ワンランク上の住空間を生み出す。無垢フローリングのオススメ素材やメンテナンス方法
この記事では
・無垢フローリングの特徴
・無垢フローリングの種類・張り方のバリエーション
・無垢フローリングの適切なメンテナンス方法
についてご説明します。
1.無垢フローリングとは
無垢フローリングの特徴
無垢フローリングとは、一本の木から切り出された木材を他の木材や繊維板などと貼り合わせることなくそのまま床材にしたものです。
木を薄くスライスして、合板や繊維板などさまざまな素材と張り合わせたものは「複合フローリング」と言われ、その対比として、無垢フローリングは「単層フローリング」と呼ばれています。
無垢フローリングでは、木が本来持つ「調湿性」と言われる性質が生きています。
これは、木材が空気中の湿度が高ければ湿気を吸収し、逆に湿度の低い時には湿気を放出するという性質で、無垢フローリングのこの性質によって室内の湿度は安定します。
ただし、無垢フローリングは湿気を吸収・放出すると同時にわずかながら膨張・収縮するため、施工の際にはそのわずかな変形を見越して「クリアランス」と呼ばれる適切な隙間を開けて施工しなければなりません。
そうしなければ膨張したフローリングの無垢材同士が圧迫し合って、床が平坦でなくなったり歪みやひび割れが生じたりする恐れがあるのです。
そのため無垢フローリングの施工は、木の性質に精通していて実績が豊富な施工業者に依頼する必要があります。
無垢フローリングは、時間の流れとともに徐々に風合いが変わり、色合いや質感が味わい深いものとなっていきますが、これは劣化ではなく「経年変化」と呼ばれます。
この変化は主に日差しに含まれる紫外線によるもので、表面に薄い突き板や挽き板が貼り付けてあるだけの複合フローリングでは味わえません。
もし経年変化を望まないなら、無垢フローリングにUVカットコーティングを施せば、最初の風合いを長く保たせることもできます。
無垢フローリングの外観・性質は樹種によって異なる
無垢フローリングは、基本的に木を乾燥させて切り出し、塗装する以外の加工は行なっていないため、どんな樹種でできているかによって細かな特徴や性質はそれぞれ異なります。
そのため、希望通りの無垢フローリングを見つけるためには樹種ごとの特徴をある程度理解しておく事が大切です。
2.無垢フローリングの選び方
樹種について知っておこう
無垢フローリングでは下記のような樹種が人気を博しています。
ヒノキ科の針葉樹で、国産や中国産が一般的。 傷つきやすいが、その柔らかさや温かさから人気がある。 色味は白っぽいものや赤みがかっているものがある。
無垢材フローリングによく使用されるマツ科の樹木で、赤みがかったレッドパイン(ヨーロッパアカマツ)や、一般的なパインより硬質なボルドーパインなど、バリエーションが豊富で安価に手に入るものもある。
クマツヅラ科の広葉樹で、木材としては最高級な部類に当たる。 耐久性が極めて高く、古来より豪華客船や寺院等の建造に使用されてきた。 色は明るめで、経年による色あせがあまりない。
カバノキ科の広葉樹で、原産地によって白っぽいものやピンクがかったもの、黄色味を帯びているものなどがある。 木目はきめ細やかで、硬度はやや硬め。
クルミ科の広葉樹。頑丈かつ重厚、黒みがかった外観は非常に力強いイメージで人気が高い。 心材側は暗褐色、辺材に向けて色は明るくなる。
貼り方にもバリエーションがある
複合フローリングとは違い、施工の際に色々な張り方を楽しめるのも無垢フローリングの魅力の一つです。 無垢フローリング張り方のバリエーションには下記のようなものがあります。
定まった長さのフローリングを規則的に張ります。 複合フローリングでも使われる一般的な張り方です
あえてランダムに長さの違うフローリングを張り付けていく方法で、この張り方も複合フローリングで使われています。 幅は均一で、乱張りの目地はあみだくじのようになります。
細長く、均一な長さのフローリング材を部屋の壁に対して45度の傾きをつけて張り付け、次の列は最初の列に対して直角の傾きで張り付ける、というパターンを繰り返してジグザグ模様にしていく張り方です。
洋風な家屋によく似合う張り方で、日本語では矢羽根張りとも言われます。
日本ではおなじみの、正方形が連続している市松模様を模した張り方ですが、一つ一つの正方形をさまざまな図形を組み合わせて表現する複雑でユニークな市松張りもあります。
ヘリンボーン張りや市松張りのように図形のユニークな組み合わせでさまざまな模様を床に描き出す手法を「パーケット(日本語では「寄木張り」)」と言います。
もっとさまざまな張り方を見てみたい場合は、この「パーケット」でサイト内を検索してみましょう。
3.無垢フローリングはメンテナンスが重要
無垢フローリングのメンテナンス方法はコーティングや塗装で異なる
樹木とは本来、地面から水を吸い上げて枝葉に送り届ける植物ですので、加工されて無垢フローリングになった後でも水を吸収しやすいという特性が残っています。
この性質のために、無垢フローリングでは水分が付着すると除去できないシミが残っていまいますので、メンテナンスでは水分やその他の汚れが付着しないように木を配る必要がります。
お手入れのしやすさはコーティングがベスト
無垢フローリングのメンテナンスをもっとも簡単にする方法はフロアコーティングです。
シミ・ひび割れ・傷というダメージを受けやすいという無垢フローリングの弱点は、ほとんどこのフロアコーティングで解決できます。
フロアコーティングはワックスのように剥がれる事がないため、一度施工した後は定期的に大掛かりなメンテナンスをする必要はありません。
ただし、コーティングには
・初期費用が高額になる
・コーティングによって無垢材本来のナチュラルな風合いが損なわれる
というデメリットもあります。
フロアコーティング以外の無垢フローリングのお手入れ方法
フロアコーティングを施さないのであれば、オイル塗装かワックスのどちらかで必ず無垢フローリングを保護する必要があります。
オイルにせよワックスにせよ、製品の説明書をよく読み、樹種との相性を必ず確認して選択しましょう。
天然由来の植物油でできたオイルを無垢フローリングの木肌に浸透させ、汚れやひび割れに対する保護力を高めます。
オイル塗装でフローリングの色合いはやや深まり、木目のコントラストが明瞭に浮かび上がるようになります。
蜜蝋(ミツロウ)を主成分とし、無垢フローリングの表面に塗膜を作って保護力を高めます。
無垢材の色味や風合いにほとんど影響しないため、無塗装の無垢材の質感をそのまま残したい場合にはワックス塗装がオススメです。
無垢フローリングは必ず何らかの保護を!
無塗装状態で無垢フローリングを使用すれば
・シミ
・ひび割れ
・木肌の毛羽立ち
などのダメージ・劣化は免れられませんので、必ず何らかの保護策を検討しましょう。
また、オイル塗装・ワックス塗装は徐々に剥がれていきますので年に1度ぐらいの頻度で、全面を塗り替えるようにしましょう。
塗替えの際には最初に塗ったものと全く同じオイル・ワックスを使用します。
4.まとめ
無垢フローリングは複合フローリングには無い、樹種ごとの風合いや多彩な張り方の妙味を楽しむことのできる床材です。
さらに適切なメンテナンスを行なっていけば、時間とともに深まってゆく無垢材の質感を何十年も楽しむことができます。
CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。