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掲載:2020年07月07日更新:2020年07月07日

目隠しフェンスで暮らしの安心・安全を向上させよう

住まいには快適さだけでなく、安全に、安心して暮らせることが求められます。 自宅をもっと安全・安心な場所にするために、「目隠しフェンス」の設置はとても効果的です。 この記事では、

・目隠しフェンスの種類・素材・設置方法
・目隠しフェンスのデメリット
・目隠しフェンスで住み心地をアップするコツ

についてご説明します。

「目隠しフェンス」はどれほど重要?

「目隠しフェンス」とは、塀のように敷地の外周を囲う柵(さく)のことで、主に外部からの視線を遮る目的で設置されます。
地面に独立基礎を設置してその上に目隠しフェンスを立てることもあれば、1m程度の高さのブロック塀の上に目隠しフェンスを増設することもあります。

開放的な大型の窓や広い庭がある住み心地の良い住まいでも、周囲の目線が気になると、日常的にストレスを感じる原因になってしまうかもしれません。
そのため、視線を遮るのに適していて、なおかつコンクリートブロック塀のように圧迫感、威圧感のない目隠しフェンスを上手に活用すれば、暮らしの安心感は向上します。

防犯を考える上での目隠しフェンス

目隠しフェンスは住まいの安全性を向上させる上でも効果的です。

家の防犯を考える上で気になるのが空き巣などの窃盗被害ですが、警察庁の発表している平成30年の「犯罪情勢」によると、

・侵入窃盗の4割強が一戸建て住宅で発生
・住宅で起きる侵入窃盗の約6割が空き巣、2割が夜間の忍び込み
・住宅で起きる侵入窃盗の約半数が鍵の無締り(鍵を閉め忘れた窓・ドアからの侵入)

となっています。
つまり窃盗犯の多くは目の届く範囲で、窓が施錠されているか、屋内に人がいるかなどを確認して犯行におよぶ傾向にあります。
それで、目隠しフェンスを設置して外から窓や室内の状況を見えにくくするは、防犯対策としても大きな効果を期待できるのです。

目隠しフェンスの設置方法

目隠しフェンスは下記のような方法で設置されます。

既存の塀がある場合

敷地の境界に塀だけがすでに存在し、その上にフェンスを増設したい場合、既存の塀に垂直に穴をくり抜いてそこにフェンスの支柱を設置する「コア抜き」や、ブロック金物を使った工法など、いくつかの方法で、フェンスを増設することが可能です。

既存のブロック塀の上に増設する場合、建築基準法の定めにより、ブロック塀とフェンスを合わせた高さが2.2m以下、かつフェンス部分は1.2以下でなければなりません。

さらに、風のあおりを受けやすい形状のフェンスをコンクリートブロック塀の上に増設すると、強風でブロック塀が破損してしまうリスクも考えられます。
強い風の吹く場所では、目隠しフェンスを設置するにあたって風の影響も考慮に入れて計画することが大切です。

既存のフェンスがある場合

フェンスの上にフェンスの増設はできないため、既存のフェンスの高さを上げたいという場合には、既存のフェンスの内側に背の高い(支柱部分の長い)フェンスを増設するという方法をとります。 この方法は、何らかの理由で塀の上にフェンスの増設ができない場合にも有効です。

玄関まわり

ドアの開閉の多い玄関まわりは家のプライバシーを守る上で重視したい部分ですが、玄関まわりを目隠しフェンスで囲ってしまうと、見た目に少し圧迫感が出てしまい、家全体のイメージも暗くなってしまいかねません。
そこで、玄関周りは塀やフェンスで囲うのではなく、門柱や中古の枕木などを何本か連続して立て、塀のような目隠しを作るというアイデアもあります。
門柱による目隠しであれば、見た目にも比較的軽やかで、なおかつ適度にプライバシーを保つことができるでしょう。

目隠しフェンス設置で生じるデメリットと、その解決策

目隠しフェンスの設置には、

・暗くなる
・風通しが悪くなる
・景観を損ねる

などの、デメリットがあることも覚えておかなければなりません。

特に、目隠しフェンス設置後の景観については、近隣住民・フェンスの内側に住んでいる人の双方にとって、威圧感や圧迫感を感じる原因になりますし、あまりにも敷地内の様子がわからないような目隠しフェンスだと、周囲の目にはどこか不審に写ってしまうこともあります。

家の明るさ、風通しの良さ、また庭やベランダで感じられる開放感やフレンドリーな雰囲気を目隠しフェンスによって犠牲にしないためには、下記のようなアイデアが有効です。

適切な高さに設定する

フェンスの高さは無駄に高くしないほうが無難です。

・窓が小さい、または窓の位置が低い
・窓からフェンスまでの間隔が十分ある
・フェンスの外側の道路の幅が狭い

といった状況であれば、比較的低いフェンスでも十分に住む人のプライバシーを守ることができるかもしれません。
木・樹脂木(人工木)
耐候性の高いセランガンバツ材などの木製、または樹脂木製のフェンスであれば、威圧感は少なく、和風建築にもよく似合います。
大和塀(裏表に互い違いになるように立板を張る「大和張り」という工法による塀)のようなデザインのフェンスであれば、視線を遮りながらある程度の風通しも確保できます。
ポリカーボネート
ポリカーボネート(通称「ポリカ」。プラスチックの一種)製のフェンスは、くもりガラスのような外観で、視線を遮りながらも光は十分に取り入れられるため、外観に拒否的な雰囲気もなく庭が暗くなってしまうことはありません。
ロートアイアン
ロートアイアン(錬鉄)製のフェンスは隙間が多くプライバシー確保には不向きとはいえ、デザイン製が高く、風通しや採光は犠牲になりません。
隙間が多いというデメリットを植栽などでカバーするように計画すれば、洋風の涼しげな目隠しフェンスに仕上がります。

植栽(生垣)と併用する

諸事情によりフェンスの設置が難しい場合や、隙間が大きく目隠しには適していないフェンスが設置されている場合などには、目隠し用の植栽を併用するというのも一つのアイデアです。

目隠しのための植栽の種類を選ぶときには、葉っぱが小型でたくさん生えるもの、また萌芽力(剪定後の切り口から新しく芽吹く力)が高いものを選ぶと良いでしょう。

ただし植栽には、

・剪定や掃除など、手入れに手間がかかる
・新しく植える場合、目隠しになるほど生長するまで時間がかかる

などのデメリットもあります。
生垣として木を植えるのであれば、

・寒椿
・ツツジ
・トキワマンサク

植栽にある程度の高さが欲しい場合は、

・キンモクセイ
・シバトリネコ
・シラカシ

などの樹木が人気です。

プライバシー度に合わせて計画する

同じ敷地内に建つ家でも、
・隣地境界線の外側の状況
・部屋の用途や窓の大きさ

などの状況によって、守りたいプライバシーの度合いは異なりますので、目隠しフェンスの設置もプライバシー度に合わせて計画すると良いでしょう。

例えば、敷地が交通量の多い道路や利用者の多い公園などに面している部分や、長く時間を過ごすリビングに面した部分、寝室・トイレ・バスルームなどに面した部分にはしっかりと視線を遮ることができるフェンスが適していますし、状況によって目隠しは特に必要ないかもしれません。
そのため、目隠しフェンスの設置を計画する際には、どの程度のフェンスが適切か、よく観察してみるのはいかがでしょうか。

まとめ

時代や地域に合わせた住まいの安全性は重要度の高い要素とはいえ、適切な気配りがなければ、生活の豊かさにとって重要な人や地域との関わりが希薄になってしまいかねません。
目隠しフェンスを上手に活用すれば、家に住む人と地域の双方にとって安心感や雰囲気の良さを向上させることができるでしょう。


著者(澤田 秀幸)プロフィール

CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。






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