屋内・屋外スポーツ施設に必要な安全対策は?安全性向上に役立つおすすめ建材も紹介
健康意識の高まりに伴い、子どもから高齢者まで幅広い年齢層がスポーツ施設を利用するようになりました。施設を管理・運営をしている方にとって、多様化する事故リスクに対応し、安全で快適な環境づくりをすることが重要課題となっています。
そこで今回は、スポーツ施設に潜むさまざまな事故リスクと、安全性向上に役立つ建材情報をご紹介します。
1.屋内・屋外スポーツ施設に潜む事故リスク
スポーツ施設には、さまざまな事故リスクが潜んでいます。施設の種類によってリスクの内容や重要度が異なるため、それぞれの特性を理解し、適切な対策を講じましょう。まずは、主要なスポーツ施設タイプごとの主な事故リスクを詳しく解説します。
スポーツジム
スポーツジムでよくあるのは、トレーニングマシンの誤使用によるケガです。ウエイトマシンの重量設定を誤ったり、正しいフォームを守らずに使ったりすることで、筋肉や関節を傷める可能性があります。フリーウエイトエリアでは、ダンベルやバーベルといった重量物の落下事故にも注意が必要です。
事故を予防するには、適切な床材選びが大切です。衝撃吸収効果や滑り止め機能を備えた床材を採用することで、転倒や衝撃によるケガのリスクを軽減します。また、トレーニングマシンの定期的な点検や、利用者への正しい使用方法の指導を徹底することで、誤使用によるケガの防止につながります。
体育館
体育館の木製フロアは経年劣化によるささくれや凹凸が発生しやすく、擦り傷や転倒につながることがあります。定期的な点検やメンテナンスを欠かさず行いましょう。
また、壁や設備との衝突事故にも注意が必要です。壁や柱にはクッション材を設置し、危険な突起物は極力取り除くことで、衝撃を緩和できます。また、器具や設備は確実に固定し、使っていないときは収納スペースに適切に保管することも大切です。
武道場・格闘技場
武道場や格闘技場では、転倒や衝突によるケガが主なリスクとなります。これに対しては、適切な厚みや硬さをもつ畳や専用マットを敷き詰めることが効果的です。壁面にもクッション性の高い素材を使用すると、衝撃を吸収できます。
競技エリアと観覧エリアははっきりと区分し、十分な安全距離を確保しましょう。
サッカー・ラグビー場
サッカーやラグビー場などの屋外競技場では、芝生の状態不良による転倒や捻挫がよく発生します。定期的な芝生のメンテナンスで、平坦で安定した状態を維持しましょう。
また、ゴールポストの衝突も重大な事故につながりやすいため、クッション材を巻くなどの対策が有効です。屋外スポーツ施設では熱中症のリスクも高いため、日陰や休憩スペースなどの設置も検討するとよいでしょう。
プール施設
プール施設における最大のリスクは溺水事故です。特に子どもや泳ぎに不慣れな方は注意が必要なため、泳力に応じたゾーニングや監視体制などを整えましょう。また、プールサイドにおける転倒事故を防ぐため、滑り止め加工を施した床材を使うなどの対策も有効です。
2.屋内施設の安全対策につながるスポーツ系建材
ここからは、屋内スポーツ施設の安全対策につながる建材をご紹介します。
フロア
体育館や武道場、フィットネスジムなどのフロア材は、利用者が直接触れるので特にこだわって選びたい部分です。床材のささくれは事故の原因になりやすいので、頻繁な使用や重量物の移動に耐えられる強度が必要です。日常的な清掃やメンテナンスが簡単に行える素材を選ぶことで、長期的なコスト削減にもつながります。
また、激しい動きや跳躍を行うスポーツでは、適度な弾力性を持つフロア材が求められます。滑りすぎても、粘りすぎてもケガのリスクが高まるため、競技特性に応じた素材を選びましょう。
総合格闘技マット
格闘技場の床にマットを敷き詰めると、安全性とトレーニング効果の向上が期待できます。ジムや道場のスペースに合わせてサイズ調整できるマットを選ぶと、隙間なく敷き詰められて安心です。また最近は格闘技スペースだけでなく、フィットネスクラブやリハビリスペースの安全対策として取り入れられることもあります。
防護マット
体育館や武道場の壁や柱に防護マットを設置すると、衝突時のダメージが軽減されます。開口部やコンセントなどに合わせて加工することで、あらゆる施設の形状に適合します。
エアマット
体操のようなアクロバットな競技で便利なのが、空気を入れるエアマット。マット上で歩いたり跳ねたりすることで、体幹トレーニングにも使用できます。商品によって跳ね具合も変わってくるため、用途に合わせて選びましょう。細かいサイズ変更ができるマットなら、施設内で邪魔にならずに使用できます。
3.屋外施設の安全対策につながるスポーツ系建材
次に、屋外施設の安全対策としておすすめしたい建材をご紹介します。
人工芝
人工芝は天然芝と比べてメンテナンス性に優れ、常に安全で快適なプレー環境を維持できます。芝生の長さによってボールの転がり方なども変わってくるため、競技特性に合わせて選びましょう。
防護マット
野球場の壁面やサッカーゴールのポールなどには、衝突によるケガを防止するマットがよく採用されます。屋外で使用する場合は、防水性のある商品を選ぶことが大切です。
防球ネット
野球場やサッカー場などでは、施設の外にボールが飛び出すのを防ぐためにネットが設置されることもあります。フェンスよりも低コストで、設置場所の制約も少ないのがメリットです。
オーニング・テント
近年、夏場の気温が上昇し、熱中症対策が大きな問題になっています。屋外スポーツにオーニングやテントを設置することで、雨風や紫外線をカットし、快適に練習できる時間を増やすことができます。
まとめ
スポーツ施設にはさまざまな事故リスクがあります。施設利用者の安全を守るのはもちろん、管理者の法的リスクを軽減するためにも、適切な安全対策をとることが重要です。競技中だけでなく、準備や片付けの際の事故についても想定しておきましょう。
注意したいのが、施設の種類や利用者層によってもリスクが異なること。例えば、高齢者が多く利用する施設では転倒リスクにより注意を払い、子どもが多い施設では器具の誤使用や接触事故の防止に力を入れるなど、それぞれの施設の特性に応じた対策をすることが大切です。
施設管理者は定期的にリスクを評価し、優先度をつけて対策を講じることをおすすめします。事故やヒヤリハットの記録を取り、傾向を分析することで、より効果的な安全対策を立てられるでしょう。
大学で建築を学んだ後、住宅専門のライターとして活動中。
主にWebコラムや住宅情報誌で、住宅購入やリフォームのノウハウ、マネー情報等の原稿執筆・編集をしています。