、社会の一員として、みんなが空き家問題に取り組んでいくこととなります。

今後は、空き家に関連するサービスや助成金がどんどん開発され、問題を解決するための手段は増えていくでしょう。また、所有者と近隣住民とのあいだで協力関係を築くことで、問題も少しずつ解消していくのではないでしょうか。

この記事が、空き家所有者、近隣住民の空き家問題解決に向かっていくための一助になれば幸いです。





著者プロフィール

建設会社にて2×4工法、RC造の建築物の設計・積算を担当。
住まいでの快適な暮らしや建築に関するニュースを執筆していきます。






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